オペレーション改善

【飲食店 スタッフ 採用】時給競争から抜け出す飲食店の採用戦略

【飲食店 スタッフ 採用】時給競争から抜け出す飲食店の採用戦略

結論から言うと、飲食店の採用問題の根本原因は「時給の高さ」ではありません。狙う層がズレているんです。

こんにちは、ハワードジョイマンです。静岡市清水区を拠点に、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室の経営支援をしてきました。今回は、採用に悩む飲食店経営者の方から本当によく聞く話──「求人を出しても応募がない」「時給を上げたのに来ない」「やっと来てもすぐ辞める」──こういう悩みを根本から解決するための考え方と実践策をお伝えします。

先日も、東京で居酒屋を経営しているAさん(40代男性)とZoomでお話しました。「時給を近隣店舗より50円上げたのに全然応募が来ない。もう100円上げるしかないか…」と。でも、時給を上げ続けることが正解じゃない。今日はそのAさんとの対話も交えながら、飲食店が時給競争から抜け出すための採用戦略を具体的に解説します。

こんな方におすすめ

  • ✅ 求人を出しても応募がなく、採用に頭を悩ませている飲食店経営者の方
  • ✅ 時給を上げても応募が増えず、採用コストが膨らんでいる方
  • ✅ せっかく採用してもすぐ辞めてしまい、定着しないと感じている方
  • ✅ 人手不足で自分が現場から抜けられず、経営者としての時間が取れない方
  • ✅ 採用戦略を根本から見直して、採用で困らない店にしたいと思っている方
【飲食店 スタッフ 採用】時給競争から抜け出す飲食店の採用戦略 | 飲食店・美容室の年商1億円突破の教科書

「時給を上げれば来る」は幻想──採用競争が激しい層で戦っていませんか?

Aさんに最初に聞いたのは、「どんな人を採りたいですか?」という質問でした。すると「20代の元気な子がいいですね」という答えが返ってきた。

そうなんですよ、ここが問題なんです。

20代の若い人材って、居酒屋チェーンも、カフェも、コンビニも、アパレルも、みんなが欲しがっている。だから競争が激しくて、時給だけの勝負になってしまう。大手チェーンに時給で勝とうとすること自体、最初から不利な戦いなんですよね。

じゃあ、どうするか。答えはシンプルで、「今、余っている層」に狙いを変えることです。

具体的に言うと、主婦・定年退職者・ダブルワーク希望者・子育てがひと段落した方・短時間だけ働きたい方、こういった層は多くの飲食店が積極的に狙っていない。でも実はこの層、人数は豊富で、かつ仕事に対して真剣で責任感も強い方が多いんです。

Aさんも「確かに今のうちのスタッフで一番長く働いてくれているのは、パートの50代の女性ですね」と言っていました。そうそう、そういうことなんです。

求人広告は「枠を大きく」「呼びかけを具体的に」──伝わる求人の作り方

次に問題になるのが、求人広告の中身です。

多くの飲食店の求人を見ると、「時給〇〇円」「週2日〜OK」「交通費支給」──これだけで終わっている。これでは他の店と全く同じに見えてしまって、価格(時給)でしか比較されなくなるんですよ。

ここで大事なのは、「働く姿がイメージできる情報を入れること」と「具体的な呼びかけをすること」の2つです。

たとえばこんな感じです。「結婚・出産を経て、また社会と関わりたいと思っている方へ。うちの店では10時〜15時のシフトで、お子さんのお迎え前に必ず上がれます。調理・接客どちらも丁寧にお教えします」──こういう書き方をするだけで、ターゲットにドンピシャで刺さるんです。

Aさんに「まかない食べ放題ってちゃんと書いてますか?」と聞いたら「書いてないですね」という答えが。これ、飲食店の求人で使える強い訴求ポイントなんです。食費が浮くというのは、短時間勤務のパートさんには特に響く。他にもお土産に料理を持って帰れる、まかないで色々食べられるなど、大手チェーンにはできない個人店ならではの「特典」を伝えることが差別化につながります。

そして求人広告の枠のサイズ。小さい枠では時給しか入らない。枠を大きくとることで、写真・呼びかけ・働いている様子が伝えられる。これで応募の質と量がガラッと変わります。

✓ ここまでのポイント

  • 採用競争が激しい「20代若手」ではなく、余っている層(主婦・定年退職者・ダブルワーク希望者など)に狙いを切り替える
  • 求人広告は「時給」だけでなく、働く姿がイメージできる写真・具体的な呼びかけ・個人店ならではの特典(まかないなど)を入れる

「求人広告の出し方を変えて、『まかない食べ放題』などを前面に出したところ、今まで来なかった層から一気に応募が増えました。採用した方が長く働いてくれるようになって、本当に助かっています。」

飲食店経営者

「仕事をスタッフに合わせる」発想が定着率を劇的に変える

採用できても定着しない、というのも飲食店の大きな悩みです。

ここで多くの経営者が陥るのが、「スタッフを仕事に合わせようとする」発想です。「うちのシフトはこうだから、それに合わせてね」という考え方ですね。

でも実は逆で、「仕事をスタッフに合わせる」という発想が定着率を上げるんです。

Aさんの話を聞いていくと、「以前は長時間働いてくれる人を求めていて、それ前提のシフトを組んでいた」と言っていました。でも今は、10〜15時のシフトで入れる主婦の方・15〜20時のシフトで入れるダブルワークの方・週末だけ入れる方──こういった複数の短時間スタッフを組み合わせることで、長時間1人に頼る体制から脱却できます。

これは最初は管理が大変に感じるかもしれない。でもスタッフそれぞれの生活スタイルに合った働き方ができるから、辞めにくいんです。辞めにくい環境=定着率アップ、ということですね。

また、価値観の合う人を最初から選ぶことも大切です。求人で「新しいことにチャレンジしたい方」「テキパキ動くのが好きな方」「お客さんと会話を楽しみながら働きたい方」といった価値観軸の言葉を入れることで、時給だけを目当てに来る人ではなく、仕事そのものに共感して来てくれる人が集まりやすくなります。

さらに、スタッフの趣味・特技を仕事に活かす発想も持ってほしいんです。たとえばお酒の知識が豊富なスタッフがいれば、そのスタッフがペアリングを提案するコーナーを作る。料理好きなスタッフがいればまかないのメニュー考案に参加してもらう。こうすることで「この店で働く意味」が生まれて、定着率が一気に上がります。

採用コストと機会損失を正しく比較する──時給100円の議論より大切なこと

「時給を100円上げるかどうか」という議論をしている経営者の方が多いんですが、ここで一度、冷静に数字を見てほしいんです。

1人採用できなかったことで、どれだけの機会損失が生まれているか。忙しいランチタイムに人手が足りなくて1時間に10組断ったとしたら、1組3,000円として3万円の損失。これが月に何日も続いたら、時給100円の差なんて吹き飛んでしまう。

採用コストも同じです。求人広告に毎月お金を使っているのに採用できていない状態が3ヶ月続くより、少し広告枠を大きくして1回で採用できた方がずっと安い。

Aさんに「時給を100円上げるくらいなら、その分を求人広告の枠拡大と写真撮影に使ってみましょう」と提案しました。時給を上げても既存スタッフ全員の人件費が上がるだけで、採用力は変わらない。でも広告の質を上げれば、採用力そのものが変わるんです。

これが「時給競争から抜け出す」ということですね。

「客数を前年比40%増やすことができ、売上・利益ともに過去最高を更新しました。スタッフの採用・定着が安定したことが、現場力アップにつながったと感じています。」

飲食店経営者

採用は「仕組み」にして、社長が振り回されない体制をつくる

最後に、採用を「仕組み」にするという話をさせてください。

多くの飲食店経営者が、採用が必要になってから慌てて求人を出す。これが一番コストがかかるやり方です。

理想は、常にゆるく採用の窓口を開けておくことです。「今すぐ採用が必要ではないけれど、良い方がいれば歓迎です」というスタンスで、お店のSNSや入り口の掲示板などで継続的に情報を出しておく。そうすることで、急に欠員が出ても慌てない体制ができる。

また、既存スタッフからの紹介制度も非常に効果的です。紹介してくれたスタッフに小さなお礼を用意するだけで、紹介ルートができる。紹介で来た人は最初から職場の雰囲気を知っている分、定着率が高いんですよ。

Aさんとの対話の最後に、「採用で困っている時間と労力を、既存スタッフとの関係を深めることに使ったら、辞める人が減って、結果的に採用コストが下がるかもしれませんね」という話をしました。そうなんです、採用コストを下げる一番の近道は「定着率を上げること」なんです。

まとめ──時給競争から降りて、「選ばれる職場」になろう

今回の内容を整理すると、こういうことです。

飲食店の採用問題の本質は、時給の高さではなく「狙う層のズレ」と「求人の伝え方の問題」にあります。競争が激しい若い層を追い続けるのをやめて、余っている層に狙いを切り替える。求人広告では時給以外の価値(まかない・シフトの柔軟さ・職場の雰囲気・個人店ならではの特典)を具体的に伝える。そして「仕事をスタッフに合わせる」発想で定着率を上げる。この3つを実践するだけで、採用の景色がガラッと変わります。

採用で消耗する時間とコストを減らして、本来の経営者の仕事──儲かる仕組みをつくること、お客さんに喜ばれる料理・サービスを磨くこと──に時間を使ってほしいんです。

素直に一つ一つ実践してくれる経営者ほど、結果が出ます。ぜひ今日から1つ、試してみてください。

採用戦略も含めた飲食店経営全体の仕組みづくりに興味がある方は、ぜひ以下もご覧ください。全国の飲食店経営者が実践して成果を出しているノウハウを、体系的にまとめています。お気軽にのぞいてみてください。

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