【飲食店 閑散期 対策】閑散期を「仕込みの季節」に変える発想転換
1月の後半、あるいはお盆明け。いつもより明らかに客足が遠のいて、レジを眺めながら「このままでいいのかな」と不安になった経験、ありませんか。
閑散期になると、つい「安売りのチラシを撒こうか」「SNSをもっと更新しようか」と焦って動き始める経営者の方がとても多いです。でも、その動き方をしてしまうと、ただ体力と広告費を消耗するだけで終わってしまうことが多いんですよ。
ぼく自身、中小企業診断士として20年以上、全国1,000店舗以上の飲食店や美容室の経営をサポートしてきましたが、繁盛している店と伸び悩んでいる店の差って、繁盛期の過ごし方よりも閑散期の使い方にあることが多いんです。
今回は「閑散期は怖くない。むしろ仕込みの季節だ」という発想転換のもと、閑散期にやるべきことを5つのステップで整理してお伝えします。ぜひ最後まで読んで、明日から1つでも動いてみてください。

ステップ1:まず数字を分解する。「売上が落ちた」で終わらせない
閑散期に入った瞬間、多くの経営者の方は「売上が落ちた」という大きなかたまりで現状を捉えてしまいます。でも、それだと次の手が打てないんですよ。
売上というのは、客数 × 客単価 × 来店頻度の掛け算です。この3つのどこが落ちているかを把握するだけで、打つ手がまったく変わってきます。
たとえば、客数は前年並みなのに売上が落ちているなら、客単価を上げる施策が優先。反対に客単価は変わらないのに客数が減っているなら、既存客の再来店を促す対策が先です。
まず「翌月5日ルール」をやってみてください。毎月5日までに前月の売上・客数・客単価を把握する習慣をつけるだけで、現状認識がまったく変わります。閑散期は、この数字の棚卸しをするのに最高のタイミングなんです。忙しい繁忙期にはなかなかできない作業ですから。
ステップ2:店内販促を整える。忙しくて手が回らなかったことをやる時期
繁忙期って、目の前のお客さんをさばくだけで精一杯ですよね。POPを書き直す余裕も、メニューブックを見直す時間もない。でも閑散期は違います。
実は、客単価を上げる一番コストのかからない方法は店内販促の改善です。テーブルのPOP、メニューブックの構成、おすすめの伝え方。これを整えるだけで、お客さんが「せっかくだから頼んでみようか」と動いてくれる確率がグッと上がります。
ある中華料理店の会員さんは、POPとメニューブックを見直しただけで客単価が5%アップして、売上が過去最高を記録しました。特別なことはしていないんです。ただ「見せ方」を変えただけ。
閑散期のうちに、こんなことをやっておくといいですよ。
- メニューブックの中で「うちが一番利益の取れる商品」を目立つ場所に配置し直す
- 料理の写真を撮り直して、見た目で違いを作る
- 季節感のあるPOPを事前に作っておく(繁忙期の直前に貼るだけにしておく)
- 「スタッフのおすすめ」コーナーを設けて人間味を出す
こういった「仕込み」をしておくと、次の繁忙期の入り口から客単価が変わってきます。ぜひやってみてください。
ステップ3:既存客との関係を深める。閑散期は「ハガキとLINE」の出番
閑散期に新規客を呼ぼうとして広告費をジャブジャブ使う経営者の方、多いんですけど、それって一番コスパが悪い動き方なんですよ。
新規客を1人呼ぶコストと、既存客にもう1回来てもらうコストを比べたら、既存客への再来店促進のほうが圧倒的に安い。しかも確実性が高い。
閑散期だからこそ、すでに来てくれたことのあるお客さんに対してアプローチする時間が取れます。具体的には、ハガキとLINEをうまく使うことが大事です。
ある飲食店の会員さんは、ハガキによる再来店対策だけを始めたところ、来店が月4回ペースのお客さんが続出するようになりました。それまで2ヶ月に1回だった平均来店間隔が、一気に短くなったんです。ハガキ1枚の費用は数十円。でもそのお客さんが持ってくる売上は何千円・何万円にもなります。
LINE公式アカウントも同様です。閑散期のうちに配信内容を設計して、ステップ配信の仕組みを作っておく。そうすれば、次の繁忙期に向けて自動的にお客さんとの関係が温まっていく仕組みが出来上がります。
「新規客には時間をかけない、既存客には時間をかける」──これが利益を残すための基本の順番です。
ステップ4:欲しい利益から逆算した年間販促計画を立てる
閑散期って、実は年間計画を立てるのに最も適した時期でもあります。繁忙期の真っただ中に「来年の計画を立てましょう」と言っても、誰もそんな余裕はないですよね。
計画の立て方は「売上目標をどれだけ達成するか」ではなく、「欲しい利益はいくらか」から逆算するのが正解です。
たとえば「今年は手元に年間500万円の利益を残したい」という目標があるとします。そこから逆算して、月に何人のお客さんに何回来てもらって、1回あたりいくら使ってもらう必要があるかを計算していく。その数字から、何月にどんな販促を打つかが決まってくるんです。
このときに使えるのが「収益ボックス」という考え方です。欲しい利益・年収から逆算して年間計画を組んでいく方法で、ぼくが会員さんに最初に教える基本中の基本のツールです。
閑散期のうちにこれを作っておくと、繁忙期に入ってからも「今月の数字はどこが弱いか」がすぐわかるようになります。計画と行動を一致させることができるんですよ。これをやっているお店とやっていないお店では、3年後の体力がまったく変わってきます。
ステップ5:「業態」の枠を超えた収益の柱を仕込む
もう1つ、閑散期にぜひ考えてほしいのが「今の1つの業態だけに頼らない収益の柱」です。
たとえば、すでに仕込んでいる食材や調理技術を使って、テイクアウト・物販・デリバリーといった別の窓口を開くことができます。店内飲食だけが収益の入口になっていると、閑散期はそのまま収益の閑散期になってしまう。でも別の窓口があれば、閑散期でも収益が入ってくる仕組みが作れます。
面白い事例をお話しします。ある飲食店の会員さんは、1,800円で売れなかった自家製ドレッシングを5,000円に値上げしたところ、逆に売れるようになって、全国の雑誌・新聞にまで取り上げられたんです。値段を上げたら売れた──これって、商品に「ストーリーや価値」をきちんと乗せたからなんですよ。物販は粗利率がとても高いので、お店の利益体質を改善するのに有効な手段の1つです。
閑散期に「うちにある素材や技術で、他に何か提供できるものはないか」を考える時間を作ってみてください。業態発想から脱却して、「お客さんの悩みや要望を解決するために何ができるか」という視点で考えると、思わぬアイデアが出てくることがありますよ。
まとめ:閑散期は「仕込みの季節」。行動した分だけ次の繁忙期が変わる
閑散期を単なる「売上が落ちる時期」として過ごすか、「次の繁盛期に向けた仕込みの季節」として動くか。この差が、1年後・3年後のお店の体力に大きな差をつけます。
今回お伝えした5つのステップをまとめるとこうなります。
- 数字を分解して現状を把握する(翌月5日ルールを習慣にする)
- 店内販促を整える(POPとメニューブックの見直し)
- 既存客との関係を深める(ハガキとLINEで再来店促進)
- 欲しい利益から逆算した年間販促計画を立てる(収益ボックスで設計)
- 業態の枠を超えた収益の柱を仕込む(物販・テイクアウト・デリバリーの窓口拡張)
今の行動の結果が、次の繁忙期の売上として返ってきます。「今は暇だから休もう」ではなく、「今だからこそ仕込める」という発想で動いていきましょう。
閑散期の具体的な動き方や、お客さんの購買行動を軸にした販促の設計方法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。実際に現場で使えるノウハウを体系的にまとめています。
また、毎月継続的に「次にやること」を一緒に考えていける環境を探しているという方には、会員制のコンサルティングサポートもご用意しています。北は北海道から南は沖縄・石垣島まで、全国の飲食店経営者の方が参加されています。初月のお試し体験もありますので、まずは気軽にのぞいてみてください。
いつでもお気軽にご相談ください。一緒に「仕込みの季節」を有効に活用していきましょう。