先日、ある飲食店のオーナーさんからこんな相談をいただきました。
「副業・ダブルワーク歓迎って書いて求人を出したんですが、来てくれた人がバラバラで…。シフトもバラバラ、態度もバラバラ。お店としての統一感がまったく出なくて困っています」
これ、すごくよくある話なんですよ。副業・ダブルワーク歓迎の求人自体は正解なんですが、「誰でも来てね」的な打ち出し方をしてしまうと、採用した後の組織がまとまらないという落とし穴にはまりやすいんです。
今日はこの問題をまるごと解決する「求人設計のコツ」をお伝えします。採用の段階からスタッフの足並みを揃える方法、ぜひ最後まで読んでください。
📋 この記事でわかること
- 副業・ダブルワーク歓迎求人でバラバラ組織になる本当の原因
- 採用の段階から組織の統率を生む求人設計のステップ
- 「絶対にやらないルール」の決め方と共有の仕方
- スタッフを仲間として動かすビジョン発信の具体的な方法
こんな方におすすめ
- ✅ 副業・ダブルワーク歓迎で求人を出しているが、スタッフがバラバラな方
- ✅ 経営理念やルールをスタッフに共有したいが、うまく伝わらない方
- ✅ 人手不足を解消しながら、お店の統一感も保ちたい方
- ✅ 時給目当てではなく、同じ目標を持って動いてくれるスタッフを採用したい方
- ✅ 現場に入りっぱなしで、経営者としての時間がまったく取れない方

「副業・ダブルワーク歓迎」は正解。ただし、設計が9割
まず前提として、副業・ダブルワーク歓迎の求人を出すこと自体は、今の時代において非常に理にかなっています。
新卒・若手の争奪戦に参加しても、個人店が大手チェーンや待遇の良い企業に勝てる確率はかなり低い。だったら、「余っている層」に目を向けた方がずっと合理的なんですよ。本業を持ちながら週3〜4日の副業先を探している人、WワークOKな条件を探している主婦・フリーランスの方など、実はかなり優秀な人材がこのゾーンに眠っているんです。
問題は採用した後です。
副業・ダブルワークの方は、シフトの柔軟性や働きやすさを求めて来る傾向があります。それ自体は悪くないんですが、採用の入り口で「価値観の選別」をしていないと、入ってきた人たちがバラバラの判断基準で動き出すことになる。
「スタッフがバラバラなのは、採用の問題ではなく、採用設計の問題です。どんな考え方を持った人に来てほしいか、求人の段階で伝えていますか?」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店グループ総代表)
組織がバラバラになる本当の原因はここにある
副業・ダブルワーク歓迎求人でよくある失敗パターンを整理してみます。
❌ よくあるパターン(バラバラ組織を生む求人)
- 「シフト自由・副業OK・時給○○円〜」だけが書かれている
- どんな人に来てほしいか、まったく書かれていない
- お店の考え方・大切にしていることへの言及がゼロ
- 結果として「条件に合えば誰でも」という印象を与えてしまう
✅ 推奨アプローチ(足並みのそろう求人)
- 働く条件の前に「こんな考え方を大切にしている人に来てほしい」を明示する
- 「短時間でテキパキ動くのが好きな方」「お客さんの喜ぶ顔が好きな方」など価値観軸の言葉を入れる
- お店のビジョン・こだわり・「やらないこと」まで求人枠に載せる
- 応募してくる段階で「ここのお店の考え方、好きだな」と感じた人が来る
つまり、求人はフィルターです。「誰でも歓迎」的な打ち出しは、誰も本気で引き寄せないんですよ。
チェックポイント①:自分のお店に「明文化された理念」があるか
スタッフがバラバラに動くとき、多くの場合は「判断の基準がどこにも書かれていない」状態が続いています。社長の頭の中にあるだけで、スタッフには共有されていない。だから、何かあるたびに判断がバラバラになるんですよ。
✅ ポイント:まず「うちのお店が大切にしていること」を5〜10項目でいいので書き出してみてください。立派な理念書じゃなくていい。「お客さんには必ず笑顔で声をかける」「困ったことがあれば必ず社長に相談する」といった行動レベルの言葉で十分です。
チェックポイント②:「絶対にやらないこと」が決まっているか
理念は「こうしよう」という前向きな言葉で語られることが多いんですが、それと同じくらい大切なのが「絶対にやらないこと」のルールです。これが決まっていないと、トラブルが起きたときに対処できない。
✅ ポイント:過去にスタッフとのトラブルや、お客さんとのトラブルが起きた場面を振り返ってみてください。「あの時こうしていなければ…」というポイントが「絶対にやらないルール」の候補になります。
チェックポイント③:社長自身がビジョンを語る時間を取っているか
「いや、毎日現場に立ちっぱなしで、そんな時間ないですよ…」という声が聞こえてきそうです(笑)。でも、これが一番本質的な問題なんですよ。社長が現場作業をしている限り、スタッフはその後ろ姿しか見ていない。お店のビジョンを語ってくれる場面がないんですから、スタッフが「この店がどこへ向かっているのか」を理解できるわけがないんです。
✅ ポイント:月に1回でも「ちょっとみんなに話があって」という時間を作ることから始めてみてください。15分でいい。それだけで、組織の空気は少しずつ変わります。
✓ ここまでのポイント
- 副業・ダブルワーク歓迎の求人自体は正解。問題は「価値観の選別」がされていない設計にある
- 求人はフィルター。条件だけでなく「こんな人に来てほしい」という価値観軸の言葉を入れることで、入社後の組織の足並みが揃う
- 理念の明文化・「絶対にやらないルール」・社長のビジョン発信の3点が、組織統率の土台になる
採用から組織統率まで、4つのステップで整える
求人設計 STEP 1
「価値観フィルター」を求人に入れる
求人枠には、条件(時給・シフト・副業OK)だけでなく、必ず「こんな方に来てほしい」という価値観軸の呼びかけを入れてください。「お客さんの笑顔が好きな方」「チームで働くのが好きな方」「新しいことにチャレンジしたい方」など、一言でいいです。これだけで応募してくる層がガラッと変わります。
⚠️ よくある失敗:「明るい方歓迎」のような抽象的な言葉だけ入れて終わりにしてしまうケース。具体的な行動・場面を想像できる言葉を入れないと、価値観のフィルターになりません。
求人設計 STEP 2
「うちのお店のこだわり」を求人に書く
お店のこだわりや考え方を求人に書くと、「そういうお店に関わりたい」という人が来ます。これが理念型採用の入り口です。「食材の産地にこだわっている」「お客さんに必ず手書きのメッセージカードをお渡しする」など、具体的な取り組みを一つ入れるだけで、一般的な求人との差別化になりますよ。
⚠️ よくある失敗:「アットホームな職場です」という表現。これはほぼすべての求人に書かれているので、何も伝わらない。自分のお店にしかないエピソードや取り組みを書くこと。
求人設計 STEP 3
入社後すぐに「理念とルール」を共有する
採用できたら、最初の1〜2週間で必ず「うちのお店が大切にしていること」と「絶対にやらないこと」を共有してください。口頭だけでなく、プリントアウトして渡すのがおすすめです。最初に渡すことで「このお店はちゃんと考えている」という印象を与えられますし、後になって「そんなこと聞いていない」というトラブルも防げます。
⚠️ よくある失敗:入社後の研修が「業務の手順説明だけ」になっているケース。業務は覚えられても、判断の基準が身につかないので、いざ何かあったときに一人では動けないスタッフになります。
求人設計 STEP 4
定期的に「社長の言葉」でビジョンを語る
仕組みが整ったら、あとは繰り返し伝え続けるだけです。月に一度のミーティング、朝礼の一言、LINEグループへの投稿…何でもいい。社長自身がビジョンを発信し続けることが、最大の組織づくりです。スタッフを「時間で来て帰る人」ではなく「一緒に目標を実現する仲間」として扱う関係性は、社長が語り続けることでしか生まれません。
⚠️ よくある失敗:最初に理念を共有して、そのまま放置するケース。1回言っただけでは定着しません。繰り返し、繰り返し伝えることで、スタッフの行動基準として根付いていきます。
仲間として育てた先に起きること
これが一番伝えたいことなんですが、スタッフを「時給で来る人」ではなく「一緒に目標を実現する仲間」として育てていくと、想像以上のことが起きます。
「クライアントの中から、自らが副業コンサルタントとして独立し、他の経営者を指導する人材が多数輩出されています。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店グループ総代表)
これ、すごいことだと思いませんか。もともと副業・ダブルワークのスタッフとして関わり始めた人が、経営の考え方を身につけて、自分でコンサルタントとして独立していくわけです。
「え、それって人材が流出してしまうのでは?」と思う方もいるかもしれない。でも、逆なんですよ。自分のお店に関わることで人が成長し、その人が次のステージへ進んでいく──これほど強い口コミと仲間へのリクルートはないんです。「あのお店で働くと成長できる」という評判が広がれば、副業・ダブルワーク枠での採用は格段にラクになります。
仲間として扱う → 成長する → 感謝して巣立つ → 次の仲間が集まる、という好循環が生まれるんですよ。
「POPとメニューブック改善で客単価5%アップ、売上過去最高を達成しました。スタッフが自分から提案してきてくれるようになったのが一番うれしかったです。」
中華料理店オーナー(60代・男性)
スタッフが「自分から提案してくる」状態は、理念と判断基準が共有されている組織にしか生まれません。副業・ダブルワークのスタッフだろうと、関係ないんです。
まとめ:副業・ダブルワーク歓迎の求人は、組織づくりの入り口
今日お伝えしたことをまとめると、こういうことです。
副業・ダブルワーク歓迎で求人を出すこと自体は、人手不足時代の正解です。でも、求人を「条件の告知」で終わらせていると、入ってきたスタッフがバラバラに動く組織になってしまう。
大切なのは、採用の入り口から「価値観の選別」を始めること。そして、入ったスタッフには経営理念と「絶対にやらないルール」を最初に共有し、社長自身が月に一度でもいいのでビジョンを語り続けること。
仕組みが整えば、副業・ダブルワークのスタッフでも「一緒に目標を実現する仲間」になれます。実際に、そこから経営者として独立していく人も出てくるくらい、人が育つ職場になった事例が全国に1,000店舗以上あります。
「うちも組織をまとめたい」「求人設計を見直したい」と感じている方は、まずは今の求人に「こんな方に来てほしい」という価値観軸の言葉を1行加えることから始めてみてください。ぜひやってみてください。
もっと具体的に、自分のお店の状況に合わせた求人設計・組織づくりの方法を知りたい方は、下記からご覧いただけます。お気軽にのぞいてみてください。
全国の飲食店・美容室・サロン経営者の仲間と一緒に、「頑張らない繁盛」の仕組みをつくっていきましょう。お待ちしております。