先日、ある飲食店の会員さんからこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、うちの店は毎月売上が立っているのに、なぜかお金が残らないんです。原因がわからなくて……」
話を聞いてみると、料理の原価率が40%近くになっていて、そこに人件費・家賃が乗っかると、ほとんど利益が消えていたんですね。
売上を上げることに一生懸命になっているのに、手元に残るお金が増えない──これは本当に多くの経営者の方が陥っているパターンです。
じゃあ、どうすれば「利益が残る体質」に変われるのか。その答えが粗利率70%を軸にした商品設計なんですよ。
今日はこのテーマを、具体的な数字とともにお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- なぜ「売上があるのに利益が残らない」状況が生まれるのか、その構造的な原因
- 粗利率70%を目指すための商品設計の具体的な考え方と手順
- 集客商品と収益商品を使い分けて、値上げせずに利益を増やす方法
- ノウハウ・体験・コンセプトを付加することで高粗利商品を設計するアプローチ
こんな方におすすめ
- ✅ 売上はあるのに毎月の利益がほとんど残らないと感じている飲食店・美容室のオーナーの方
- ✅ 値上げしたいけれどお客さんが離れそうで怖い、と悩んでいる方
- ✅ 原価率・粗利の計算はしているが、どう改善すればいいかわからない方
- ✅ 安売り・割引セールに頼らずに利益を増やす方法を知りたい方
- ✅ 1人あたりのお客さんから長く・深く利益を取る仕組みを作りたい方

「売上があるのに利益が残らない」は商品設計の問題
まず大前提として、飲食店の理想的なコスト構造をお伝えします。
よく言われるのが「3・3・3・1の法則」。原価30%・人件費30%・地代家賃10%・その他経費20%で、残る営業利益が10%という目安です。
ということは、仮に月商300万円のお店でも、利益として手元に残るのはわずか30万円。これがそもそもの前提なんですね。
さらに、この10%の利益すら出ていないお店が実際にはたくさんあります。なぜかというと、原価率のコントロールができていないからなんです。
原価率が40%になるだけで、それだけで利益が吹き飛びます。だから「売上があるのに利益が残らない」という状況が起きる。
ここを解決するのが「粗利率70%を実現する商品設計」という発想です。粗利率70%というのは、原価率30%で商品を設計するということ。これが利益を残すための基本線になります。
「サイゼリヤの鶏の唐揚げは290円。それで利益が取れているんですよ。なぜかというと、仕入れと製造の設計が徹底されているから。個人店が大手と同じ価格競争をしても勝てない。だから、粗利率の高い商品を自分たちで設計する必要があるんです。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
集客商品と収益商品を分けることから始める
粗利率70%を全商品で実現しようとすると、どこかで無理が生じます。だから大事なのが、商品を「集客商品」と「収益商品」の2種類に分けて考えることです。
❌ よくあるパターン:全メニューを一律で考える
- 原価率の高い商品も低い商品も同じ扱いになる
- 人気商品ほど利益を圧迫している場合がある
- 値上げしようとしても、全体を上げるのは怖くて手が止まる
✅ 推奨アプローチ:商品の役割を分けて設計する
- 集客商品(入口価格):少し割安に見えても問題ない。「ここ、お得だな」と思ってもらえる商品
- 収益商品:粗利率70%以上を目指して設計する。お客さんが「これが欲しかった」と思う商品
- 集客商品で来てもらい、店内販促(POPやメニューブック)で収益商品に誘導する流れを作る
マクドナルドの100円ハンバーガーをイメージしてもらうとわかりやすいですね。あの価格で利益を出そうとは思っていない。ドリンクとポテトのセットで取り返す構造になっているわけです。
個人店でも同じ発想が使えます。たとえば居酒屋なら、ビールや定番のおつまみは相場感に合わせつつ、季節のおすすめ料理や特別なコース料理で粗利率を高く設計する。これが商品設計の基本的な考え方です。
粗利率70%の商品をどう作るか──3つのアプローチ
では具体的に、粗利率70%の商品をどうやって設計するのか。3つのアプローチをご紹介します。
粗利率アップ STEP 1
原価の安い素材×手間と知恵で価値を高める
原価が低い食材でも、調理の工夫・ストーリー・盛り付けで「これを食べたい」と思わせる商品に仕上げることができます。たとえば、地元の規格外野菜を仕入れて「地元農家直送の野菜プレート」として提供する。原価は低くても、地域性・ストーリー性が付加価値になります。見た目で違いを作ること、これが大事なんですね。
⚠️ よくある失敗:原価を下げることだけを考えて、品質や見た目への投資を削ってしまうケース。お客さんが「割に合わない」と感じると再来店につながりません。
粗利率アップ STEP 2
ノウハウ・アドバイス・体験をセットにした商品設計
これはライザップ型の発想です。食事を提供するだけでなく、「糖質が気になる方向けの特別メニュー+栄養アドバイスカード付き」にすると、原価はほぼ変わらないのに価値が大きく変わります。美容室なら「カットだけ」ではなく「髪質診断+ケア方法の説明付き」にすることで、同じ作業でも受け取られる価値が変わります。ノウハウや情報の粗利率は、ほぼ100%なんですよ。これを商品にセットするだけで、全体の粗利率が劇的に上がります。
⚠️ よくある失敗:「自分の知識は当たり前のことだから価値がない」と思ってしまうこと。専門家の「当たり前」は、お客さんにとっての「宝」です。
粗利率アップ STEP 3
価格ではなく「切実な悩み」で選ばれる商品にする
実はこれが一番大事な視点です。お客さんが「価格で選ぶ」状態だと、どこまでいっても価格競争になります。でも「この悩みを解決できるのはここしかない」と思ってもらえる商品設計ができれば、価格は関係なくなります。
実際にうちの会員さんで、1,800円で全然売れなかった自家製ドレッシングを5,000円に値上げしたら逆に売れ始めて、全国の雑誌・新聞に取り上げられた事例があります。「こだわりの製法」「限定感」「ストーリー」が加わったことで、価格が上がっても「だから欲しい」と思われる商品に変わったんですね。
⚠️ よくある失敗:「うちのお客さんは価格に敏感だから」と最初から決めつけてしまうこと。実際は、切実な悩みのあるお客さんはちゃんと価値を判断してくれます。
✓ ここまでのポイント
- 「売上があるのに利益が残らない」は原価率のコントロール不足が主な原因。飲食店の理想は原価率30%、粗利率70%が目安
- 全商品を同じ扱いにするのではなく、集客商品(入口価格)と収益商品(高粗利)を分けて設計することが大切
- ノウハウ・ストーリー・体験を商品にセットするだけで、原価はほぼ変えずに粗利率を大幅に引き上げられる
実際の数字で見る粗利率の変化
ここで実際の数字で考えてみましょう。
たとえば、月商200万円のお店があったとして。
- 原価率40%のまま → 粗利120万円
- 原価率30%に改善 → 粗利140万円
この差は月に20万円、年間240万円。同じ売上、同じ頑張りでも、商品設計を変えるだけでこれだけの差が生まれるんですよ。
さらに、収益商品の粗利率を70%に引き上げた商品を月に50万円分売れたとします(全体の25%)。その部分だけで粗利が35万円。残り150万円を原価率30%で計算すると粗利が105万円。合計140万円の粗利になります。
販促費を使わずに、商品設計を変えるだけで利益構造が変わる。これが粗利率70%を軸にした商品設計の本質です。
「売上を2倍にしようと思うと2倍の努力が必要です。でも原価率を10%下げることで生まれる利益と、売上を増やして生まれる利益が同じになることは珍しくない。だから、まず商品設計を見直すことが最初の一手なんです。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
粗利率70%を「仕組み」として定着させるために
商品設計を変えても、それが一時的で終わってしまったら意味がありません。大事なのは、粗利率70%の商品が継続的に売れる「仕組み」を作ることです。
そのために意識してほしいのが3つのこと。
① メニューブックとPOPで収益商品を前に出す
店内でお客さんが目にする場所に、収益商品を置く。おすすめPOPや「本日のイチオシ」コーナーで誘導するだけで、注文の流れが変わります。実際に、POPとメニューブックの改善だけで客単価5%アップし、売上過去最高を達成した中華料理店の事例があります。
② 割引は収益商品に使わない
値引きをするなら、集客商品か高単価コースに絞ります。1,000円の商品を100円引きにするより、10,000円のコースを1,000円引きにする方が、お客さんへのインパクトは大きく、利益への影響は相対的に小さい。割引するなら高単価商品に絞る、これが基本です。
③ 翌月5日ルールで数字を毎月確認する
商品設計を変えた後、その効果を把握するために「翌月5日ルール」を使います。前月の売上・粗利・原価率を翌月5日までに必ず確認する。数字を把握しなければ、改善のしようがありません。
「POPとメニューブックを見直しただけで客単価が5%上がりました。正直、こんなに変わるとは思っていなかったです。」
中華料理店オーナー(実践会員・40代)
「VIP顧客のリストを整備してLINEで定期的にご案内するようにしたところ、1人あたりのお客さんから得られる累計の利益が大幅に増えました。新規集客にかけていたコストを既存客に向けただけで、こんなに変わるとは思いませんでした。」
飲食店オーナー(増益繁盛クラブゴールド会員)
まとめ:利益が残る体質は「商品設計」から始まる
今日お伝えしてきたことをまとめると、こういうことです。
- 粗利率70%=原価率30%が、利益を残すための基本線
- 集客商品と収益商品を分けて設計する
- ノウハウ・体験・ストーリーを付加して、価格ではなく価値で選ばれる商品にする
- メニューブック・POPで収益商品に誘導する仕組みを作る
- 翌月5日ルールで毎月の数字を確認し、軌道修正する
「売上より利益を重視する」というのが、私がずっと大切にしている考え方です。頑張って売上を上げることより、今の売上から利益をちゃんと取れる体質に変えること。商品設計を見直すだけで、同じ売上から手元に残るお金が大きく変わります。
「何から手をつければいいか」「自分のお店の商品設計のどこを変えればいいか」──そういう具体的な疑問がある方は、まず顧客の購買行動を軸にした販促の全体像を理解することから始めてみてください。商品設計は、販促の仕組み全体の中で考えることで、初めて機能します。
ぜひ下記からご覧いただけると、具体的な改善のヒントが見つかると思います。
👇 まずは販促全体の設計図から確認したい方へ
顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書
また、毎月の商品設計・価格設計・販促計画について、全国の仲間と一緒に実践したい方は、増益繁盛クラブにてサポートしています。初月980円のお試し体験から始めていただけますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
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