先日、ある飲食店オーナーの方からこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、2店舗目を出したんですが……1店舗目の売上まで落ちてしまって、両方ともギリギリの状態になってしまいました。どうすればよかったんでしょうか」
このパターン、実は本当によく聞くんですよ。1店舗目が軌道に乗ったように見えて、勢いで2店舗目を出したら全体がガタガタになってしまう。多店舗展開で失敗する経営者には、驚くほど共通した「やらかし方」があるんですね。
今回は、その共通点を正直にお伝えしながら、「じゃあどうすればよかったのか」という話もセットで解説していきます。
こんな方におすすめ
- ✅ 1店舗目が好調で、2店舗目の出店を検討している飲食店オーナーの方
- ✅ 多店舗展開を目指しているけれど、何から準備すればいいかわからない方
- ✅ すでに2店舗目を出したが、思ったように利益が出ていない方
- ✅ 社長が現場に入りっぱなしで、店を離れられないと感じている方
- ✅ 将来的に事業を売却・承継することも視野に入れている飲食店経営者の方

多店舗展開で失敗する経営者の最大の共通点とは?
一言で言うと、「1店舗目が社長ありきで回っている状態のまま、2店舗目を出してしまう」ことです。
「自分が毎日厨房に立っているからこそ料理のクオリティが保てる」「自分が接客するから常連さんが来てくれる」──これ、お客さんからは嬉しい話なんですけど、経営者としては完全にアウトなんですよ。
なぜかというと、社長が1店舗目に張り付いていたら、2店舗目に時間も頭も使えない。逆に2店舗目に注力しはじめた瞬間、1店舗目の売上が落ちる。これがさっきの相談者の方が経験したことそのものです。
多店舗展開の準備で一番最初にやるべきことは、「自分がいなくても1店舗目が回る仕組みを作ること」なんです。これをすっ飛ばして立地や物件の話に飛びついてしまうのが、失敗する経営者の典型的なパターンです。
たとえば、そば屋の「だしを取る」という作業。「これは自分にしかできない」と思い込んでいる方が多いんですが、その作業を細かく分解してみてください。昆布を水に浸す・火にかける・かつお節を入れる・濾す……と分解していくと、ほとんどの工程は誰でもできることに気づくんです。「自分じゃないとできない」は、分解が足りていないだけのケースがほとんどですよ。
なぜ「利益が出ていない状態」での多店舗展開は危険なのか?
これも見落としがちなポイントなんですが、1店舗目が「売上は立っているけど利益があまり残っていない」状態で2店舗目を出してしまうケースがすごく多い。
飲食店の場合、目安として原価30%・人件費30%・地代家賃10%・営業利益10%の「3・3・1・1」という構造があるんですが、この構造が崩れたまま出店してしまうと、2店舗目の初期費用と固定費が一気にのしかかってきて、資金繰りが一気に苦しくなります。
大事なのは、「売上があるから大丈夫」ではなく、「欲しい利益が毎月ちゃんと残っているか」を確認することです。翌月5日には前月の数字を全部把握する──これを「翌月5日ルール」と呼んでいるんですが、これができていない段階で2店舗目の話をするのは正直まだ早い、という感じですね。
2店舗目の出店は「投資」です。投資である以上、1店舗目の利益がその原資になっていないといけない。借り入れで全部賄おうとすると、返済がじわじわと首を絞めてくるんです。
✓ ここまでのポイント
- 多店舗展開の最大の失敗原因は「社長がいないと回らない1店舗目のまま出店すること」
- 「自分にしかできない」は思い込みであり、作業を分解すれば任せられる仕事が見えてくる
- 1店舗目で利益がしっかり残る仕組みが整っていない段階での出店は資金繰りリスクが高い
「メニューと人」の準備なしで出店してしまうのは?
もう一つよくある失敗が、「スタッフ採用と教育」の準備が整わないまま物件を押さえてしまうことです。
物件は「今すぐ決めないと取られる」というプレッシャーがかかりやすいんですよね。だから焦って契約してしまう。でも、いい物件を押さえた後に「人がいない」という状況になると、開店を遅らせるかクオリティが落ちた状態で開店するしかなくなってしまいます。
特に気をつけてほしいのが、「料理長に依存したメニュー構成」のまま2店舗目を出すことです。1店舗目のメニューが料理長の個人技に頼っていると、2店舗目で同じ料理が再現できない。または料理長を2店舗目に回したら1店舗目の質が落ちる、という最悪のジレンマに陥ります。
多店舗展開に耐えられるメニュー構成とは、「料理長がいなくても、ある程度のクオリティで出せる仕組みが作られているもの」なんですね。セントラルキッチンの発想はその典型ですが、大がかりな設備がなくても「下処理を前日にまとめてやる」「ソースはある程度まとめて仕込む」といった工夫だけでも、人依存を減らすことはできます。
「POPとメニューブック改善で客単価が5%アップし、売上過去最高を達成しました。まずは1店舗目を徹底的に磨くことの大切さを実感しています。」
中華料理店オーナー(40代・男性)
「ハガキを使った再来店対策だけで、月4回来てくださるお客さんが続出しました。平均来店間隔が2ヶ月に1回だったのが大幅に短縮され、1店舗目の基盤が固まってきたと感じています。」
飲食店オーナー(50代・男性)
多店舗展開を成功に近づけるために、本当に必要な準備は何か?
ここまでの話をまとめると、多店舗展開で失敗しないための準備は大きく3つです。
① 1店舗目を「仕組み」で回せる状態にする
社長が現場にいなくても、売上・品質が維持できるオペレーションを整えることが最優先です。スタッフ個人の能力に依存しない作業設計と、マニュアル化が鍵になります。
② 1店舗目の利益を確認してから動く
「売上がある」と「利益が残っている」はまったく別の話です。欲しい利益から逆算して年間の販促計画を作り、毎月の数字をきちんと把握できている状態が出発点です。
③ 人とメニューの設計を先に整える
物件よりも先に「どんなスタッフが何人必要か」「メニューは再現性があるか」を考えておく。採用と教育には時間がかかるため、出店の半年前から動き始めるくらいのイメージが必要です。
なお、増益繁盛クラブゴールドの会員さんの中には、1店舗経営から美容室2店経営・治療院4店経営など多店舗展開を実現した方が多数いらっしゃいます。また、4店舗以上の展開ができると一部上場企業への事業売却という出口戦略も現実的な選択肢になってきます。多店舗展開は「ゴール」ではなく、事業価値を高めるための「プロセス」として捉えると、長期的な設計がしやすくなりますよ。
まとめ:「勢い」ではなく「仕組み」で多店舗展開を考えてほしい
多店舗展開で失敗する経営者の共通点、改めて整理すると──
- 社長ありきの1店舗目のまま出店してしまう
- 利益が残っていない状態で設備投資に踏み切ってしまう
- 人とメニューの準備よりも物件探しを先行させてしまう
どれも「悪意」があってやっているわけじゃなくて、「早く大きくしたい」という前向きな気持ちからの行動なんですよね。ただ、その勢いが裏目に出てしまうのが多店舗展開の怖いところです。
「今の行動の結果が今の売上」──これは1店舗目にも2店舗目にも同じように当てはまります。今の1店舗目の状態が、2店舗目以降の成否を決めると言っても過言ではありません。
まずは今いる1店舗目を「仕組みで回る状態」にすること。そこから多店舗展開の話をはじめてみてください。その一歩の踏み方が、成功と失敗を分ける大きな分かれ道になりますよ。
もし「自分の店の今の状態がどうなのか」「多店舗展開に向けて何から手をつければいいか」など、具体的に考えていきたい方は、ぜひ以下からご確認ください。一緒に整理していきましょう。
また、全国の飲食店・美容室オーナーが集まる会員制サポートも、まずはお試し体験からご参加いただけます。北は北海道から南は沖縄・宮古島、さらには海外在住の経営者まで、一緒に実践している仲間がいます。素直に実践できる方ほど成果が出る場所です。ぜひのぞいてみてください。