焼鳥屋の廃業率をご存じですか?飲食店全体で見ると、開業から3年以内に約7割が閉店するとも言われています。でも一方で、同じ場所で20年・30年と続いている焼鳥屋さんって、どの街にも必ず1軒はありますよね。
あの「何十年も続いているあのお店」と、3年で閉めてしまうお店の違いは何なのか。実は「料理の腕の差」ではないんですよ。今回は、全国1,000店舗以上の繁盛支援に携わってきた経営コンサルタントのハワードジョイマンが、長く繁盛する焼鳥屋さんに共通する「変わらなさの作り方」について、実際のクライアントとのやり取りを交えながらお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 焼鳥屋を経営していて、売上は立っているのに利益が残らないと感じている方
- ✅ 新規のお客さんは来るのにリピートにつながらず、客数が安定しない方
- ✅ 大手チェーンの焼鳥店との差別化に悩んでいる方
- ✅ 「何十年も続く繁盛店」を目指しているが、何から手をつければいいかわからない方
- ✅ 自分がいないとお店が回らず、経営者として次の一手を考える時間が取れない方

「変わらないお店」は、実は意図的に作られている
先日、ある焼鳥屋の経営者・Tさん(40代・東海地方)とこんな話をしました。Tさんは創業15年のお店を経営されていて、地元のお客さんに長年愛されてきた方です。
「ジョイマンさん、うちって特に何もやってないんですよね。メニューもほとんど変えてないし、値段もそんなに変えてない。でも不思議とお客さんが来てくれるんですよ」
これ、すごく大事な発言なんですよ。
長く続いているお店の経営者さんに話を聞くと、みなさん口をそろえて「特別なことはしていない」と言うんです。でも実際に観察すると、ちゃんと意図的に「変わらない価値」を守っている。これ、偶然じゃないんです。
Tさんのお店の場合、毎年少しずつ値上げをしていたんですが、やり方がうまかった。全メニューを一律に値上げするのではなく、集客の入口になっているメニュー(手ごろな串の盛り合わせ)はそのままの価格を維持しつつ、利益が出やすい単品メニューや日本酒・焼酎のセレクトを充実させて、そこで利益を確保していたんですね。
お客さんから見ると「あのお店、昔と値段変わらないよね」という印象になる。でも実際には、利益が出やすい構造に少しずつシフトしていた。これが「変わらなさを意図的に作る」ということです。
焼鳥屋の繁盛コツは「入口と奥」の設計にある
焼鳥屋が長く繁盛するためにまず整理してほしいのは、メニューを「入口商品」と「収益商品」に分けて考えることです。
入口商品というのは、お客さんが「このお店、入ってみようかな」と思うきっかけになるもの。たとえば「せせり1本90円」とか「もも炭火焼き2本で300円」とか、わかりやすくお得感のあるメニューです。
収益商品は、入ってくれたお客さんに追加で頼んでもらいたいもの。たとえば、店主が仕入れにこだわった希少部位の串、自家製のタレを使った特製丼、季節の野菜焼きの盛り合わせ、こだわりの地酒セットなど。こういったものは、しっかり利益が取れる価格設定ができるんですよ。
よくあるのが、この2つを区別せずに全部「なんとなく安め」に設定してしまっているケースです。お客さんはたくさん来るのに、利益が残らない。「忙しいのに手元にお金がない」という状態になってしまう。
売上よりも利益を重視する、という視点で考えると、メニューの設計から見直す必要があるんですね。
Tさんのお店で実際にやってもらったのは、POPとメニューブックの改善でした。これだけで客単価が5%近く上がって、売上は過去最高になりました。お客さんを増やしたわけじゃないんです。今いるお客さんに、より満足度の高いメニューを選んでもらえるようにしただけ。これが一番コストがかからない利益アップの方法です。
✓ ここまでのポイント
- 「変わらないお店」は偶然ではなく、入口メニューの価格を維持しながら収益商品で利益を確保する設計がある
- メニューを「入口商品」と「収益商品」に分け、お客さんを自然に収益商品へ誘導するPOP・メニューブックの設計が利益アップの近道
- 新規客を増やすより、今いるお客さんの客単価を上げる方が、コストをかけずに利益を伸ばせる
「また来たくなる」仕掛けがリピートを生む
焼鳥屋の繁盛コツとして、もう一つ外せないのが「再来店の仕掛け」です。
あるクライアントの飲食店さんでは、ハガキを使った再来店対策だけで劇的な変化が起きました。
「ハガキによる再来店対策を始めてから、月4回来てくださるお客さんが続出するようになりました。それまで平均2ヶ月に1回だった来店間隔が、大幅に短くなったんです」
飲食店経営者
焼鳥屋さんで言えば、「来月の〇〇の季節限定メニューのご案内」とか、「先日来てくださったお礼と、次回使えるプレゼントのお知らせ」みたいな内容をハガキ1枚送るだけでいい。デジタルに慣れているお客さんほど、手書きのハガキが届くと嬉しいんですよ。
LINEを活用してもいいですね。お店の公式LINEに登録してもらって、定期的に「今週のおすすめ仕入れ情報」や「スタッフのこぼれ話」みたいな情報を送る。でもここで大事なのは、告知ばかりにしないこと。お客さんとの関係性を温める情報発信が、再来店につながります。
新規のお客さんを集めることより、今のお客さんに何度も来てもらうことのほうが、コストがかからなくて利益も出やすい。「新規客には時間をかけない、既存客には時間をかける」というのが、長く繁盛するお店の共通点です。
「この店らしさ」が大手チェーンに勝てる唯一の武器
大手の焼鳥チェーンと同じ土俵で戦うのは、正直しんどいですよね。価格でも、店舗数でも、ブランド認知でも、個人店が勝つのは難しい。
でも、大手が絶対に作れないものがあります。それが「この店らしさ」です。
Tさんのお店には、20年来の常連さんがいます。その方が来るのは、「Tさんに会いに来る」という側面も大きいと言っていました。料理が美味しいのはもちろんだけど、マスターの焼き鳥へのこだわりや、お客さん一人ひとりを覚えている人情味が、その方を引きつけているんですね。
メジャーデビューしなくていい、インディーズバンドでいいんです。全国に知名度を広げようとしなくていい。半径1キロの商圏の中で、「焼鳥と言えばあそこ」と思われるお店になる。それが個人経営の焼鳥屋が目指すべき繁盛の姿です。
そのために大事なのは、「誰のためのお店か」を明確にすること。どんなお客さんに来てほしいのか、どんな時間を過ごしてほしいのか。「誰でも来てください」ではなく、「こういう方に来てほしい」と絞ったほうが、かえってそのお客さんにとって刺さるお店になるんですよ。
「客数を前年比40%増やして、売上・利益ともに過去最高を更新できました。特別なことをやったわけじゃなくて、誰に来てほしいかを整理して、その人に響くメッセージを出し続けただけなんですよね」
飲食店経営者
長く続けるために、今すぐやめることを決める
最後に、Tさんとの対話で印象的だった話をひとつ。
「ジョイマンさん、最近ようやく毎週火曜日を定休日にしたんです。そうしたら、不思議なことに月の売上がほとんど変わらなかったんですよ」
これ、すごく大事な気づきなんです。忙しさと利益は、必ずしも比例しない。週6日開けて疲弊しながら働いても、週5日でコンディションよく働いても、売上があまり変わらないとしたら、どちらがいいか明らかですよね。
長く繁盛するためには、今の仕事の中から「やめること」を先に決める勇気が必要です。深夜まで無理に営業しない、割引クーポンを乱発しない、合わないお客さんに無理に合わせない。そうやって「変わらなくていいもの」と「変えるべきもの」を整理していくことが、20年・30年続くお店の基盤になります。
今の行動の積み重ねが、3年後・5年後の店の形を作るんですね。
まとめ
長く繁盛する焼鳥屋に共通する「変わらなさ」は、偶然の産物ではありません。入口商品で集めて収益商品で利益を確保する設計、既存客との関係を深める再来店の仕掛け、「この店らしさ」を磨き続けるブランド作り──この3つが揃って初めて、地域で長く愛されるお店が出来上がります。
一つひとつは難しいことじゃないんです。でも計画なく場当たり的にやっていると、気づいたら疲弊しているだけになってしまう。目的地から逆算して、順番どおりに取り組むことが大切です。
「自分のお店は今、どこに手をつけるべきか」を整理するところから始めてみてください。もし一人では判断しにくいという方は、まずはメルマガや増益繁盛クラブのお試し体験から、一緒に考えてみませんか。
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