成功事例

売り込まずに売れる、価値提供型販促の型

先日、ある飲食店のオーナーさんからこんなご相談をいただきました。

「ジョイマンさん、うちのお店、毎日満席に近い状態なんですよ。でも、月末に通帳を見ると、ため息が出るほどお金が残っていないんです。なんでこんなことになるんでしょう?」

実はこのご相談、本当によくいただきます。忙しいのに利益が残らない——それが最も苦しいジレンマのひとつなんですよ。そしてその原因の多くは、集客の入り口で「安売り」をしてしまっていることにあります。

今日はこの問題を解決するために、実際に成果を出した飲食店の事例をもとに、「売り込まずに売れる、価値提供型販促の型」をお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ忙しいのに利益が残らないのか、その本当の原因
  2. 安売りをやめて利益率を改善するための具体的な手順
  3. 「集客商品」と「収益商品」を分けて設計する販促の型
  4. 価値を正しく伝えることで、値上げしても売れる仕組みのつくり方

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上はあるのに月末の手残りが少なくて悩んでいる飲食店オーナーの方
  • ✅ 割引・クーポンなしでお客さんを集める方法を知りたい方
  • ✅ メニューや商品の価格設定を見直したいと思っている方
  • ✅ 忙しさを減らしながらも利益を増やしたい方
  • ✅ 「うちの商品に自信はあるのに、安売りしないと集客できない」と感じている方
売り込まずに売れる、価値提供型販促の型 | 飲食店の年商1億円突破の教科書

「忙しいのにお金が残らない」は、集客の入り口が原因だった

多くの飲食店が陥るパターンがあります。それは、最初の集客に割引・クーポン・低価格セットを使いすぎてしまうことです。

確かに、割引はお客さんを集める力があります。でもその分、1組あたりの粗利がどんどん削られていく。お客さんの数は多いのに、手残りが薄くなる一方——という状態になるんですよ。

飲食店の場合、健全な利益構造の目安として「原価30%・人件費30%・地代家賃10%・営業利益10%」というバランスがあります。このバランスが崩れたまま、売上だけを追いかけていると、いくら忙しくしても利益が出ない体質になってしまいます。

特に問題なのが、割引集客で集まってきたお客さんは「安いから来ている」人が多く、価格が元に戻ったとたんに来なくなるということ。つまり、安売りをやめた瞬間に客数が落ちる、という怖い状態を自分でつくってしまうんですね。

「安く売って忙しくなるのは、体力と時間を売っているだけです。経営者の仕事は、仕組みに働いてもらうことであって、自分が働き続けることではない。価値を正しく伝えれば、適正な価格でちゃんと売れます。」

ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表・中小企業診断士)

事例紹介:1,800円で売れなかったドレッシングが5,000円で飛ぶように売れた話

ここで、実際の成功事例をひとつ詳しくご紹介します。

ある飲食店オーナーさんが、長年こだわってつくってきた自家製ドレッシングを店頭で販売していました。価格は1,800円。でも、ほとんど売れなかったんですよ。「安くしているのに売れない」という状態で、かなり悩まれていました。

そこで私がご提案したのは、「価格を下げるのではなく、価値を正しく見せる」というアプローチでした。具体的には、このドレッシングがどういう素材を使っていて、どんなこだわりがあって、どんな人に合うのかを丁寧に伝える。そして価格を5,000円に引き上げる。

正直、オーナーさんは最初かなり驚いていました。「3倍近くにしたら、余計に売れなくなるんじゃないですか」って。

でも結果はどうだったか。

「1,800円で売れなかった自家製ドレッシングを5,000円に値上げしたところ逆に売れ、全国雑誌・新聞に取り上げられました。」

飲食店オーナー(物販)

なぜこんなことが起きるのか。それは、価格には「シグナル」の役割があるからです。1,800円のドレッシングは「まあ普通のドレッシングだろう」と思われる。でも5,000円のドレッシングは「何か特別な理由があるに違いない」と思われ、逆に興味を持たれる。そしてその背景にある「価値の説明」がきちんとあれば、納得して買ってもらえるんですよ。

これが「売り込まずに売れる」状態です。こちらが「買ってください!」と押し売りしなくても、価値を正しく伝えることで、お客さんが自ら手を伸ばしてくれる。

チェックポイント①:あなたの商品・サービスの「価値の説明」はできていますか?

自分のお店の商品に対して、「なぜその価格なのか」「どんなこだわりがあるのか」「誰のどんな悩みを解決するのか」を言語化できているかどうかを確認してみてください。

✅ ポイント:POPやメニューブックに「素材の産地・仕込みのこだわり・生まれた背景」を一言添えるだけで、お客さんの見え方は大きく変わります。

チェックポイント②:割引の対象を「全商品」にしていませんか?

クーポンや割引セールをやる場合、全メニューに一律で適用しているケースが多いですが、これは利益を一番削りやすいやり方です。

✅ ポイント:割引は1万円以上の高単価メニューや宴会プランにだけ絞る。集客商品(入口の手頃な価格帯)は値引きせず、店内で収益商品に誘導する導線を設計する方が、利益は確実に残ります。

✓ ここまでのポイント

  • 「忙しいのに利益が残らない」の原因は、安売り集客で粗利を削っていることが多い
  • 価格を下げるのではなく「価値を正しく見せる」ことで、むしろ高い価格でも売れる
  • 割引は全商品に適用せず、高単価メニューのみに絞るのが利益を守る基本

「集客商品」と「収益商品」を分ける販促設計

ここで、利益率を改善するための販促の型をお伝えします。鍵になるのは、集客商品と収益商品を分けて設計することです。

集客商品というのは、入口に置く手頃な価格の商品。お客さんが「まず試してみようかな」と思える入り口です。収益商品は、実際に利益が取れる商品。ここで稼いで、全体の利益率を引き上げます。

マクドナルドで言えば、100円のハンバーガーで引き込んで、ポテトやドリンクのセットで稼ぐイメージに近いですね。入口の安さと奥の収益商品、この両方を意識して設計することが大切です。

価値提供型販促の流れ STEP 1

「集客商品」で入口をつくる

最初から高単価を狙うのではなく、試しやすい価格・商品でお客さんに来店・体験してもらいます。ここでは利益より「関係のスタート」を優先します。

⚠️ よくある失敗:集客商品を安くしすぎて、コストが赤字になるケース。集客商品は「原価はかかるが利益はゼロに近い」程度が適切で、赤字商品を集客商品にしてはいけません。

価値提供型販促の流れ STEP 2

店内販促(POP・メニューブック)で収益商品に誘導する

来店したお客さんに、利益率の高い収益商品を「価値の説明つき」で自然に案内します。「こちらがお店のイチオシです」「仕込みに○○時間かけています」など、一言の説明が背中を押します。

⚠️ よくある失敗:収益商品をメニューブックに並べるだけで、何の説明もないケース。お客さんは説明なしでは高単価商品を選びにくいため、必ず「なぜこの価格なのか」を伝える文言を添えること。

価値提供型販促の流れ STEP 3

「ノウハウ型商品」で利益率80%を設計する

物販や体験型メニューに、あなたのこだわり・知識・ストーリーを付加した商品を設計します。先ほどの自家製ドレッシングの事例がまさにこれで、「レシピ」や「背景」を含めたパッケージにすることで、原価が低くても高単価で売れる商品になります。いわゆる「ライザップ型」の発想で、ノウハウそのものが価値になるということですね。

⚠️ よくある失敗:「うちの商品にそんなストーリーはない」と思い込むこと。20年・30年続けてきた飲食店には、必ず「なぜこの食材を選ぶのか」「なぜこの調理法にしたのか」という背景があります。それを言語化するだけで、商品の価値は大きく変わります。

❌ よくある販促パターン(利益を削るやり方)

  • 全メニューに一律割引クーポンを適用している
  • 「お得なセット」で集客するが、収益商品への導線がない
  • 価格を下げることで集客しようとする
  • 物販商品を「おまけ」扱いして価値の説明をしていない

✅ 価値提供型の販促(利益が残るやり方)

  • 集客商品と収益商品を分け、入口と奥で役割を持たせる
  • POP・メニューブックで収益商品の背景・こだわりを言語化する
  • 割引は高単価メニュー(1万円以上)のみに限定する
  • 物販・体験型商品にノウハウを付加して利益率を高める

実際の数字で確認する:原価率・人件費率の「目安」を持つ

感覚で経営していると、気づかないうちに利益率が下がっていることがあります。だからこそ、数字の「目安」を持っておくことが大切なんですよ。

飲食店の場合、健全な状態の目安はこんな感じです。

  • 原価率:30%前後
  • 人件費率:30%前後
  • 地代家賃:10%前後
  • 営業利益:10%以上

これが崩れてくると、売上はあっても利益が残らない状態になります。特に注意したいのが、原価率です。「いい食材を使っているから原価が高い」というケースも多いですが、食材の良さを価格に反映させていないのが問題なんですよ。

値段を上げる前に試してほしいのが、「売価を維持したまま原価率を下げる」工夫です。たとえば、仕入れ先の見直し・食材の使い切り設計・ロスを減らすオペレーションの改善など。売上を下げずに原価だけを削る工夫は、即効性があります。

「サイゼリヤの鶏の唐揚げが290円で利益が取れているのは、価格設定の問題ではなく、仕入れ・調理・提供の仕組み全体で原価を下げているからです。うちの店には真似できないと思わず、『仕組み全体で考える』という発想だけは取り入れてみてください。」

ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表・中小企業診断士)

私がコンサルティングで支援してきた全国1,000店舗以上の実績の中でも、「売価を据え置いたまま原価率を2〜3%下げただけで、月の利益が数十万円単位で改善した」事例は珍しくありません。売上を増やさなくても、利益の「残り方」を変えることはできるんです。

「POPとメニューブックを改善しただけで客単価が5%アップし、売上が過去最高になりました。今まで何もしていなかったのが、もったいなかったですね。」

中華料理店オーナー(60代・男性)

まとめ:売り込まなくても売れる店は、「価値の見せ方」が違う

今回の内容を振り返ると、利益率が低くてお金が残らない飲食店に共通しているのは、「安く売ることで集客しようとしている」という一点に尽きます。

でも本当に必要なのは、価格を下げることではなく、価値を正しく伝えることです。1,800円で売れなかったドレッシングが5,000円で売れたように、商品そのものの価値は変わっていない。変えたのは「価値の見せ方」だけです。

今日からできることは、シンプルです。

  • メニューブックやPOPに「なぜこの価格なのか」を一言添える
  • 割引を使うなら、全商品ではなく高単価商品だけに絞る
  • 集客商品と収益商品を分けて、店内誘導の流れをつくる
  • 原価率の「目安」を持ち、定期的に数字を確認する習慣をつける

「今の行動の結果が今の売上」です。まずは一つだけ試してみてください。

もし「どこから手をつければいいかわからない」「自分のお店の数字を一緒に見てほしい」という方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。販促の改善手順を体系的にまとめた教材もご用意していますので、参考にしてみてくださいね。

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