売上・単価アップ

利益を最大化する、商品階層の設計法

先日、東京都内で居酒屋を営む40代の男性オーナーから、こんな相談をいただきました。

「ジョイマンさん、毎月それなりに売上は立ってるんです。でも、月末になると通帳の残高が心もとなくて……。正直、なんで手元にお金が残らないのか、よくわからないんですよね」

これ、本当によくある話なんですよ。売上が悪いわけじゃない。お客さんも来てくれている。でも利益が残らない。その原因の多くは、「商品の作り方」と「価格の設計」にあります。

今回は、その方との対話を振り返りながら、利益を最大化するための「商品階層の設計法」をお伝えしていきます。資金繰りに悩んでいる経営者の方にこそ、読んでほしい内容です。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ売上があるのに利益が残らないのか、その本当の原因
  2. 集客商品と収益商品を分けて設計する「商品階層」の考え方と手順
  3. 粗利70%以上取れる商品設計の具体的な作り方
  4. 資金繰りを根本から改善するための「2ポケット構造」という考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上はあるのに月末になると通帳の残高が不安な方
  • ✅ 値引きや割引に頼った集客から抜け出したい飲食店オーナー
  • ✅ 商品の価格設定をどう見直せばいいか迷っている方
  • ✅ 忙しく働いているのに利益が残らないと感じている経営者の方
  • ✅ 資金繰りを改善して、経営に余裕を持ちたい方
利益を最大化する、商品階層の設計法 | 飲食店の年商1億円突破の教科書

「売上があるのに手元にお金がない」の正体

先ほどの居酒屋オーナーの方に、まず聞いたのは「今、何を売りにしているお店ですか?」という質問でした。

「料理は全部自信あります。特に刺身と煮込み料理は評判いいんですよ。でも価格はまあ、近所の競合店より少し安めに設定してます。そうじゃないと来てもらえないと思って」

ここなんですよ、問題の核心は。

近所の店より安くして集客している。そうすると、集まってくるお客さんは「安いから来た」という人になりやすい。料理の価値で選んでくれているわけじゃないので、少し値上げした瞬間に離れていく。結果、ずっと安いままで売り続けることになる。

これが「忙しいのに利益が残らない」の正体なんですね。

問題は価格だけじゃありません。商品すべてを同じ目的で使っている点も大きい。集客のための商品と、利益を稼ぐための商品が、まったく設計されていない状態です。

この状態を変えるのが、「商品階層の設計」です。

商品階層とは何か――「入口」と「本命」を分けて考える

商品階層というのは、簡単に言うと「商品を役割別に分けて設計する」考え方です。

大きく分けると2種類あります。

❌ よくあるパターン(全商品を同じ目的で扱う)

  • すべてのメニューを「とにかく売れればいい」という発想で価格設定している
  • 値引き・クーポンを使って集客し、来店してもらうことが目的になっている
  • 原価率・人件費を考えないまま、なんとなく競合に合わせた価格にしている
  • 結果、どの商品も薄利になり、積み重なると利益がほとんど残らない

✅ 推奨アプローチ(商品を役割別に設計する)

  • 「集客商品(入口価格)」と「収益商品(本命商品)」を明確に分ける
  • 集客商品は手頃な価格で入りやすくし、来店のハードルを下げる
  • 来店後は店内のPOPやスタッフの声がけで収益商品へ自然に誘導する
  • 収益商品は粗利70%以上を意識して設計する

有名な例で言えば、マクドナルドの100円バーガーがそうですね。あれは「来店のきっかけ」を作るための商品です。100円で来てもらい、ポテトとドリンクをセットで注文してもらうことで、トータルの客単価を上げる設計になっている。

これと同じ発想を、個人の飲食店でも取り入れていきましょう、ということなんです。

収益商品はどうやって作るか――粗利70%の設計ステップ

「じゃあ、利益の取れる商品ってどう作るんですか?」と聞かれます。手順はこんな感じです。

収益商品の設計 STEP 1

既存商品の原価率を全部書き出す

まず今あるメニューの原価率を一覧にして見てみてください。案外、30%を超えているものが多いはずです。飲食店の理想は、売上の内訳を「原価30%・人件費30%・地代家賃10%・営業利益10%」に近づけていくイメージです。この全体像を把握することが最初のステップ。

⚠️ よくある失敗:「だいたいこのくらい」という感覚で原価を管理しているケース。実際に計算してみると、人気メニューほど原価率が高くて利益を食っていた、ということが頻繁に起きています。

収益商品の設計 STEP 2

「ノウハウ・コンセプト・ストーリー」を商品に付加する

粗利70%以上を取るためには、原材料費以外の「価値」を商品に乗せる必要があります。たとえば「店主が10年かけて完成させたタレ」「特定の産地から直送している素材」「調理法や組み合わせに込めたこだわり」など、語れる背景があることで、同じ原価の商品でも値段を上げることができる。

以前、会員さんで1,800円で売れなかった自家製ドレッシングを5,000円に値上げしたところ、逆に売れるようになり、全国の雑誌・新聞に取り上げられた飲食店の方がいらっしゃいます。価値が伝わると、値段は上げても売れる。これがまさにその証拠です。

⚠️ よくある失敗:「うちに語れるものなんてない」と思い込むこと。どんなお店にも、他の店にはない素材・技術・背景があります。それを言語化していないだけの場合がほとんどです。

収益商品の設計 STEP 3

店内販促(POP・メニューブック)で誘導導線を作る

収益商品を設計しても、お客さんが注文しなければ意味がありません。来店後の「店内販促」が鍵になります。POPで商品の背景を伝える、メニューブックで視線が自然に収益商品に向かうよう配置する。この店内販促の改善だけで、客単価が5%以上アップした中華料理店の事例もあります。

⚠️ よくある失敗:良い商品を作ったのに、何も訴求せずにメニューの端に載せているだけ。お客さんは全部のメニューを細かく読みません。「どれを頼むか」は最初の数十秒で決まることが多いんですよ。

✓ ここまでのポイント

  • 「集客商品」と「収益商品」は役割を明確に分けて設計することが基本
  • 収益商品には原材料費以外の価値(ノウハウ・ストーリー・コンセプト)を付加し、粗利70%以上を目指す
  • 店内に来てもらった後の「誘導導線」がなければ、どんなに良い商品でも売れない

「売上より利益を重視する、という話をすると、最初は『でも売上がないと話にならない』という反応をされる方が多いんですよ。でも実際にお店の数字を見ると、売上が上がっているのに利益が増えていないケースが山のようにある。原因はほぼ必ず、商品の設計と価格の設計にあります。ここを変えずに広告費だけ増やしても、赤字が加速するだけなんですね」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役/中小企業診断士)

「客数を前年比40%増やし、売上・利益ともに過去最高を更新することができました」

飲食店オーナー(増益繁盛クラブゴールド会員)

この方が取り組んだのも、最初は「商品の整理」と「入口価格と収益商品の分離」でした。闇雲に集客施策を打つ前に、まず商品設計を整えたことが、結果につながっています。

資金繰りの改善は「商品設計」と「ポケットの整理」のセット

商品階層の設計と同時に、経営の構造も見直す必要があります。

個人事業のままで経営していると、事業のお金と生活費が同じ口座に入ってしまうことが多いんですよ。月末に「お金がない」と感じる原因の一つが、実はここにあったりします。事業として稼いだお金が、生活費に消えているのか、仕入れに消えているのか、利益として残っているのか、把握できていない状態です。

法人化して会社と個人の「2ポケット構造」にすることで、会社に利益を積み上げていく発想に切り替えられます。これは税務上のメリットだけの話ではなく、「経営のお金の流れを可視化する」という意味でも大事なことです。

もう一点。融資については、「必要になってから動く」のが最も危険なパターンです。通帳の残高に余裕があるうちに、日本政策金融公庫の担当者に相談しておく。これが結果的に、いざという時の選択肢を増やすことになります。困ってから相談しても、審査が通りにくくなるのは当然のことですよね。

チェックポイント①:今の商品ラインナップを役割で分類できているか

あなたのお店のメニューを「入口価格(集客商品)」と「利益を稼ぐ収益商品」に分類してみてください。もし全部が同じ役割になっていたら、設計を見直すサインです。

✅ ポイント:まず現状のメニューを原価率別に並べてみる。原価率が高いのに価格が安い商品は、思い切って見直すか、「集客商品」として位置づけを明確にする。

チェックポイント②:利益率の高い商品に、語れる価値・背景があるか

収益商品をただ「高い価格のメニュー」にしても、お客さんには伝わりません。なぜその価格なのか、何が特別なのかが伝わるストーリーが必要です。

✅ ポイント:商品の背景(素材・調理法・こだわり・開発ストーリー)を書き出してみる。言葉にできたものが、POPやメニューブックで伝えるべき「価値」になります。

チェックポイント③:事業と生活のお金が混在していないか

個人事業の方は特に確認してほしいポイントです。毎月いくらが生活費で、いくらが事業に再投資されているか、すぐに答えられますか?

✅ ポイント:法人化の検討と並行して、まず「事業専用口座」と「生活費口座」を分けることから始めるだけでも、見える景色が変わります。

「よく『利益より売上を先に伸ばしたい』とおっしゃる方がいるんですが、私はそこを先にひっくり返してもらいたいんですよ。売上1,000万で利益200万残るお店と、売上2,000万で利益50万しか残らないお店、どちらが豊かかって考えると明らかですよね。忙しさと豊かさは別物なんです」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役/中小企業診断士)

まとめ:まず「商品の役割」を整理することから始めてください

今回の話を整理すると、資金繰りが厳しいと感じている経営者の方がまず取り組むべきことは、大きく3つです。

一つ目は、商品を「集客商品」と「収益商品」に分けて設計すること。全部の商品を同じ目的で使っている限り、忙しいだけで利益が残らない状態は変わりません。

二つ目は、収益商品に価値とストーリーを乗せて、粗利70%以上を意識した設計にすること。そして店内のPOPやメニューブックで、来店後にその商品へ自然に誘導する仕組みを作ること。

三つ目は、事業と生活のお金の流れを分離し、会社に利益を積み上げる構造に切り替えること。そのうえで、余裕のあるうちに融資の準備を進めておくこと。

どれも、明日からすぐに手をつけられることばかりです。「いつかやろう」ではなく、今の行動の結果が今の売上であり、今日の決断が3ヶ月後の資金繰りを変えます。まず現状のメニューの原価率を書き出すことから、始めてみてください。

全国1,000店舗以上の支援実績をもとに体系化した具体的な手順を、もっと詳しく知りたい方は、ぜひ以下の教材・会員制サポートをのぞいてみてください。一人で悩まず、仕組みの力を借りて前に進んでいきましょう。

販促改善の具体的な手順を体系的に学びたい方はこちらをどうぞ。
顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

商品設計・利益最大化について、全国の経営者仲間と一緒に実践していきたい方はこちらからどうぞ。初月980円のお試し体験からスタートできます。
増益繁盛クラブ入会案内

-売上・単価アップ