先日、東京都内で居酒屋を営んでいるオーナーさんからこんな相談をいただきました。
「求人サイトに掲載しても反応がない。時給を上げてみても応募が来ない。もうどうすればいいか…」
このお悩み、本当によく聞くんですよ。飲食店の人手不足は今や「慢性病」みたいなもので、コロナ前よりも深刻になっているお店のほうが多いくらいです。
ただ、話を掘り下げていくと、多くの経営者さんに共通する「ある勘違い」が見えてきます。それは「みんなが欲しがっている人材を、みんなと同じ方法で取り合っている」という状態なんですよ。
今日はその勘違いを解消して、人手不足を根本から変える「余っている人材」の活用法をお伝えします。ぜひ最後まで読んでみてください。
こんな方におすすめ
- ✅ 求人広告を出しても応募がほとんど来ない飲食店経営者の方
- ✅ 時給を上げても採用できず、採用コストが膨らんでいる方
- ✅ 若手・新卒採用ばかり狙って行き詰まりを感じている方
- ✅ スタッフが定着せず、毎年採用し直している方
- ✅ 人手不足で自分が現場を離れられなくなっている方

なぜ飲食店の求人は「時給を上げても」うまくいかないのか?
まず根本の話をしますね。多くの飲食店が求人で苦労しているのは、「欲しい人材の需給バランスが完全に崩れているフィールド」で戦っているからなんです。
20代の若者、フルタイムで入れる人、飲食経験者──こういった人材は、チェーン店も個人店も、飲食以外の業界も全員が欲しがっています。当然ながら競争は激しくなる一方で、時給を上げても大手チェーンにはなかなか勝てない。
ここで冷静に考えてほしいんですけど、時給を100円上げるとどうなるか。仮に1日5時間勤務のスタッフが3人いたら、1ヶ月で約450円×3人×25日=月3万3,750円のコスト増です。年間では40万円を超えます。
それだけのコストをかけても「採用できない・定着しない」なら、もはや時給を上げることは解決策になっていないんですよ。
じゃあどうするか。答えはシンプルで、「足りていない層」を追うのをやめて、「余っている層」に目を向けるということです。
「余っている人材」とは具体的にどんな人?
余っている人材というのは、決してクオリティが低い人たちではありません。むしろ、経験豊富で責任感が高く、長く働いてくれる可能性が高い人たちです。具体的には以下のような方々ですね。
- 子育てが一段落した主婦・主夫の方(午前中〜昼過ぎだけ働きたい)
- 定年退職後に社会と繋がりたいシニア層(体を動かしながら人と関わりたい)
- 本業と並行したダブルワーク希望者(週2〜3日、短時間でいい)
- 子どもが保育園・学校に行っている間だけ働きたい方(9〜14時の短時間シフト)
こういった方々は「フルタイムで採用したい」という従来の枠組みで求人を出すと、はじめから対象外になってしまいます。でも「10時〜15時・残業なし・土日祝休み」という条件を整えるだけで、一気に応募が増えるんですよ。
実際に、私がサポートした飲食店さんでは、求人広告の出し方を変えて「まかない食べ放題」などの魅力を打ち出したところ、それまで音沙汰なしだった求人に優良スタッフの採用が続いたという事例があります。
「求人広告の出し方を変え、まかない食べ放題などの訴求を入れたことで、これまで応募がなかったのが嘘のように、気持ちよく長く働いてくれるスタッフを採用できました。こんなにシンプルな変更で変わるとは思っていませんでした。」
飲食店オーナー(40代・男性)
✓ ここまでのポイント
- 時給を上げて若手・フルタイム人材を取り合う戦いは、個人店には不利なゲームです
- 主婦・シニア・ダブルワーク希望者など「余っている人材層」に目を向けると採用競争から降りられます
- 勤務条件(時間・曜日・残業の有無)を「人材に合わせて設計する」発想が鍵です
求人広告はどう変えれば反応が変わるのか?
求人広告の中身の話をしますね。多くの飲食店の求人を見ると、こんな感じになっています。
「時給1,100円〜/経験者優遇/シフト相談OK/交通費支給」
これ、正直なところ他の店と全く同じに見えるんですよ。情報量が少なくて、「なぜここで働かないといけないのか」が全く伝わってこない。
しかも「シフト相談OK」という言葉、一見親切に見えるんですが、都合優先で来て都合で辞める人が集まりやすい表現なんです。なので私はこの言葉を求人に使うのはおすすめしていません。
代わりに意識してほしいのが、「誰に向けて書いているかが一目でわかる呼びかけ」を入れることです。
たとえば、
- 「結婚・出産を経て、また社会に出たいと思っている方へ」
- 「子どもが保育園に行っている午前中だけ働きたい方、大歓迎です」
- 「定年後も人と関わりながら元気に働きたい方、一緒に働きませんか」
- 「週3日・短時間でテキパキ働きたい方を探しています」
こういった一文があるだけで、「これは私のことだ」と感じる人が現れます。ターゲットを絞ることで、ぴったりの人が動き出すんですよ。
また、求人枠はできるだけ大きく取って、実際にそこで働いている人の写真や、「1日のスケジュール例」を入れることも大事です。「働く姿が具体的にイメージできるかどうか」が応募の決め手になることが多いんですね。
短時間スタッフを活かすシフト設計はどうすればいい?
「でも短時間スタッフばかりになったら、現場が回らないんじゃ…」という心配、わかります。ここでの発想の転換が重要で、「1人に長時間入ってもらう」より「複数人に短時間ずつ入ってもらう」シフト設計に切り替えるんです。
たとえばランチタイム(11時〜14時)は主婦Aさん・主婦Bさんの2名体制、夕方〜夜のピーク(17時〜21時)はダブルワークのCさんとシニアのDさん──という感じで、複数の短時間スタッフを組み合わせてシフトを組む。
最初は「管理が大変かな」と感じるかもしれませんが、1人が体調を崩しても他の誰かでカバーできるため、結果的にお店の安定性は上がります。特定の1人に依存しているほうが、実はリスクが高いんですよ。
そして大切なのが、仕事をスタッフに合わせるという発想を持つこと。「この時間帯だけ入れる人」に合わせて業務を設計し直すと、意外とすんなり回るものです。たとえば仕込みだけ担当するスタッフ、ホールだけ担当するスタッフ、と役割を分けてしまうことで、短時間でも戦力になる環境が作れます。
「客数を前年比40%増やし、売上・利益ともに過去最高を更新できました。スタッフの採用・定着が安定したことが大きな要因のひとつです。」
飲食店オーナー(50代・男性)
採用した後、スタッフに長く働いてもらうにはどうすればいい?
採用できたとしても、すぐに辞めてしまっては元も子もないですよね。定着してもらうために、実はもう一段階やるべきことがあります。
それが、「価値観の言語化」です。
時給だけで繋がっているスタッフは、時給が高い職場が現れたら移ってしまいます。でも「この店の考え方が好き」「ここのオーナーの姿勢に共感している」という繋がりがあれば、多少の条件差は超えられます。
具体的には、お店として大切にしていること・やらないことのルールを明文化して、採用面接の段階からしっかり伝えることです。「うちはこんな考えで店をやっています。それに共感してくれる人と一緒に働きたい」という姿勢を打ち出す。
求人の段階から価値観で選ぶような呼びかけ(「新しいことに挑戦したい人」「お客さんの笑顔を大事にしたい人」など)をしておくと、面接に来る時点で考え方の近い人が集まりやすくなります。
あとは、スタッフの趣味や得意なことに仕事を合わせる発想も意外と大事で、たとえばSNSが得意なスタッフがいたら投稿を任せる、丁寧な接客が得意な人にはVIPテーブルを担当してもらう──そういった「活躍できる場」を作ることが、定着率の向上に直結します。
まとめ:採用競争から「降りる」ことが人手不足解決の第一歩
飲食店の人手不足は、正直なところ「戦う場所」を間違えていることで起きているケースが大半です。
若手・フルタイム・経験者というみんなが欲しがる人材を、みんなと同じ方法で取り合っていたら、体力のある大手チェーンにはまず勝てません。
でも、余っている人材層に目を向けて、その人たちが「働きやすい条件」を整えれば、採用競争そのものから降りることができます。時給を上げるコストよりも、求人の見せ方を変えるほうがずっと効果的で、費用対効果も高いんですよ。
採用がうまくいくと、現場が安定して、経営者であるあなた自身が現場から少しずつ離れられるようになります。そうなって初めて、「儲かる仕組みをつくる」という本来の経営者の仕事に時間を使えるようになるんです。
今日お伝えした内容を、ぜひ明日の求人広告の見直しから始めてみてください。「誰に向けて書いているか」を一文加えるだけでも、反応は変わってきます。
もっと具体的に「うちのお店ならどう変えればいいか」を知りたい方は、まずこちらの教科書をご覧ください。お客さんの動きを軸にした販促の考え方を体系的に整理しています。採用だけでなく、集客・単価アップ・再来店対策まで一緒に見直すきっかけになると思いますよ。
また、毎月全国の飲食店・美容室の経営者さんたちと一緒に実践を積み重ねている会員制のサポートもあります。採用・集客・利益改善、どのテーマでも仲間と一緒に取り組める環境です。初月はお試し体験もできますので、ぜひ一度のぞいてみてください。お待ちしております。