売上・単価アップ

経営者が最低限見るべき、PL項目はどれですか?

実は、飲食店経営者の約7割が、損益計算書(PL)をきちんと読みこなせていないというデータがあります。顧問税理士に丸投げしていたり、「数字は苦手」と決算書を引き出しにしまっておく経営者の方、意外と多いんですよ。でも、PLのたった数項目を毎月チェックするだけで、経営判断のスピードが劇的に変わります。

📋 この記事でわかること

  1. 飲食店・美容室オーナーがPLで最低限押さえるべき5つの項目
  2. 「売上を見る」より「利益を見る」ことが重要な理由
  3. 毎月5日に数字を把握する「翌月5日ルール」の実践方法
  4. PLの数字をもとにした、現場で使える改善アクションの考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上はあるのに手元にお金が残らないと感じている飲食店・美容室オーナー
  • ✅ 毎月の数字を税理士任せにしていて、自分ではよくわかっていない方
  • ✅ 決算書・PLを見たことはあるけれど、どこを見ればいいか迷っている方
  • ✅ 「売上は上がっているのに、なぜか苦しい」という状況を抜け出したい方
  • ✅ 数字から逆算して販促・経営判断をできるようになりたい方
経営者が最低限見るべき、PL項目はどれですか? | 飲食店の年商1億円突破の教科書

そもそもPL(損益計算書)とは何ですか?

PLとは「Profit and Loss Statement」の略で、日本語では損益計算書と呼びます。一定期間(月次や年次)の「売上」から「費用」を引いて「利益がいくら残ったか」をまとめた成績表です。

ざっくり言うと、「どれだけ稼いで、どれだけ使って、手元にいくら残ったか」が一枚で見えるシート、というイメージですね。

よく「BSとPLは何が違うの?」と聞かれますが、BS(貸借対照表)が会社の「財産と借金の残高」を示すのに対して、PLは「この期間の稼ぎと使い道の流れ」を示します。経営者が日常的に活用すべきは、まずPLです。

PLの中で、最低限チェックすべき5項目はどれですか?

PLには細かい勘定科目がたくさん並んでいますが、毎月全項目を細かく追う必要はありません。まずはこの5項目だけ見てください。

チェックポイント①:売上高

PLの一番上にある数字です。「今月いくら売れたか」を示します。ただし、ここだけを見て「先月より上がった!」と喜ぶのは危険です。売上は利益の材料であって、ゴールではありません。

✅ ポイント:売上を「客単価 × 客数 × 来店頻度」の3つに分解して把握する習慣を持ちましょう。どこが伸びているか・落ちているかがわかると、打ち手が明確になります。

チェックポイント②:売上原価(食材費・材料費)

飲食店であれば食材費、美容室であればカラー剤・シャンプーなどの材料費にあたります。売上に対する原価の割合を「原価率」と言いますが、業態ごとに目安があります。

✅ ポイント:飲食店の場合、原価率は30%前後が一つの目安。これを超えているなら、仕入れ先の見直しや、メニュー構成の変更を検討する時期です。いきなり値上げより「売価を維持したまま原価率を下げる工夫」が先です。

チェックポイント③:人件費(労務費)

スタッフへの給与・アルバイト代・社会保険料などの合計です。売上に対する人件費の割合を「人件費率」と言います。

✅ ポイント:飲食店では売上の25〜30%が目安。これを大きく超えているお店は、シフトの組み方やスタッフ数の見直しが必要です。「長時間1人より短時間複数人」という発想でシフトを組み直すだけで、改善できるケースも多いですよ。

チェックポイント④:家賃(地代家賃)

テナント料や駐車場代などです。これは毎月固定でかかる費用なので、売上が下がったときにじわじわ経営を圧迫します。

✅ ポイント:売上の10%以内に収まっているかが一つの基準です。これを超えている場合は、売上を上げるか、契約更新のタイミングで家賃交渉を検討しましょう。

チェックポイント⑤:営業利益

売上から原価・人件費・家賃・その他経費を全部引いた「本業で稼いだ利益」です。これがPLの中で最も重要な数字と言っていいです。

✅ ポイント:飲食店の場合、営業利益率10%を一つの目安にしてください。売上1,000万円なら100万円の営業利益が出ているかどうか。ここが赤字や低水準なら、いくら売上が上がっても手元にお金は残りません。

「売上が上がっているのに苦しいというのは、バケツに水を注ぎ続けているのに、底に穴が空いている状態なんですよ。PLを見るというのは、その穴がどこにあるかを確認する作業です。穴を塞がないまま、一生懸命水を注いでも意味がない。」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役/中小企業診断士)

✓ ここまでのポイント

  • PLで最低限見るべきは「売上高・原価・人件費・家賃・営業利益」の5項目
  • 売上だけを見るのではなく、「営業利益が残っているか」が最重要
  • 各項目は業態ごとの目安(原価30%・人件費30%・家賃10%・利益10%)と比較することで、問題箇所が見えてくる

「売上より利益」と言われるのはなぜですか?

「売上1,000万円のお店」と「売上500万円のお店」、どちらが儲かっていると思いますか?実は、営業利益率が15%の500万円店(利益75万円)のほうが、営業利益率3%の1,000万円店(利益30万円)より、2倍以上手元にお金が残っているんです。

❌ よくある誤解:「とにかく売上を上げれば経営が安定する」

  • 割引・セールで客数を増やすが、原価率・人件費率が上昇して利益が消える
  • 繁盛しているように見えるのに、月末になると資金繰りが苦しくなる
  • 毎月忙しく働いているのに、年末の決算書に利益が残っていない

✅ 正しい発想:「欲しい利益から逆算して、売上目標を設定する」

  • 「今年は手元に〇〇万円残したい」から逆算して販促計画を立てる
  • 客単価・客数・来店頻度のどこを伸ばすかを数字で判断できる
  • 安易な値引きをやめ、価値で選ばれる集客に切り替えられる

これが「売上より利益を重視する」という考え方の本質なんですよね。

「POPとメニューブックを見直しただけで客単価が5%アップし、売上・利益ともに過去最高を達成しました。数字を見る習慣がついてから、何を改善すべきかが明確になりました。」

中華料理店オーナー

毎月いつ、どうやってPLを確認すればいいですか?

「翌月5日ルール」という習慣をぜひ取り入れてください。これは、先月の売上・利益の概算を翌月の5日までに自分で把握するというシンプルなルールです。

翌月5日ルール STEP 1

売上の確認

POSレジや帳票から先月の売上合計を出します。細かい分析は後でいいので、まず「先月いくら売れたか」の数字だけを5日までに把握します。

⚠️ よくある失敗:税理士から試算表が届く3〜4週間後まで数字を把握していない。軌道修正のタイミングが一ヶ月以上遅れてしまいます。

翌月5日ルール STEP 2

原価・人件費の概算チェック

先月の仕入れ金額と、アルバイト代を含む人件費の合計を出します。正確な数字は後から税理士に出してもらえばいいので、まず概算で「原価率は何%くらいか」を感覚で把握することが大事です。

⚠️ よくある失敗:正確な数字が出るまで何も判断しない。「だいたいの感覚」を持っているだけでも、異常値に気づくスピードが全然違います。

翌月5日ルール STEP 3

営業利益の概算を出す

売上から原価・人件費・家賃・光熱費などの主要経費を引いて、「今月はプラスかマイナスか」を確認します。この時点で異常があれば、当月中に手を打てます。

⚠️ よくある失敗:毎月末に「先月は赤字だった」と気づく。月の半ばで気づいていれば、当月の販促や仕入れ調整で挽回できる可能性があります。

「VIP顧客リストを整備してLINEを活用し始めたら、お客さん1人あたりの累計の利益が大幅に上がりました。数字の見方が変わったことで、どのお客さんに時間とお金をかけるべきかがわかるようになったんです。」

飲食店オーナー

PLの数字をもとに、次のアクションはどう考えればいいですか?

数字を見ることはゴールではなく、あくまでも「何をするか」を決めるためのスタートです。チェックした結果をもとに、どう動くかの考え方を整理しておきましょう。

まず、原価率が高い場合は、いきなり値上げをするより「売価を維持したまま原価率を下げる工夫」を先に考えてください。仕入れ先の見直し、ロスを減らすオペレーション改善、原価率の低いメニューの比率を上げるPOP活用など、やれることはたくさんあります。

次に、人件費率が高い場合は、シフトの組み方を見直すか、スタッフ一人あたりの売上(生産性)を上げる工夫が必要です。「長時間1人」より「短時間複数人」に切り替えるだけで改善するケースも多いです。

そして、営業利益が出ていない場合に一番やりがちな間違いが、「新規集客を増やすこと」です。でも実は、最も効率がいい順番は「店内販促で客単価アップ → 再来店対策で来店頻度アップ → 最後に新規集客」なんですよ。今いるお客さんに、もう少し高い商品を買ってもらう、もう少し頻繁に来てもらう──そちらを先に整えることで、利益が残りやすい体質に変わっていきます。

私自身、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室・整体院をサポートしてきた中で、「数字を見ない経営者」と「数字を見る経営者」の差は、数年単位で確実に開いていきます。今の行動の結果が今の売上であり、今の数字の把握が次の行動の精度を上げるんですね。

まとめ:数字を見ることは、未来の利益を守ること

PLで最低限見るべき項目は、「売上高・売上原価・人件費・家賃・営業利益」の5つです。この5項目を毎月5日までに自分で概算把握するだけで、経営判断のスピードが劇的に変わります。

数字を読むのが苦手でも大丈夫です。細かい勘定科目を全部覚える必要はありません。まず「営業利益がプラスかマイナスか」「原価率・人件費率が目安の範囲に収まっているか」の2点だけ、来月の5日に確認することから始めてください。

売上より利益を重視すること。欲しい利益から逆算して、今月何をするかを決めること。このシンプルな習慣が、「繁盛しているのに手元にお金が残らない」という状態から抜け出す第一歩になります。

もし「PLを見る習慣はついたけど、そこからどう販促に繋げればいいかわからない」「客単価・来店頻度をどう上げればいいか具体的に知りたい」という方には、実際の改善ステップをまとめた資料をご用意しています。ぜひ参考にしてみてください。

👇 販促改善の具体的なステップを知りたい方はこちら
顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

また、毎月の数字の見方から販促計画の立て方・再来店対策まで、全国の飲食店・美容室オーナーと一緒に実践しながら学べる場もご用意しています。初月980円からのお試し体験もありますので、まず雰囲気だけでも見てみてください。

👇 全国の経営者と一緒に実践する場はこちら
増益繁盛クラブ入会案内

数字を味方につけた経営者が、一番強いんですよ。ぜひ今月の5日、まず一回試してみてください。


-売上・単価アップ