先日、都内で美容室を経営している会員さんからこんな相談が届きました。「ジョイマンさん、求人サイトに出してるのに全然来なくて。時給をあと100円上げたら変わりますかね…」
この質問、実はすごく大事なんですよ。時給を上げることで採用できるようになる場合もあれば、まったく意味がない場合もある。そしてほとんどのケースで、「時給を100円上げることの本当のコスト」を正確に計算できていないんです。
今日はこの「時給100円アップの費用対効果」をテーマに、採用で消耗している飲食店・美容室オーナーの方に、今すぐ考え方を切り替えてほしいことをお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 時給を100円上げると、年間・月間でどれだけコストが増えるか
- 採用できないことで発生している「見えない機会損失」の計算方法
- 時給競争から抜け出す、狙うべき人材層と求人の書き方
- 「仕事をスタッフに合わせる」発想で採用力を上げた具体例
こんな方におすすめ
- ✅ 求人を出しても応募が来なくて困っている飲食店・美容室オーナー
- ✅ 時給を上げれば解決するのか判断できずにいる方
- ✅ 新卒・若手ばかりを狙って採用競争に疲弊している方
- ✅ スタッフが定着せず、また採用コストをかけることに嫌気がさしている方
- ✅ 人手不足で自分が現場から抜けられない状況を変えたい方

時給100円アップのコストは、本当に「100円」だけ?
時給を100円上げると何が起きるか、まず数字で整理してみましょう。
たとえばパートスタッフが1日5時間、週5日働くとします。月に換算すると約110時間ですね。時給を100円上げると、1人あたり月1万1,000円のコスト増。年間では13万2,000円です。
これが2人だと年間26万4,000円。3人いたら40万円近く増える計算になります。
「それくらいなら払える」と思う方もいるかもしれません。でも問題は2つあります。
1つ目は、時給を上げても「欲しい人材が来るとは限らない」こと。時給1,050円が1,150円になったとして、その100円の差で「この店で働きたい」と思う人がどれだけいるか。実際には同じ土俵で戦っている競合が同じように上げてくるので、また同じ状況が繰り返されるんです。
2つ目は、今の求人の書き方が変わらない限り、時給を上げても誰にも刺さらないということ。時給という数字は全員に同じように見えますが、働く人が本当に気にしているのは「この時間帯なら子どもの送り迎えができるか」「残業はあるか」「どんな人と一緒に働くのか」といった具体的なイメージなんですよ。
採用できないことの「機会損失」を正しく計算できていますか?
時給アップのコストを気にする前に、もっと正確に計算しておきたいのが「採用できないことで今失っている損失」です。
たとえば飲食店で、スタッフが1人足りないせいで週に2回、ランチタイムの座席を半分しか回せていないとしましょう。1テーブル4人・客単価1,000円として、1回あたり8,000円。週2回なら週1万6,000円、月6万4,000円の売上機会が消えている計算になります。
しかもこれは売上の話だけ。既存スタッフへの負荷が上がって離職につながったり、オーナー自身が現場に張り付いて経営の時間が取れなくなったりする「間接的な損失」は数字に出てこない。
美容室なら、スタイリストが1人いれば取れていた予約が埋まらず、月に売上20〜30万円が飛んでいるケースは珍しくないです。
こうやって計算すると、「時給を100円上げてでも人を採れた方がよかった」という結論になることは多い。ただ、繰り返しになりますが、時給を上げるだけでは採れないことがほとんどなんですよ。根本的に、狙う層と伝え方を変える必要があるんです。
✓ ここまでのポイント
- 時給100円アップは年間で1人あたり13万円以上のコスト増になる。ただし採用できない機会損失の方が大きい場合も多い。
- 時給を上げても「狙う人材層」と「求人の書き方」が変わらなければ同じ結果が繰り返される。
- 採用コストと機会損失を数字で比較してから判断することが大切。
なぜ新卒・若手を狙い続けると消耗するのか?
採用で苦しんでいるお店の多くに共通しているのが、「若い人を採りたい」という前提です。気持ちはわかるんですが、これが採用を難しくしている大きな原因のひとつです。
新卒や20代前半の若手を求めているのは、飲食チェーン・美容室・小売・介護・物流など、あらゆる業種のあらゆるお店。つまり「みんなが欲しがっている層」を取り合っているわけで、個人経営の小さなお店が勝てる土俵じゃないんですよ。
一方で、「余っている層」があります。就業意欲があるのに働き場所を探せていない人たち。具体的には、子育てが一段落した主婦の方、定年退職後に少し働きたいシニアの方、今の仕事とは別に短時間で働きたい副業希望者の方などです。
この層は「時給が少し低くても、子どもの時間に合わせて働けるなら」「体に無理のない仕事なら」という優先軸を持っています。時給よりも働き方の条件の方が刺さるんです。
「採用の場でも、集客の場でも、誰もが狙っているところで戦うのが一番しんどい。インディーズバンドとして自分たちに合う人に深く刺さる方が、ずっと効率がいいんです」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
チェックポイント①:今の求人が「誰に向けて書かれているか」確認する
求人票を改めて見てください。「男女問わず歓迎」「元気な方」「明るい方」のような言葉が並んでいませんか?これは誰にも刺さらない言葉です。特定のだれかに向けて書いていないから、特定のだれかの心が動かないんです。
✅ ポイント:「結婚・出産後に復職したい方へ」「週3日から勤務OK、子育て中の方大歓迎」など、ターゲットが一読して「自分のことだ」と思える言葉に変える。
チェックポイント②:求人の情報量は十分か
小さな求人枠に時給と勤務時間だけが書いてある状態になっていませんか?働く人がイメージしたいのは「そこで自分が働いている場面」です。写真1枚、一言でもスタッフの声があるだけで反応率が大きく変わります。
✅ ポイント:枠は小さくてもよいので、「一緒に働くスタッフ写真」と「うちのお店ならではの一文」を必ず入れる。求人ページを取れるなら、しっかりスペースを使うこと。
チェックポイント③:仕事の条件が応募者に合わせて設計されているか
「シフト相談OK」という言葉、使っていますか?一見柔軟に見えますが、これは「都合優先の人」を引き寄せる言葉なんですよ。大切なのは「この時間帯なら絶対に働ける」という明確な条件提示です。10〜15時・残業なし・土日祝休みなど、余っている層が「これなら働ける」と感じる条件を先に作ることが重要です。
✅ ポイント:「仕事を人に合わせる」発想へ。どんな働き方なら来てほしい人に刺さるかを先に考えてから求人条件を設計する。
「仕事をスタッフに合わせる」と採用コストはどう変わるのか?
実際に採用の考え方を変えて成果を出した事例をご紹介します。
「客単価が11,000円から14,000円に上がり、自分の稼働を3割削減できました。体力の限界への不安から解放されて、本当によかったです」
高単価サロン オーナー(女性・40代)
このサロンオーナーさん、もともとは一人でフル稼働していたんです。人を採ろうとしてもうまくいかず、体力的にも限界を感じていた。そこで変えたのが、採用の「条件設計」と「求人の伝え方」でした。
時給を100円上げるのではなく、「10時〜16時・週3日・残業なし・子育て中歓迎」という条件を前面に出して求人を書き直した。すると、今まで応募してこなかった層から連絡が来るようになったんです。
採用が安定してからは、自分の稼働を絞ってVIP顧客対応に集中できるようになり、結果的に客単価が上がって利益も増えた。採用コストを上げなくても、狙う層と伝え方を変えるだけでこういう変化が起きるんですよ。
飲食店でも同じことが言えます。「まかない食べ放題」「早上がりで夕飯の支度に間に合う」などの条件を求人に入れて、優良スタッフの採用に成功した会員さんもいます。時給そのものではなく、「この人にとっての価値」が伝わる言葉を選ぶことが大事なんですよ。
時給アップ vs. 求人の書き方を変える、どちらが先か?
この2つを比べると、結論は明確です。
❌ 時給だけ上げて求人の中身を変えない
- 同じ層を相手に、同じ内容で、少し高い数字を並べるだけ
- 競合も同じように上げてくるので差がなくなる
- コストだけが増え、採用できないままの状態が続く
- 既存スタッフの不公平感につながる場合もある
✅ 狙う層を変えて求人の書き方を変える
- 競争の少ない層に絞るので、同じ時給でも選ばれやすくなる
- 働く人が具体的なイメージを持てるので定着率も上がる
- 採用コストを増やさずに応募数・質を改善できる
- 採用から定着→機会損失の減少→利益向上という流れにつながる
もちろん、書き方を変えた上で時給を少し上乗せすることには意味があります。ただ順番が大事で、「まず書き方を変える→それでも反応が弱ければ時給も見直す」が正しい順番です。
「採用も集客も、順番を間違えると消耗するだけなんです。時給を上げる前に、その求人が誰に届いているかを確認してほしい」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
まとめ:時給を上げる前に、まず「何を変えるか」を決める
時給を100円上げることの本当のコストは、単純な人件費増だけじゃないです。狙う層が変わらなければ採用は改善せず、機会損失が増え続けるというコストが積み上がります。
大切なのはこの3つの順番です。
- 採用できないことで発生している機会損失を数字で把握する(売上・オーナーの時間・既存スタッフへの負荷)
- 狙う人材層を「余っている層」に切り替えて、求人の言葉と条件を書き直す(主婦・シニア・副業希望者などへの具体的な呼びかけ)
- それでも反応が弱ければ、時給アップをコスト計算した上で判断する
採用は一度仕組みを作れば、毎回ゼロから消耗しなくて済むようになります。「仕事をスタッフに合わせる」発想を持つと、採用が楽になるだけじゃなく、定着率も上がって現場が安定するんです。
人手不足・採用の悩みは、実はお店の利益構造や販促の仕組みとも深くつながっています。「採用が安定する→現場が回る→オーナーが経営に集中できる→利益が残る」という流れを一緒に作っていきたい方は、ぜひ下記からご覧ください。全国1,000店舗以上の支援実績をもとに、お店の状況に合った具体的な手順をお伝えしています。
また、飲食店・美容室の経営者が集まる会員制コミュニティ「増益繁盛クラブ」では、採用・求人の悩みから集客・利益改善まで、月次セミナーや24時間のAI相談で一緒に考えていける環境を用意しています。初月980円のお試しから始められますので、まずは覗いてみてください。