人手不足・スタッフ育成

離職率を下げる、採用と定着の設計

春になると、採用の話が増えます。卒業シーズンに合わせて求人を出したものの「応募ゼロ」「面接に来たけど1週間で辞めた」という声が、毎年この時期にドッと届くんですよね。

でも今日お伝えしたいのは、採用テクニックの話だけじゃないんです。実はスタッフ採用の問題って、経営の土台そのものと直結しています。採用がうまくいかないお店の多くは、「手元にお金が残らない体質」のままになっていて、その結果、良い条件を出せず、良い人が集まらず、また現場が回らない——という悪循環にはまっているんですよ。

今回は、飲食店を経営する40代のオーナーさんとの対談から見えてきた「採用と定着の設計」、そして根っこにある「キャッシュが残る筋肉質な経営」の話をしていきます。

📋 この記事でわかること

  1. 採用がうまくいかない本当の原因(求人文句より先に見直すべきこと)
  2. 「まかない食べ放題」の訴求が採用を変えた理由
  3. 定着率を高めるための職場設計と価値観の言語化
  4. キャッシュが残る体質に変えることで採用力が上がる仕組み

こんな方におすすめ

  • ✅ 求人を出しても応募が来ない、または来てもすぐ辞めてしまう飲食店・美容室オーナーの方
  • ✅ 時給を上げてもスタッフが定着せず、採用コストがかさんでいる方
  • ✅ 売上はあるのに利益が残らず、採用に投資できないと感じている方
  • ✅ 「うちで長く働いてくれる人」を本気で見つけたいと思っている経営者の方
  • ✅ 採用と経営の仕組みをセットで見直したい方
離職率を下げる、採用と定着の設計 | 飲食店の年商1億円突破の教科書

採用の悩みは「求人の問題」だけじゃない

先日、居酒屋を経営している中西さん(仮名・40代男性)とじっくり話す機会がありました。月商はそこそこあるのに、手元にお金が残らない。スタッフも定着しない。忙しいのに全然楽にならない——という状態が何年も続いていたそうです。

「ジョイマンさん、うちの求人を見てもらえませんか。どこが悪いんでしょう」と言われて求人を見てみると……まあ、よくあるパターンでして。「時給○○円〜、シフト相談OK、未経験歓迎、男女問わず歓迎」みたいな感じだったんですよ。

これ、何が問題かわかりますか?

「シフト相談OK」って書いた瞬間に、都合優先の人が集まってくるんです。コアになってほしい人材じゃなくて、「とりあえず融通が利きそうだから」という理由で来る人が集まる。そういう言葉を求人に入れると、後で「やっぱりシフト入れません」「急に辞めます」という人ばかり集まってしまうんですよね。

でもここで中西さんと話していて気づいたのは、求人の文言を変える以前に、「そもそもお店にキャッシュが残っていないから、採用にお金も時間もかけられない」という問題が根っこにあったんです。

「採用がうまくいかないと感じたら、まず自分のお店の利益体質を疑ってください。お金が残らないお店は、良い人を引き留めておくだけの力がないんですよ。求人の前に、経営の土台を見直すことが先決です。」

ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)

「まかない食べ放題」が採用を変えた理由

実際にこんな変化があります。増益繁盛クラブの会員さんの中に、求人広告の出し方を変え「まかない食べ放題」などの訴求で、優良スタッフの採用に成功した飲食店オーナーがいます。

これ、一見「小さな話」に見えるかもしれないんですが、実は採用の本質を突いているんですよ。

時給を100円上げる、それはお金がかかります。でも「まかない食べ放題」って、原価はかかるけど現金の支出は限定的じゃないですか。しかも飲食店で働きたい人——特に若い人や主婦の方——にとって、「毎日美味しいご飯が食べられる」ってめちゃくちゃ魅力的なんですよね。

さらに大事なのは、この訴求を入れることで「どんな人に来てほしいか」が自然に絞られるという点です。食に興味がある人、お店の料理が好きな人——そういう価値観が近い人が応募してくるんです。時給だけで来た人より、よっぽど定着率が上がります。

❌ よくある求人広告のパターン

  • 時給〇〇円〜、シフト相談OK、未経験歓迎、男女問わず
  • → 都合優先の人が集まり、定着しない
  • → 価値観が合わない人を採用し続けてエネルギーを消耗する

✅ 採用を変える求人広告のアプローチ

  • 「まかない食べ放題」「食べることが好きな方歓迎」など、価値観で呼びかける
  • 働く姿がイメージできる写真と、具体的なシーンを入れる
  • 「結婚・出産後に復職したい方へ」など、ターゲットに語りかける言葉を使う
  • → 価値観が近い人が集まり、自然と定着率が上がる

定着率を高める「仕事をスタッフに合わせる」発想

採用できたとして、次は定着の話です。ここでよくある失敗が「お店の都合にスタッフを合わせようとする」こと。

逆なんですよ。仕事をスタッフに合わせる発想が必要です。

10〜15時だけ働きたいという主婦の方がいたとしたら、その時間帯に働いてもらえる仕事をつくればいい。週3日しか来られない定年退職者の方がいたら、その条件で組める役割を設計すればいい。「長時間1人で回す」より「短時間で複数人が分担する」体制の方が、実は安定するんですよね。

そしてもう一つ大事なのが、経営理念・共通言語をつくることです。中西さんのお店がまさにそうだったんですが、「うちのお店が何を大切にしているか」を言葉にしていなかった。だからスタッフそれぞれが違う判断をして、バラバラになっていく。

「絶対にやらないルール」を決めて、繰り返し共有する。これだけで、価値観が合わない人は自然と去っていき、合う人が残っていくんですよ。

「POPとメニューブック改善で客単価5%アップ、売上過去最高を達成しました。お店に余裕が生まれると、スタッフへの声がけも変わってきましたね。」

中華料理店オーナー(60代・男性)

✓ ここまでのポイント

  • 求人広告の文言より先に「キャッシュが残る体質かどうか」を見直す
  • 「シフト相談OK」ではなく価値観で呼びかける訴求で、定着しやすい人材を集める
  • 仕事をスタッフに合わせる発想と、経営理念の言語化が定着率アップの鍵

「キャッシュが残らない体質」が採用力を奪っている

ここで核心の話をします。採用がうまくいかないお店の多くが、実は「売上は立っているのに利益が残らない」状態にあるんですよ。

月末に通帳を見て「また残高がギリギリだ」という状態のお店は、採用に投資することも、良い条件を出すことも、スタッフを大切に扱う余裕も、全部削られていきます。

じゃあどうするか。まず粗利70%以上が取れる商品・メニュー設計に見直すことが大前提です。

チェックポイント1:値上げの前に原価率を見直しているか

「値上げしたいけど客離れが怖い」という経営者の方は多いんですが、値上げの前にやることがあります。「売価を維持したまま原価率を下げる」工夫です。仕入れ先の見直し、ロスの削減、仕込みの効率化——こういう地道な積み重ねで、粗利は確実に上がります。

✅ ポイント:集客商品(入口価格)は据え置き、収益商品だけ価格を見直すのが現実的なアプローチです。全メニュー一律の値上げはしない。

チェックポイント2:安易な割引・値引きセールをしていないか

「集客のために割引をやっています」というお店は要注意です。割引は高単価メニューだけに絞る、それ以外はやらない。割引で集まったお客さんは割引がなくなると来なくなる——そういうお客さんを増やしても、経営は楽にならないんですよね。

✅ ポイント:割引ではなく「価値の見せ方」を変えることで、適正な価格で選んでもらえる土台をつくります。

チェックポイント3:会社と個人の「ポケット」が分かれているか

個人事業のままで法人化していない場合、事業のお金と生活費が混同されがちです。法人化してポケットを2つに分け、会社にキャッシュを積み上げる発想に切り替えることで、「採用にお金をかけられない」という状況が変わってきます。

✅ ポイント:会社に累計利益を積み上げる体質にすることで、採用・設備投資・スタッフ待遇改善の原資ができていきます。

採用と定着は「仕組み」で解決する

中西さんのお店が変わったのは、採用の文言を変えたからじゃなかったんですよ。根本的に「お店の利益体質を見直した」ことで、余裕が生まれ、スタッフへの接し方が変わり、職場の雰囲気が変わっていきました。

採用のSTEP STEP 1

求人の前に、お店の利益体質を棚卸しする

原価率・人件費率・粗利率を数字で把握する。「売上はあるのに利益が残らない」状態の原因を特定する。

⚠️ よくある失敗:まず求人を出して「採用できてから考えよう」と先送りにするパターン。採用コストだけがかさんで体力を削ります。

採用のSTEP STEP 2

価値観で呼びかける求人広告に変える

「まかない食べ放題」「食べることが好きな方」「子育てしながら短時間でテキパキ働きたい方」など、具体的な価値観と働く姿が見える言葉に変える。

⚠️ よくある失敗:「シフト相談OK」「誰でも歓迎」など、都合優先の人を集めてしまう言葉を残したまま広告を出し続けるケース。

採用のSTEP STEP 3

職場の理念と「やらないルール」を明文化する

お店として大切にしていること、絶対にやらないことを言葉にして、繰り返しスタッフと共有する。価値観が合う人が残り、合わない人は自然と離れていく環境をつくる。

⚠️ よくある失敗:経営理念が「心の中にあるだけ」で言語化されていないため、スタッフの判断基準がバラバラになるケース。

まとめ:採用力は経営体質から生まれる

採用がうまくいかない、スタッフが定着しない——この悩みの根っこには、「キャッシュが残らない経営体質」が隠れているケースがとても多いんです。

売上より利益を重視すること。粗利を高める商品設計に見直すこと。安易な値引き集客から降りること。会社にキャッシュを積み上げる発想に切り替えること。

この土台ができてはじめて、「良い人を採用できる条件」「長く働いてもらえる環境」が生まれてくるんですよね。

全国1,000店舗以上を支援してきた経験から言えるのは、採用と定着の問題は「求人の文言を変えるだけ」では解決しないということ。でも経営の土台を見直した経営者の方は、採用もスタッフの定着も、自然と改善していきます。

「何から手をつければいいか分からない」という方は、まず顧客の購買行動を軸にした販促の全体像を整理するところから始めてみてください。採用の問題も、実は集客・利益構造と深くつながっています。

👇 こちらから無料でチェックしてみてください。

顧客の購買行動を軸とした 販促改善の教科書

また、全国の飲食店・美容室オーナーと一緒に「利益が残る経営の仕組み」を学んでいきたい方は、増益繁盛クラブの初月お試し体験もぜひ活用してみてください。採用・定着・利益体質の改善まで、仲間と一緒に取り組める環境が整っています。

増益繁盛クラブ入会案内

一人で抱え込まず、ぜひお気軽にのぞいてみてください。お待ちしております。

-人手不足・スタッフ育成