オペレーション改善

なぜ私は「スタッフが辞めない仕組み」にたどり着いたのか

梅雨が明けて、清水の港町にもようやく夏らしい風が吹いてきましたね。この季節、飲食店さんは観光客でにぎわう一方で、学生アルバイトのシフトが読めなくなる時期でもあります。「夏だけ採用してもすぐ辞める」「せっかく教え込んだのに秋になったらいなくなった」──そんな話を会員さんからよく聞くんです。

今日は、そういったスタッフの定着をめぐって、私がどんな経緯でいまの考え方にたどり着いたのか、少し個人的な話を交えながら書いていこうと思います。清水の地で商売を学んで育った経験、市役所を辞めてコンサルとして全国を飛び回ってきた経験、そのなかで見えてきたことがあるんですよ。

📋 この記事でわかること

  1. なぜスタッフが辞めるのか──本当の原因を「分解思考」で見抜く方法
  2. 「スタッフが辞めない仕組み」をつくるための具体的なステップ
  3. 採用の段階から定着は始まっている──求人広告の見直しポイント
  4. 経営理念をスタッフと共有することで組織がどう変わるか

こんな方におすすめ

  • ✅ スタッフがすぐ辞めてしまい、採用と教育に追われている飲食店・美容室オーナーの方
  • ✅ 時給を上げても人が集まらず、採用コストがかさんでいる方
  • ✅ 「自分がいないとお店が回らない」状態から抜け出したい方
  • ✅ スタッフを単なる労働力ではなく、一緒に目標を追う仲間にしたいと感じている方
  • ✅ 1店舗から複数店舗への展開を見据えて、組織の基盤をつくりたい方
なぜ私は「スタッフが辞めない仕組み」にたどり着いたのか | 飲食店・美容室の年商1億円突破の教科書

清水の商売人の家で学んだこと

私はもともと、清水市(現・静岡市清水区)の自営業の家で生まれ育ちました。親戚一同も会社経営をしていたので、子どもの頃から受付台に立って商売を見てきたんですね。そのなかで自然に感じていたのが、「長く続くお店には、長く働いてるスタッフがいる」という事実です。

大学時代はお笑い芸人として活動していて、その後父の急死をきっかけに清水市役所に就職しました。市役所にいた7年間、中小企業診断士の勉強をしながら、週末は無給でイタリアンレストランに修業に行っていたんです。そこで目の当たりにしたのが、「料理長が辞めたら店が潰れる」という典型的なパターンでした。一人のスキルや人間関係に依存しすぎていると、その人が抜けた瞬間にガラガラと崩れる。このとき「これは仕組みの問題だ」と直感しました。

「辞める原因」を分解してみると見えてくること

コンサルとして独立して20年、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室を支援してきたなかで、スタッフが辞める理由をずっと観察してきました。「給料が低い」「人間関係が悪い」──表面的にはそういう答えが返ってきます。でも、もう少し掘り下げると、根っこは別のところにあることが多い。

よくあるのが、求人の段階で「都合優先の人」を引き寄せる言葉を使ってしまっているパターンです。「シフト相談OK」「勤務時間は相談に応じます」という文句は、都合の良い時だけ来たい人を集めやすい。そういう人はお店への帰属感が薄いので、条件が少し変わっただけですぐ離れていく。

もうひとつ大きいのが、経営理念・共通言語がないまま採用しているケースです。なぜこのお店で働くのか、このお店が大切にしていることは何か──それが明文化されていないと、スタッフは「時給をもらいに来る場所」としか認識しません。時給だけで繋がっている関係は、時給で切れる。単純な話なんですよ。

チェックポイント①:求人の言葉が「都合優先の人」を呼び込んでいないか

「シフト相談OK」「誰でも歓迎」など、応募のハードルを下げるための言葉が、逆に職場への帰属意識が低いスタッフを引き寄せる原因になっている場合があります。

✅ ポイント:「新しいことにチャレンジしたい方」「テキパキ短時間で働きたい方」など、価値観軸の言葉に切り替えると、お店の文化に合う人材が集まりやすくなります。

チェックポイント②:スタッフ1人に仕事が集中していないか

料理長やトップスタイリストだけが売上を支えている構造では、その人への負荷が高まり、燃え尽きや離職につながります。

✅ ポイント:料理長以外でも調理できるメニュー、スタイリスト以外でも売上を作れるメニュー構成に見直すことが定着への第一歩です。

チェックポイント③:経営理念・行動原則が明文化されているか

口頭だけで伝えているルールや価値観は、人によって受け取り方がバラバラになります。

✅ ポイント:「このお店が絶対にやらないこと」「このお店が大切にする考え方」を文字にして繰り返し共有することで、スタッフ間の判断基準が揃ってきます。

✓ ここまでのポイント

  • スタッフが辞める本当の原因は「求人の言葉」と「仕組みへの依存」にあることが多い
  • 時給だけで繋がる関係は脆く、価値観・理念で選ばれるお店が定着率を高める
  • 特定のスタッフに業務が集中する構造は、離職リスクと経営リスクを同時に高める

「仕組みに働いてもらう」採用から定着までの流れ

じゃあ、具体的にどうすればいいか。私がクライアントにお伝えしている流れをSTEP形式で紹介しますね。

定着の仕組みをつくる STEP 1

求人の「ターゲット」と「言葉」を見直す

新卒・若手だけを追いかけるのをやめることが最初の一手です。「余っている層」──主婦・定年退職者・ダブルワーク希望者など──に目を向けると、採用競争が一気に緩和されます。求人枠は大きく取り、実際に働く様子が伝わる写真と「結婚・出産後に復職したい方へ」など具体的な呼びかけを入れる。時給を100円上げるより、こっちのほうが効果が出やすいんですよ。

⚠️ よくある失敗:求人サイトの小さな枠に時給しか書いていないパターン。これでは価値観ではなく価格で集まるため、すぐ条件が良い他店に移られます。

定着の仕組みをつくる STEP 2

仕事をスタッフに合わせる発想に切り替える

「10〜15時だけ、残業なし、土日祝休み」という条件を整えると、子育て中の主婦など特定の層には天職に見えます。長時間1人より短時間複数人でシフトを組む発想へ。そしてスタッフの趣味・特技に仕事を合わせる。占い好きなスタッフがいたら占いコーナーを作るくらいの柔軟さが、長く働いてもらえる職場をつくります。

⚠️ よくある失敗:スタッフのプライベートを無視して「お店の都合」でシフトを組み続けると、信頼関係が崩れていきます。

定着の仕組みをつくる STEP 3

経営理念を明文化して繰り返し共有する

理念は1回伝えれば十分ではなく、繰り返しが大事です。朝礼・週次ミーティング・手書きのメモ一枚でもいい。「うちのお店が大切にしていること」を何度も語り続けることで、スタッフの判断基準が揃ってきます。経営者自身が最大の広告である、というのはここにも当てはまります。

⚠️ よくある失敗:理念を作ったのに掲示しておくだけで、日常の会話にまったく出てこない状態。これでは「壁に貼ってある言葉」で終わってしまいます。

「採用は集客と同じです。誰にでも声をかけるのではなく、お店の文化に合う人を選ぶ。お客さんを選ぶように、スタッフも選ぶ。そうすると、不思議と辞めない組織になっていくんですよ」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役/中小企業診断士)

実践した会員さんの変化

こういう話をすると、「理想はわかるけど本当に変わるの?」と思う方もいますよね。だから具体的な話をしますね。

「求人広告の出し方を変えて『まかない食べ放題』などスタッフにとっての魅力を前面に出したところ、これまでと全く違う層から応募が来て、定着してくれる優良スタッフの採用に成功しました。」

増益繁盛クラブゴールド会員(飲食店オーナー)

これ、シンプルに見えますよね。でも実は「求人のターゲットと言葉を変える」という発想の転換が起きているんです。時給という土俵から降りて、「ここで働く理由」を伝えることにシフトした結果です。

また、1店舗経営から美容室2店経営・治療院4店経営など多店舗展開を実現した会員さんも増益繁盛クラブゴールドの中には複数います。多店舗展開できるということは、「自分がいなくても回る仕組み」ができているということ。スタッフが定着し、育ち、店を任せられる関係性ができているということなんですよ。

❌ よくあるパターン(採用しても定着しない)

  • 時給・条件だけで募集するから、条件比較で選ばれ、条件比較で去られる
  • 特定のスタッフに業務が集中し、辞めた瞬間に全てが崩れる
  • 理念や行動規範がないため、トラブル時の判断基準がバラバラになる

✅ 推奨アプローチ(定着率が上がる仕組み)

  • 価値観軸の言葉で「一緒に目標を追える人」を引き寄せる求人設計
  • スタッフの得意・特技に仕事を合わせる柔軟なシフト・役割設計
  • 経営理念を繰り返し語り続けることで、スタッフを「仲間」にしていく

清水から全国へ──地域に根ざしながら仕組みで広がる

私は静岡市清水区の新清水駅から徒歩1分のオフィスを拠点に、北は北海道・南は沖縄・石垣島・宮古島、さらにアメリカ・カナダ・オーストラリアの海外在住者まで会員さんと一緒に仕事をしています。清水港を眺めながら、全国の飲食店・美容室オーナーさんのことを考えている、という感じですね。

全国を見ていると、スタッフの定着問題は地方も都市部も共通の課題です。ただ、地方は「大手チェーンと時給で戦えない」という切実さがある分、仕組みをつくった時の効果が出やすい面もあります。インディーズバンドが地元で根強いファンを作るように、スタッフとの関係性もお金以外の部分で築いていける。

「スタッフが辞めないお店は、スタッフにとって『辞める理由がないお店』じゃなくて、『ここを辞めたくない理由があるお店』なんです。その違いは大きいですよ」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役/中小企業診断士)

まとめ:「仕組み」は一日でできないけれど、一歩は今日できる

スタッフが辞めない仕組みは、採用の言葉・仕事の設計・理念の共有という3つの柱で成り立っています。どれもすぐには完成しないけれど、「今日から変えられること」は必ずあります。求人広告の一文を変えるだけでも、面接に来る人が変わる。朝礼で1つ価値観を語るだけでも、スタッフの動きが少しずつ変わってくる。

「頑張らない繁盛」というのは、力ずくで人を引き止めることじゃないんです。辞めない理由がある職場をつくる、仕組みに働いてもらう、ということなんですよ。

もし今、採用・定着で行き詰まりを感じているなら、ぜひ一度立ち止まって「自分のお店の求人の言葉」と「経営理念の有無」を見直してみてください。そこから変化が始まります。

具体的に何をどう変えればいいか、一緒に考えたいという方は、まず販促・経営の基本的な考え方をまとめた教科書から始めていただくのがおすすめです。

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また、月額制の会員サポート「増益繁盛クラブゴールド」では、採用・定着・組織づくりから売上・利益の仕組みまで、北海道から沖縄・海外の会員さんと一緒に取り組んでいます。初月お試し体験もありますので、まずのぞいてみてください。お気軽にどうぞ。

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