春になると、飲食店の求人チラシがいっせいに街に増えますよね。でも毎年この時期、「また出したけど来ない…」「やっと採れたと思ったら3ヶ月で辞めた…」という声が、全国の会員さんたちからよく届きます。
人手不足は今に始まった話じゃないですが、ここ数年で本当に深刻になってきた。特に個人経営の飲食店は、大手チェーンみたいに時給をぐいっと上げることもできないし、求人サイトに大きな枠を取る予算もない。正直、不利な戦いを強いられている部分もあります。
ただ、僕が全国の飲食店を支援してきた中でわかったことがあって。「辞めないスタッフが集まらない」のは、時給の問題じゃないんですよ。求人の書き方と、集めるべき層を間違えているだけのケースがほとんどなんです。
今日はそのチェックポイントを整理してお伝えします。自分のお店の求人、当てはまっていないか確認しながら読んでみてください。
こんな方におすすめ
- ✅ 求人を出しても応募が少なく、採用に毎回苦労している飲食店オーナー
- ✅ せっかく採用したスタッフがすぐに辞めてしまい、定着率の低さに頭を抱えている方
- ✅ 時給を上げずにスタッフに選ばれるお店にしたい方
- ✅ どんな層をターゲットにして求人を書けばいいか迷っている方
- ✅ 求人広告の「書き方」を一から見直したい飲食店経営者
チェック①:「誰に向けた求人か」がぼやけていませんか?
まず最初にやってほしいのが、今の自分の求人票を見て「誰に読んでほしくて書いたか」を言語化できるか確認することです。
「明るく元気な方歓迎」「未経験OK」「時給〇〇円〜」──これ、ほとんどのお店が同じことを書いているんですよ。お客さんの目線に立ってみたら、一覧ページで並んだ瞬間に埋もれます。
飲食業界でよくある求人の失敗パターンは、「誰でもいいから来てほしい」という気持ちが求人にそのまま出てしまっていること。でもこれ、逆効果なんです。ターゲットがぼやけた求人には、「とりあえず応募してみよう」という温度感の低い人が集まりやすい。定着しないのは当然の結果になります。
じゃあどうするか。ターゲットを「余っている層」に向けて絞るんです。
今、飲食店の求人で激しい競争になっているのは「新卒・20代・フルタイム希望者」の層。でも、市場全体で見ると「主婦・主夫層」「定年退職後に少し働きたい方」「ダブルワーク希望の方」「子育てが一段落した方」などは、実はまだまだ余っている層なんです。そしてこの層は、時給よりも働きやすさ・職場の雰囲気・シフトの融通度を重視する傾向が強い。
「結婚・出産後に復職したい方へ」「10〜15時だけ、週3日から働ける環境を整えています」──こういう一文があるだけで、ぐっと応募者のイメージが変わりますよ。
チェック②:求人票に「働く姿」が見えていますか?
次は求人票の中身の問題です。
求人票を読んだ人が「このお店で働いたら、自分はどんな毎日を過ごすんだろう」とイメージできるかどうか、これがすごく大事なんですよ。
文字だけの求人は読み流されます。写真が入るなら、スタッフが笑顔で働いている場面、調理の様子、休憩室、まかないのごはん──そういう「日常の一コマ」が伝わるものが理想的です。写真一枚で「なんかここ雰囲気よさそう」と感じてもらえるかどうかが、応募の分岐点になります。
文章でも同じことができます。たとえばこんな感じです。
「うちは仕込みの時間が特に楽しくて、スタッフ同士でお喋りしながら準備してます。お昼のまかないはシェフが毎日趣向を凝らして作ってくれるので、それを楽しみに来てるスタッフもいるくらいです」
こういう一言があると、働くイメージが一気に湧くじゃないですか。求人票って、ある意味お店の「採用向けの販促物」なんです。お客さんに向けたメニューブックと同じで、相手が欲しい情報をちゃんと載せること。これだけで応募の質が変わります。
✓ ここまでのポイント
- 求人のターゲットを「新卒・若手」から「主婦・退職者・ダブルワーク希望者」など余っている層に切り替えるだけで競争から抜け出せる
- 「誰でも歓迎」ではなく、具体的な働き方・時間帯・ライフスタイルに響く言葉で絞り込む
- 求人票は採用向けの販促物。働く姿が目に浮かぶ写真・文章で「ここで働きたい」を引き出す
チェック③:勤務条件は「スタッフに合わせる」発想になっていますか?
これ、できていないお店が本当に多いんです。
「お店のシフトに合わせてもらう」前提で考えているか、「スタッフの生活リズムに仕事を合わせる」発想があるかで、定着率が大きく変わります。
たとえば「子育て中のお母さん」を採用したいなら、「10〜14時勤務・土日祝休み・残業なし」という条件が整っていることが大前提です。これを用意できないまま「主婦歓迎」と書いても、実態と違うということで短期離職につながる。
「短時間でテキパキ働ける人が向いている職場です」という打ち出し方に変えることで、長時間拘束が難しい人でも「ここなら合うかも」と感じてもらえます。
また、「シフト相談OK」という表現は要注意です。この言葉、一見スタッフ側に優しそうに見えますが、実際には「都合優先で頻繁にシフトを変えたい人」を集める磁石になってしまうことが多い。求人で使う言葉は、集まってほしい人に響くかどうかを常にチェックしてください。
チェック④:「なぜここで働くか」の理由を伝えていますか?
時給が100円高い他店に応募者が流れる──これはよくある話です。でも、時給100円上げても採用コストや入れ替わりによる教育コストと比べると、実はそんなにお得な話でもないんですよ。
時給以外の「ここで働く理由」を明確にすること。これが長期的な定着への近道です。
「うちの店は〇〇という考え方を大切にしていて、こういうスタッフと一緒に働きたい」──こういう価値観の言語化が、似た価値観を持つスタッフを引き寄せます。時給目当てではなく、考え方に共鳴して来てくれた人は辞めにくい。これは間違いないです。
お店の経営理念や大切にしていることを求人に盛り込むのは、「大きな会社がやること」と思っている方も多いですが、それは誤解です。個人店だからこそ、オーナーの人柄・想い・哲学がそのままお店の魅力になる。それを求人という形で外に出すことに意味があります。
「求人広告の出し方を変えて『まかない食べ放題』などを前面に打ち出したら、同じ条件でも応募者の質が変わりました。今は本当に一緒に働きたいと思えるスタッフが揃っています」
飲食店オーナー(40代・男性)
「1店舗経営から始めて、今は治療院を4店舗経営しています。スタッフ採用と定着の仕組みを作ったことが、多店舗展開の大前提でした」
治療院経営者・増益繁盛クラブゴールド会員
チェック⑤:定着のための「職場の仕組み」が整っていますか?
求人の書き方を変えても、職場環境そのものが変わっていなければ意味がありません。採用はゴールじゃなくてスタートですから。
辞めやすい職場に共通するのは、「特定のスタッフや料理長に仕事が集中している」「オーナーや幹部だけが何でも決める」「新しく入ったスタッフが何を頑張ればいいかわからない」といったパターンです。
逆に定着率が高いお店は、「誰でも一定のクオリティで仕事ができるような手順が整っている」「それぞれのスタッフが得意なことを活かせる場がある」という共通点があります。
スタッフの趣味や特技を仕事に活かす発想もおすすめです。たとえばSNSが得意なスタッフにはInstagramの投稿を任せるとか、手先が器用なスタッフには盛り付けを担当してもらうとか。「自分の得意が活かせている」という感覚は、働く満足度に直結します。
求人→採用→定着→活躍のサイクルを一つの流れとして設計する。この視点が、慢性的な人手不足から抜け出す本質的な解決策なんですよ。
まとめ:辞めないスタッフは「書き方」から集まる
今日の内容を整理すると、飲食店のスタッフ定着問題は「時給が低いから」だけじゃない、ということです。
ターゲットを見直す。働く姿を見せる。条件をスタッフの生活に合わせる。価値観で呼びかける。職場の仕組みを整える。この5つのチェックポイント、一つでも「できていなかった」と気づいたなら、まずそこから手をつけてみてください。
全部を一度に変えようとしなくていいです。「やることより、やめることを先に決める」のが僕のスタンスですが、求人でいえば「誰でも歓迎という表現を今すぐやめる」だけでも、応募者の質が変わることがあります。
採用が安定すると、現場が回り始める。現場が回ると、オーナーが経営に使える時間が増える。その時間で仕組みを作ると、さらに安定する。この好循環を作ることが、長く続くお店の基盤になります。
飲食店の採用・定着・組織づくりについてもっと体系的に学びたい方、実際に取り組みながらアドバイスを受けたい方は、ぜひ以下もご覧ください。全国1,000店舗以上を支援してきた経験から、あなたのお店に合った方法をご提案します。
一人で抱え込まず、気軽にのぞいてみてください。お待ちしています。