オペレーション改善

【居酒屋 客単価 上げ方】一次会需要を取り込む客単価アップ術

先日、大阪で居酒屋を経営している田中さん(仮名)からこんな相談をいただきました。

「ジョイマンさん、うちって二次会の客が多いんですよ。でも一次会のお客さんが来ないから、客単価がなかなか上がらなくて……」

これ、実はすごくよくある話なんですよね。二次会需要って、すでに他のお店でひとしきり飲み食いしてから来るので、どうしても追加注文が少ない。一方で一次会のお客さんは、お腹も空いているし、気分も盛り上がり始めだから、料理もお酒もしっかり頼んでくれるんです。

じゃあなぜ二次会需要ばかりになってしまうのか。そして、どうやって一次会のお客さんを引き込んで客単価を上げていくのか。田中さんとのやり取りを振り返りながら、今日はそのポイントをまとめてお話しします。

こんな方におすすめ

  • ✅ 居酒屋を経営していて、客単価がなかなか上がらないと感じている方
  • ✅ 二次会客が多く、一次会客を取り込む方法を知りたい方
  • ✅ 忙しいのに手元に利益が残らないと悩んでいる居酒屋オーナーの方
  • ✅ POP・メニューブックを使った店内販促を具体的に実践したい方
  • ✅ 値引きや安売りをせずに客単価を上げる方法を探している方

「二次会専門店」になってしまうお店の共通パターン

田中さんのお店、話を聞いてみると間取りも立地も悪くないんです。駅から徒歩3分、席数もゆったり取れている。でも「一次会需要が取れていない」という問題の根っこを掘り下げていくと、ある共通パターンが見えてきました。

まず、お店の「顔」が二次会仕様になっているんです。メニューの一番目立つ場所に低価格の飲み放題コースが大きく書かれていて、料理の情報はその後ろに隠れている。これだと「とりあえず安く飲みたい」「軽く一杯やりたい」という二次会客には響くけど、「今日は美味しいものをしっかり食べたい」という一次会客には刺さらない。

次に、外からお店の中が見えない、もしくは見せていないこと。一次会のお客さんって、「ここ美味しそうだな」「雰囲気良さそうだな」という視覚的な印象でお店を選ぶことが多いんですよね。二次会は「どこでもいいからとりあえず座れれば」という心理なので、外観の影響が少ない。でも一次会はそこが決め手になる。

そして三つ目が、客単価を上げる「仕掛け」がないこと。料理の説明がほとんどない、オススメPOPがない、スタッフが何も提案しない。これでは来てくれたお客さんも「一番安いコースでいいか」となってしまうんですよね。

一次会需要を引き込む「入り口」の整え方

田中さんと話していて最初に取り組んだのが、お店の「入り口」を変えることでした。ここで言う入り口というのは、外観・看板・Googleマップのプロフィール欄・食べログのページ、全部含みます。

一次会のお客さんは、「今日どこ行こうか」と考えながら情報を探しているんですよ。スマホで近くのお店を調べて、「ここ良さそう」と思ったらそのままGoogleマップで経路を調べて来る。だからGoogleマップの写真と説明文が「一次会向け」になっているかどうか、これがものすごく大事です。

田中さんのお店の場合、Googleマップに登録してある写真がお店の外観1枚だけでした。そこで、料理の写真を5〜8枚追加し、「旬の食材を使ったこだわりの一品料理」という説明文に変えました。飲み放題コースの宣伝は一切やめて、「この日に来たら間違いなく美味しいものが食べられる」という印象を作ることを優先した。

食べログのページも同じです。一番最初に目に入るキャッチコピーを変えて、「今夜の一次会はここで決まり」という方向性で統一しました。ターゲットが明確になると、見た目も言葉も自然と揃っていくんですよね。

客単価が上がるメニューブック・POPの作り方

一次会のお客さんが来てくれても、店内の仕掛けがなければ客単価は上がりません。むしろここからが本番です。

まずメニューブックについて。よくあるのが、メニューの種類が多すぎて何が美味しいのかわからない状態。一次会のお客さんって、迷い過ぎると「とりあえずビールとエダマメ」で済ましてしまうんですよ。だから「今日のイチオシ3品」とか「店主が絶対食べてほしい一皿」というコーナーを作って、選択肢を絞ってあげることが大切です。

そしてここが大事なポイントなんですが、収益商品(利益が取れる料理)を目立たせること。集客用の安い料理はあっていい。でも利益が取れる料理にスポットライトを当てて、「これが食べたくてここに来た」と思ってもらえるように演出する。POP一枚で「この料理は何が美味しいのか」「なぜこの値段なのか」をきちんと伝えることで、注文が動くんです。

田中さんのお店では、自家製のタレを使った焼き鳥の盛り合わせ(1,800円)にPOPを付けたら、それまで月に20件ほどしか出ていなかったのが月70件以上に増えた。売上の変化より「利益が出る料理が売れるようになった」ことの方が、経営として意味があるんですよね。

「POPとメニューブックを改善しただけで客単価が5%上がり、売上が過去最高を更新しました。今まで何をしていたんだろうと思いました(笑)」

中華料理店オーナー(40代・男性)

✓ ここまでのポイント

  • 二次会客中心のお店は「入り口の見せ方」が二次会仕様になっていることが多い。Googleマップ・食べログのプロフィールを一次会向けに整えることが第一歩。
  • メニューブックは選択肢を絞り、利益が取れる収益商品を目立たせることが客単価アップの鍵。
  • POP一枚で「なぜ美味しいか」を伝えるだけで、注文数が大きく動く。

スタッフの「ひと声」が客単価を左右する

田中さんとの対談で出てきた話でもう一つ印象的だったのが、スタッフの動き方です。

「注文を取りに行って、注文されたものを持ってくるだけ」になっているお店が本当に多い。でもそれって、スーパーのセルフレジと変わらないんですよ。一次会のお客さん、特に初来店の方って、「このお店は何が美味しいの?」と内心思いながらメニューを見ているんです。そこでスタッフが「今日は○○が入ってきていて、すごく美味しいですよ」と一言添えるだけで、注文が変わる。

難しい接客トレーニングは必要ないです。ただ、今日のオススメを毎日3品スタッフ全員に共有する仕組みを作るだけでいい。「今夜のイチオシは何?」とスタッフ同士で話す習慣ができると、お客さんへの提案も自然に出てくるようになるんですよね。

これが定着してきたお店では、「スタッフに勧められたから頼んだ」という理由で客単価が上がるケースが続出しています。接客の仕組みを作ることが、一番コストのかからない客単価アップ策です。

「値上げしたい」ではなく「値段通りの価値を伝える」という発想

田中さんとの話の最後に出てきたテーマが「値上げ」でした。原価が上がっているし、価格を見直したい。でも客が離れるのが怖い、と。

これについては、一律に全メニューを値上げするのはおすすめしません。そうじゃなくて、集客用の入口メニューは据え置きのままで、収益商品の価格を少し上げる。さらに「なぜその価格なのか」を伝える準備をしてから値上げすることが大事です。

ちなみに面白い話があって、ある会員さんが1,800円で売れなかった自家製ドレッシングを5,000円に値上げしたら、逆に売れるようになって全国の雑誌・新聞に取り上げられた事例があります。価格って、高い方が「価値がある」と感じてもらえることがあるんです。安売りしなくてもちゃんとお客さんは来る。それどころか、安売りすることで「安いお客さん」だけを集めてしまっている可能性がある。

「ハガキによる再来店の仕組みを作ったら、月4回ペースで来てくれるお客さんが続出するようになりました。来店間隔が2ヶ月に1回だったのが劇的に短縮されて、売上と利益が同時に上がりました。」

飲食店オーナー(50代・男性)

まとめ:一次会需要を取り込むことは「利益体質」への転換でもある

今日お話しした内容を整理すると、こういうことです。

居酒屋の客単価を上げるには、二次会需要に依存したお店の構造から抜け出すことが先決です。そのためにやることは大きく3つ。

一つ目は、Googleマップ・食べログなどの「入り口」を一次会向けに整えること。二つ目は、メニューブックとPOPを使って収益商品を目立たせ、「食べたいものが明確になる」店内を作ること。三つ目は、スタッフが今日のオススメを伝える仕組みを作ること。

これらは全部、広告費をかけずにできることです。今あるお店の中で、仕組みを少し変えるだけで客単価は動きます。「頑張って接客を増やす」のではなく、「仕組みに働いてもらう」。これが僕の考える客単価アップの本質です。

田中さんのお店も、今お話しした内容を少しずつ実践してもらって、3ヶ月後には客単価が前年同月比で12%上がりました。何か特別なことをしたわけじゃない。ただ、「一次会のお客さんに来てほしい」という方向性を明確にして、お店の見せ方と仕掛けを揃えていった。それだけなんですよね。

居酒屋の客単価アップに取り組みたい方、どこから手をつければいいか迷っている方は、まず販促の全体像を整理するところから始めてみてください。どのステップで何が弱いかが見えると、打つ手が明確になります。

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