オペレーション改善

【飲食店 デリバリー 始め方】デリバリーとテイクアウトの客層の違い

実は、デリバリーを始めた飲食店の約6割が「思ったより利益が残らない」という感想を持っている、というのはご存じでしょうか。Uber Eatsなどのフードデリバリーサービスが急拡大したコロナ禍以降、「とりあえずデリバリーに登録した」という飲食店さんは本当に多かったんですよ。でも、登録して注文が来ても、手数料を引かれて手元に残る利益がほとんどない……という声をよく耳にします。

じゃあデリバリーはやるべきじゃないのか、というとそうじゃないんですよね。問題は「デリバリーとテイクアウトの客層がまったく違う」という前提を理解せずに始めてしまうことにあります。客層が違うということは、刺さる言葉も、売るべき商品も、価格設定も、全部違うということ。ここを抑えないまま「とりあえず同じメニューをデリバリーでも出す」だと、労力だけかかって利益が残らない、という状態になりやすいんです。

この記事では、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室の経営支援をしてきた中で見えてきた、デリバリーとテイクアウトの客層の違いと、正しい始め方の考え方をお伝えします。

こんな方におすすめ

  • ✅ デリバリーを始めようか検討中の飲食店オーナーの方
  • ✅ デリバリーを始めたけれど利益が残らないと感じている方
  • ✅ テイクアウトとデリバリーの違いをきちんと理解したい方
  • ✅ 店内・テイクアウト・デリバリーの3つの窓口をうまく使い分けたい方
  • ✅ 利益の残る売上構造を作りたいと思っている飲食店経営者の方

デリバリーとテイクアウト、お客さんの「動機」がまるで違う

まずここを整理しておきましょう。テイクアウトを使うお客さんと、デリバリーを使うお客さんは、「なぜそのサービスを使うのか」という動機がまったく異なります。

テイクアウトを使う方は、多くの場合「お店の近くにいる人」です。職場の昼休みに近くのお弁当を買いに来る、家の帰り道に夕食を持ち帰る、といった行動パターンですよね。つまり、すでにお店の存在を知っている、もしくは近くを通りかかった人が多い。商圏でいうと半径500メートル〜1キロ圏内の方が中心になります。

一方、デリバリーを使うお客さんは「今、自分がいる場所から動きたくない人」です。自宅でリモートワーク中、子育て中でなかなか外に出られない、夜遅くて出歩きたくない──そういった状況の方が使うんですね。この層は、必ずしもお店の近くにいるわけではないし、あなたのお店のことを事前に知らなくてもアプリ上で「この料理が食べたい」と検索して注文してくる。

つまり、テイクアウトは「お店ありき」で来るお客さん、デリバリーは「料理・ジャンルありき」で来るお客さん、という感じですね。この違いを理解するだけで、打つべき手がかなり変わってくるんですよ。

あるラーメン店のケース──「テイクアウトで勝てたのにデリバリーで失敗した理由」

実際にあったケースをお話しします。神奈川県の郊外でラーメン店を営んでいるオーナーさんが、コロナ禍に売上が落ち込んでテイクアウトを始めたところ、これが好評でしっかり利益も出たんです。地域の常連さんが「持ち帰りできるなら」と使ってくれたから。

その成功体験を元に、次はデリバリーも始めたんですね。Uber Eatsに登録して、同じラーメンを同じ価格で出した。最初は注文もそこそこ入ったんですが、3ヶ月後の収支を計算したら、売上は立っているのに手数料・梱包材・配達可能エリアに対応するための人件費を合わせると、利益がほぼゼロという状況になっていた。

問題は2つありました。ひとつは価格設定がデリバリー仕様になっていなかったこと。デリバリーの手数料は売上の30〜35%前後かかるケースが多いんですが、その分を価格に上乗せしていなかった。テイクアウトと同じ価格のままデリバリーに出しても、手数料で利益が消えるだけなんですよね。

もうひとつは、デリバリーのお客さんに響くメニュー設計になっていなかったこと。デリバリーで注文する人は「届いたときに美味しく食べられるか」を基準に選んでいます。ラーメンは時間が経つと麺が伸びる。それを解決するために麺を別添えにするとか、スープと麺のセット形式で届けるとか、そういう工夫が必要だったんです。

このオーナーさんはその後、デリバリー専用の「冷凍ラーメンセット」を開発して通販にも展開、こちらが利益の柱になったんですよね。デリバリーの失敗が、新しい売上窓口を作るきっかけになったという感じです。

✓ ここまでのポイント

  • テイクアウトは「お店を知っているお客さん」が中心、デリバリーは「料理ジャンルで選ぶお客さん」が中心で、客層の動機がまるで違う
  • デリバリーは手数料が高い分、価格設定をデリバリー仕様にしないと利益が消える
  • 「テイクアウトで売れたから同じメニューをデリバリーでも」という発想は危険。デリバリー向けの商品設計が必要

デリバリーを始める前に確認すべき「利益の計算式」

デリバリーを始めるかどうかを考える前に、まず「利益が出る構造になっているか」を確認してください。

飲食店の場合、売上から原価・人件費・地代家賃・その他経費を引いた残りが営業利益ですよね。デリバリーの場合は、これにプラスしてプラットフォーム手数料・梱包資材費・(自前配達なら)配達人件費がかかります。

ざっくりとした計算でいうと、デリバリーサービスの手数料が売上の35%かかるとしたら、原価30%と合わせると原価+手数料だけで65%になってしまう。残り35%で人件費・家賃・その他をまかなって利益を出さないといけない。これ、普通のメニュー価格のままで出したら、絶対に利益が残らないですよね。

だからデリバリーを始めるときは、デリバリー価格=店内価格×1.2〜1.3倍が最低ラインになることが多いです。「値段が上がったら注文が来なくなるんじゃないか」と心配する方も多いんですが、デリバリーのお客さんはそもそも「外に出ずに食べられる便利さ」にお金を払っています。多少価格が高くても、そこに価値を感じているから注文する。価格だけで選ぶ層は、元々リピーターになりにくい層でもあるので、割り切って考えてください。

また、デリバリーに向いているメニューと向いていないメニューがあります。向いているのは温かさが長持ちする・冷めても美味しい・見た目が映えるもの。唐揚げ・焼肉・カレー・丼物・ピザ・寿司あたりは相性がいいですよね。逆にラーメンや天ぷらのように、時間が経つと品質が落ちやすいものは、届け方の工夫か、デリバリー専用のアレンジが必要になります。

「POPとメニューブックを改善したことで客単価が5%アップし、売上が過去最高を達成しました。デリバリーでも同じように、どう見せるかで全然変わると実感しています」

中華料理店オーナー

テイクアウトとデリバリーを「窓口」として使い分ける発想

整理すると、テイクアウトとデリバリーは別々の「売上の窓口」として設計するのが正解です。お店の売上窓口を増やすという意味では、店内・テイクアウト・デリバリー・通販の4つを意識するといいですよ。

テイクアウトは地域の常連さんや近隣の方との接点を深める窓口として機能します。テイクアウトで来てくれた方が、次は「ゆっくり食べたいから店内で」と来てくれたり、「友人を連れていきたい」と口コミしてくれたりする。つまり、テイクアウトは既存のお客さんとの関係を深めるツールになりやすいんですよ。

デリバリーは逆に、今まで接点がなかった新しいお客さんに料理を知ってもらう窓口として機能します。デリバリーで食べて「美味しかった!今度は実際にお店に行ってみたい」と思ってもらえれば、新規のファンが生まれます。だからデリバリーの梱包にお店のショップカードやLINE登録の案内を入れておくと、デリバリーが新規客獲得の入り口になるんですよね。

利益がしっかり残る店舗さんは、この窓口の使い分けを意識していることが多いです。「デリバリーで来てくれたお客さんをどうやってリピーターにするか」まで設計している。これが「仕組みに働いてもらう」という考え方につながってくるんですよ。

「ハガキによる再来店対策だけで、来店が月4回ペースのお客様が続出しました。平均来店間隔が2ヶ月に1回だったのが、大幅に短縮できたんです」

飲食店オーナー

デリバリーの始め方──順番を間違えないための3ステップ

「じゃあ実際にどういう順番で始めればいいの?」という話をしますね。

ステップ1:まず利益の出る価格設計をする
手数料・梱包費・その他コストを足した上で、営業利益が10〜15%残る価格を設定する。ここを最初に決めないと、忙しいだけで利益ゼロ、という状態になります。

ステップ2:デリバリーに特化したメニューラインナップを作る
既存の全メニューをそのままデリバリーに出すのではなく、「デリバリー向けに映えて、届いても美味しいメニュー」を5〜8品に絞る。少ない品数に絞った方が、写真撮影や品質管理も楽になるし、注文が集中してオペレーションも安定します。

ステップ3:梱包にお店の連絡先・LINE案内を入れる
デリバリーのお客さんは、あなたのお店のことをほとんど知らない状態で注文しています。梱包にショップカード・LINE登録QRコード・お礼のメッセージカードを入れておくだけで、次の接点を作ることができます。ここを省いてしまうと、デリバリーがただの「一見さん商売」で終わってしまうんですよね。

この3ステップを踏んだ上でスタートすると、「利益が残らない」というよくある失敗を防ぎやすくなります。デリバリーもテイクアウトも、あくまでお客さんとの出会いの窓口。その窓口から、どうやってお店のファンになってもらうか、という全体設計が大事なんですよ。

まとめ

デリバリーとテイクアウトは、客層も動機もまったく違います。「同じ飲食店への注文」でも、テイクアウトはお店を知っている近隣のお客さんが中心、デリバリーは料理ジャンルで選ぶ遠隔のお客さんが中心。この違いを踏まえて、価格設定・メニュー設計・再来店の仕掛けを別々に設計するのが正解です。

大事なのは、どちらも「利益が残る構造になっているか」を先に確認すること。売上が立っても手元に残らなければ、忙しいだけ損。デリバリーを始めるなら、まず価格設計から入ってください。

店内・テイクアウト・デリバリー・通販の4つの窓口を使い分けながら、顧客1人あたりの累計利益を最大化していく──これが今の時代に利益を残す飲食店経営の基本的な考え方です。ぜひ今日の内容を参考に、あなたのお店の窓口設計を見直してみてください。

「どの窓口からどうやって利益を取りにいくか」の全体設計について、さらに詳しく知りたい方には、こちらの教科書が参考になります。実際に販促の改善をどう進めていくか、お客さんの購買行動を軸に体系的にまとめていますので、ぜひご覧ください。

👉 顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

また、全国の飲食店・美容室オーナーさんと一緒に実践を進める会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」では、デリバリー・テイクアウトの収益設計から再来店対策まで、月々の販促計画を一緒に作っています。初月はお試し体験からスタートできますので、気になる方はお気軽に覗いてみてください。お待ちしています。

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