人手不足・スタッフ育成

中高年層を活用する、飲食店の採用戦略

「求人を出しても誰も来ない」──今、飲食店の経営者の方から最もよく聞く悩みのひとつです。

実は厚生労働省の調査によると、飲食業の有効求人倍率は他業種と比べて慢性的に高く、常に「求める人数 > 求職者数」の状態が続いています。そんな中で多くのお店が同じ層(10〜20代の若手)を奪い合っているんですよ。でも、視点をちょっと変えると、実はまだまだ働きたいのに声がかかっていない人たちがたくさんいます。それが中高年層・主婦層・定年退職者の方々です。

今日はこの「余っている層」をどうやって採用に結びつけるか、具体的な手順でお話ししますね。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ若手・新卒の採用競争から降りるべきか、その理由と背景
  2. 中高年層・主婦層・定年退職者を惹きつける求人の書き方と条件設計
  3. 採用した後にスタッフが定着する仕組みの作り方
  4. 採用コスト削減に役立つ補助金・助成金の活用の考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 求人を出しても応募がなく、人手不足が続いている飲食店オーナーの方
  • ✅ 時給を上げても他店に取られてしまうと感じている方
  • ✅ 若手だけにこだわらず、幅広い世代のスタッフを活かしたい方
  • ✅ 採用にかかるコストを抑えながら優良スタッフを確保したい方
  • ✅ 補助金・助成金を採用や設備投資に活かせないか気になっている方
中高年層を活用する、飲食店の採用戦略 | 飲食店の年商1億円突破の教科書

なぜ「若手・新卒」の採用競争から降りるべきなのか

飲食業界の採用でよくある失敗パターンがこれです。

❌ よくある採用のパターン

  • 大手求人サイトに「アルバイト募集・時給〇〇円・シフト相談OK」と掲載する
  • 来たのは短期希望の学生だけで、すぐに辞めてしまう
  • また募集して…を繰り返す

✅ うまくいく採用のアプローチ

  • 「誰もが欲しい層」ではなく「余っている層」に絞って声をかける
  • その人たちのライフスタイルに合わせた条件を先に設計する
  • 価値観軸で響く言葉を使って、長く働きたい人だけを集める

大手チェーンと同じ土俵で戦っても、資金力・知名度で勝てません。個人のお店がやるべきは「価格競争から降りること」ですよね。採用でも同じことが言えるんです。

「採用で困っているお店のほとんどは、全員に好かれようとしています。でも、お客さんを選ぶのと同じで、スタッフも選んでいい。むしろ、一緒に働きたい人をはっきり描いてから募集すると、面白いくらいに反応が変わります。」

ハワードジョイマン(飲食店の年商1億円突破の教科書 代表/中小企業診断士)

中高年層・主婦層が「動く」求人の作り方

中高年層や主婦の方々は、こんなことを気にして求人を見ています。

  • 「自分のペースで働けるか」
  • 「子どもや家族の都合に合わせられるか」
  • 「体力的に無理がないか」
  • 「どんな職場環境か、雰囲気が伝わるか」

時給の高さより、こういった「働く姿がイメージできるか」のほうがずっと大事なんですよ。だから求人で伝えるべき内容も変わってきます。

チェックポイント1:求人の呼びかけ言葉を変える

「アルバイト・パート募集」という無難な書き方では、誰にも刺さりません。「結婚・出産を経てもう一度働きたい方へ」「定年後も体を動かしながら地域に貢献したい方へ」など、具体的なライフステージを描いた言葉に変えると、読んだ人が「これ、私のことだ」と感じてくれます。

✅ ポイント:「誰でもOK」より「あなたに来てほしい」と伝える言葉のほうが、反応率は断然高くなります。ターゲットを絞るほど、その人に刺さる。

チェックポイント2:勤務条件を「スタッフ側に合わせる」発想に変える

お店の都合に人を合わせるのではなく、働きたい人の都合に仕事を合わせる発想が重要です。たとえば、「10〜15時・土日祝休み・残業なし」という条件を前面に出すと、主婦層・子育て中の方・介護中の方に響きます。長時間1人より短時間複数人でシフトを組む構造に変えるだけで、応募層がガラッと変わりますよ。

✅ ポイント:「まかない食べ放題」「週2〜3日OK」などの具体的な魅力は求人枠に大きく載せる。時給100円上げるより、こういった条件整備のほうがコスト対効果は高い。

チェックポイント3:写真と現場の声を入れる

求人サイトの枠は可能な限り大きく取り、実際に働いているスタッフの写真と一言コメントを入れましょう。「50代でも安心して働けています」「子どもの行事には優先的に休めます」という言葉が、同じ立場の人への一番の説得材料になります。

✅ ポイント:文字だけの求人より、写真と現場の声がある求人のほうが信頼感が格段に上がります。

✓ ここまでのポイント

  • 若手・新卒の採用競争から降り、「余っている層」に狙いを変えるのが個人店の正解
  • 求人の呼びかけ言葉・勤務条件・写真の3点セットで「働くイメージ」を伝える
  • 時給で戦うより、ライフスタイルに合った条件設計のほうが採用コストは下がる

採用後の「定着」が採用コストを最小化する

せっかく採用しても、すぐ辞められたら元も子もないですよね。定着率を上げるには、採用した後の関わり方がとても大事です。

採用 STEP 1

最初の1ヶ月で「この職場に居場所がある」と感じてもらう

中高年層のスタッフは、慣れない環境でのプレッシャーを若い人より強く感じやすいです。最初の1ヶ月は仕事を細かく分解して「これだけできればOK」のゴールを明確にし、小さな成功体験を積んでもらいましょう。

⚠️ よくある失敗:「まあ見ていれば覚えるだろう」とマニュアルなしで放置してしまい、不安になって辞めてしまうケース。

採用 STEP 2

スタッフの得意・好きなことを仕事に活かす場を作る

たとえば、料理が好きな定年退職者の方なら仕込みを任せる、接客が得意な主婦の方なら常連さんへの声かけ担当にする、といった具合に。「自分の得意が喜ばれている」と感じると、モチベーションが全然違います。

⚠️ よくある失敗:全員に同じ仕事・同じ評価基準を当てはめてしまい、個性が活かせないまま退職されるケース。

採用 STEP 3

会社として大切にする考え方・ルールを明文化して共有する

「うちのお店が一番大切にしていること」を言葉にして、繰り返しスタッフに伝える。これだけで「時給のためだけに来ている」ではなく「この店を一緒に作っている仲間」という意識が生まれやすくなります。

⚠️ よくある失敗:理念を紙に書いたまま引き出しの中にしまっておき、日常の仕事との接点がまったくないケース。

「求人広告の出し方を変えて『まかない食べ放題』などをしっかり訴求したら、長く働きたいという優良スタッフの採用に成功しました」

飲食店オーナー(増益繁盛クラブゴールド会員)

採用コストを抑えるために、補助金・助成金という選択肢を知っておく

「補助金や助成金って、なんか難しそう」「自分のお店で使えるのかわからない」という声をよく聞きます。気持ちはとてもよくわかります。でも、知らないまま使わないのはもったいないです。

中高年・シニア層の採用に関連して使いやすい制度のひとつに、厚生労働省が運営するトライアル雇用助成金があります。これは、就職が難しい方を一定期間試験的に雇用した際に、事業主に助成金が支給される制度です(詳細・最新情報は厚生労働省のホームページでご確認ください)。また、小規模事業者持続化補助金は、ホームページ整備・チラシ制作・求人広告作成など販促・PR活動に幅広く使えるため、採用強化の文脈でも活用している経営者の方がいます。

ただ、補助金はあくまで「手段」です。「補助金が使えるから採用する」ではなく、「うちのお店をこう成長させたいから、そのために補助金を活用する」という順番で考えることが大前提なんですよ。

申請書類の作成で多くの方が困るのが「事業計画の書き方がわからない」という点です。ここで中小企業診断士などの専門家を活用するのが一番の近道です。専門家と一緒に書くことで採択率が変わりますし、何より「自分のお店の強みと方向性」が整理されるという副産物があります。

そして忘れてほしくないのが「採択後の実行・検証」まで設計しておくこと。「補助金で備品を買って終わり」にするのではなく、それを使ってどう売上・利益につなげるかまでセットで考えることが、本当の意味での活用です。

「団体様向けのホームページページを整備したことで、法人・団体からの問い合わせが継続的に発生するようになりました。こういったウェブ整備に小規模事業者持続化補助金を活用する事例は、全国の会員さんの中でも増えています。」

ハワードジョイマン(飲食店の年商1億円突破の教科書 代表/中小企業診断士)

補助金の情報は、商工会議所・商工会の窓口でも相談できます。「自分のお店で使えるものはあるか」を一度棚卸しするだけでも、見えてくるものがありますよ。まずは地元の商工会議所か、中小企業診断士に相談してみてください。

まとめ:採用は「正しい相手に、正しい言葉で」届けることが全て

飲食店の採用難は、確かに深刻な問題です。でも、「若手・新卒しかいない」という思い込みを手放すだけで、突破口は意外と近くにあります。

中高年層・主婦層・定年退職者の方々は、「ちゃんと自分に合った職場なのか」を見極めながら求人を見ています。だから、その人たちに響く言葉・条件・職場の雰囲気を正直に伝えることが、何より大事なんです。

採用してからの定着も、仕組みとして考えると劇的に変わります。「自分の居場所がある」「得意を活かせる」「この店の考え方に共感できる」の3つが揃ったとき、スタッフは自然と長く働いてくれるようになります。

そして補助金・助成金は、正しく使えば採用コストや設備投資の大きな助けになります。難しそうに見えますが、専門家と一緒に取り組めば、書類作成も事業計画の整理も思ったよりずっとスムーズに進みます。ぜひ「うちで使えるものはないか」という視点で、一度調べてみてください。

採用・人手不足・補助金活用など、「何から手をつければいいかわからない」という状態から一歩踏み出したい方は、ぜひ一度ご相談ください。全国1,000店舗以上の支援実績をもとに、あなたのお店に合った具体的な手順をご提案します。

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