「売上はそこそこあるのに、なぜかお金が残らない」
「月末になると通帳の残高が気になってドキドキする」
「決算書を見たら、1年間あんなに頑張ったのにこれだけ?ってなった」
こういう経験、一度や二度じゃない、という方も多いんじゃないでしょうか。
実はこれ、「数字が苦手だから」では片付けられない話なんですよ。原因はほぼ決まっていて、見るべき数字を見ていないか、見る順番が間違っているか、そのどちらかなんですね。
コロナ禍で閉店に追い込まれたお店を思い返してみてください。あのとき資金繰りで行き詰まったお店のほとんどは、もともと「時間の問題」だったケースがほとんどでした。売上が急に途絶えて初めて「手元に何もない」と気づいた、という状況です。
逆に言えば、見るべき数字をちゃんと把握して、キャッシュが残る体質に変えておけば、あの局面でも踏ん張れた可能性が高かった。そういうことなんですよ。
今回は、数字が苦手な経営者の方でも「これだけ見ておけばいい」という数字を、比較しながら具体的にお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- 数字が苦手な経営者が「最初に見るべき数字」とは何か
- 売上より利益が残らない本当の原因と、見落としやすい落とし穴
- キャッシュが残る筋肉質な経営に変えるための具体的な考え方
- 数字を追い始めて実際に成果が出た、現場からのリアルな声
こんな方におすすめ
- ✅ 売上はあるのに月末になると通帳残高が不安な飲食店・美容室オーナーの方
- ✅ 決算書や財務諸表が苦手で、どの数字を見ればいいか分からない方
- ✅ 一生懸命働いているのに利益が手元に残らないと感じている方
- ✅ 値引きや安売りに頼らず、利益体質の経営に変えていきたい方
- ✅ 経営の数字に少しずつ向き合っていきたいと思い始めた方

「売上」という数字に騙されていませんか?
多くの経営者が一番最初に追いかける数字が「売上」です。でも正直に言うと、売上は経営の健康状態を正確に教えてくれる数字じゃないんですよね。
たとえば月商200万円のラーメン店と月商200万円の居酒屋を比べると、同じ売上でも手元に残るお金はぜんぜん違います。原価率、人件費率、家賃の比率……これらのバランスによって、同じ売上でも「余裕がある店」と「常にカツカツな店」に分かれてしまうんですね。
じゃあ最初に見るべき数字は何か。それは「粗利(あらり)」です。
粗利というのは、売上から原材料費(飲食店なら食材費・飲料費)を引いた数字です。この粗利が、実際にお店が使えるお金の大元になります。
❌ 売上だけを追いかけるパターン
- 売上は上がっているのに利益が残らず、常に資金繰りがギリギリ
- 集客のために値引きやクーポンを使い続け、粗利をどんどん削っている
- 忙しいのにお金が残らないという矛盾が解消されない
✅ 粗利から逆算する経営に変えたパターン
- 「今月いくら粗利を取れたか」が経営判断の基準になり、無駄な値引きが減る
- 売上が少し落ちても、粗利率が高ければ利益はしっかり残る
- 手元に残るお金が見えてくるので、資金繰りの不安が減っていく
飲食店なら、粗利率の目安は70%以上が一つの基準です。つまり売上の70円以上が、実際に使えるお金として手元に残る状態。これが「筋肉質な経営」の入り口なんですよ。
「数字が苦手、という方ほど売上ばかり見ている。でも売上は結果であって目標じゃない。最初に見るべきは、売上から原価を引いた粗利です。ここから経営の体質改善が始まるんですよ。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
原価率を「下げる」vs「値上げする」、どちらが先か
粗利率を上げようとしたとき、多くの経営者がすぐ考えるのが「値上げ」です。でも順番としては、値上げより先にやるべきことがあるんですよね。
チェックポイント①:売価を維持したまま原価率を下げられているか
たとえば仕入れ先を見直す、仕込みの歩留まりを改善する、メニュー構成を変えて原価の低い商品の比率を上げる。こういった工夫で、お客さんから見える「価格」は変えずに粗利率を改善できるケースは意外と多いんです。
✅ ポイント:値上げは「伝える言葉の準備」ができてから。その前に仕入れ・仕込み・メニュー構成で粗利率を上げられないか、まず棚卸ししてみてください。
チェックポイント②:集客商品と収益商品を分けているか
全メニューを一律に安売りしていませんか。マクドナルドがなぜ100円バーガーを出せるかというと、セットにすることでポテトやドリンクで収益を取る設計になっているからです。入口は手頃に、店内で収益商品に誘導するという流れが作れているかどうか、これが重要なんですよ。
✅ ポイント:一番安い「入口メニュー」を決めたら、そこからどう収益商品に誘導するかの導線を設計してみてください。テーブルのPOPやメニューブックがそのまま販促ツールになります。
チェックポイント③:割引・値引きのルールが決まっているか
「とりあえず値引きで集客しよう」という判断を繰り返していると、粗利をどんどん削ります。割引を使う場合は、高単価メニューだけに限定するのが基本です。1万円以上のコース料理に10%割引を設けても、1,000円の単品を100円引きにするより絶対的な利益額は大きい。安易な値引きが習慣になっていないか、一度確認してみてください。
✅ ポイント:割引は「高単価メニューにだけ使う」とルールを決めることで、集客しながら粗利を守ることができます。
✓ ここまでのポイント
- 最初に見るべき数字は「売上」ではなく「粗利(粗利率)」。飲食店の目安は70%以上。
- 値上げより先に、売価を維持したまま原価率を下げる工夫を徹底すること。
- 割引・値引きは高単価メニューだけに限定し、安易な値引き集客は粗利を削るだけ。
「1枚の数字表」で経営の健康状態を把握する方法
正直なところ、最初から帳簿や財務諸表を全部読もうとしなくていいんですよ。数字が苦手な方にとって、いきなりハードルを高くする必要はない。まず1枚の数字表を作って、毎月これだけを確認するクセをつけることから始めてください。
その表に入れる項目は次の5つだけです。
確認STEP 1
先月の売上合計を書く
月の売上合計を記録します。レジ締めの数字や売上管理表からそのまま転記するだけでOKです。
⚠️ よくある失敗:月が終わってから2〜3週間後に確認するケース。「翌月5日」を数字確認の日と決めておかないと、軌道修正が遅くなってしまいます。
確認STEP 2
先月の原価合計を書く
食材費・飲料費などの変動費の合計を記録します。「売上に対して何%か」を計算してみましょう。
⚠️ よくある失敗:仕入れ金額だけを見て、ロスや廃棄を含めた実際の原価を把握していないケース。棚卸しをしないと実態が見えません。
確認STEP 3
粗利と粗利率を出す
「売上 ー 原価 = 粗利」「粗利 ÷ 売上 × 100 = 粗利率(%)」を計算します。これが70%を下回っているなら、まずここを改善する優先度が高いということです。
⚠️ よくある失敗:粗利率を一度計算して満足し、翌月以降確認しなくなるパターン。毎月比較することで初めて「先月より上がった・下がった」という変化が見えます。
確認STEP 4
固定費(家賃・人件費・光熱費など)の合計を書く
毎月必ずかかる費用の合計を把握します。飲食店の経営指標でいうと、売上に対して人件費30%・家賃10%以内が一つの目安です。
⚠️ よくある失敗:家賃や人件費は「固定だから仕方ない」と思って見直さないケース。人件費率が高い月は、シフト設計を見直す余地がないか検討してみてください。
確認STEP 5
最終的な営業利益を確認する
「粗利 ー 固定費 = 営業利益」です。この数字がプラスになっているか、目標の利益額に近づいているかを毎月確認する。これだけで経営の健康状態は十分把握できます。
⚠️ よくある失敗:売上だけ見て安心し、固定費の増加に気づかないケース。売上が上がっていても固定費が膨らんでいれば利益は減ります。
「経営の数字は、全部分かる必要はない。まず粗利率と営業利益の2つだけ毎月5日に確認するクセをつけてください。それだけで、今まで見えなかったものが見えてくるはずです。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
数字を追い始めたら経営が変わった、現場からのリアルな声
「数字を見るのが怖かった」という方が、実際に見始めて経営が変わった例を紹介しますね。
「以前は売上の数字しか見ていなくて、原価率や利益のことを正直あまり気にしていなかった。でも客単価を意識するようにしてから、月商が330万円を超えて、自分でも数字を追う経営に手応えを感じ始めました。今は毎月数字を確認するのが楽しくなってきた感じです。」
ラーメン店経営者(男性・30代)|客単価250円アップ、月商330万超え
このラーメン店の方が実践したのは、難しいことじゃないんですよ。「客単価を意識する」ということ。一人のお客さんに来てもらったとき、今より250円多く使ってもらえるメニューの見せ方・伝え方を工夫した。それだけで月商が大きく変わったということですね。
数字を見ること自体は手段です。数字を見ることで「次に何をすれば利益が残るか」が見えてくる。それが目的なんです。
全国1,000店舗以上の支援経験の中でわかるのは、最初から数字が得意な経営者なんてほとんどいないということ。みなさん最初は「苦手だ」と思っていても、見るべき数字を絞って習慣にしていくうちに、自然と経営の感覚が研ぎ澄まされていくんですよ。
「売上のポケット」と「利益のポケット」を分けて考える
最後に、もう一つ大切な考え方をお伝えします。それは「お金のポケットを2つに分ける」ということです。
個人事業のままだと、事業のお金と生活費が同じポケットに入ってしまうんですね。売上が入ってきても、生活費として使い、仕入れに使い、月末の支払いに使い……結果的に何も残らない、という構造になりやすい。
❌ ポケットが1つの状態(個人事業のまま)
- 事業のお金と生活費が混在し、どこで使われているか把握しにくい
- 利益が出ても生活費で消え、会社にお金が積み上がらない
- 緊急時(設備故障・仕入れ値上がり)に対応できる余裕がない
✅ ポケットを2つに分けた状態(法人化・会社に利益を積み上げる)
- 会社と個人のお金の流れが分かれ、経営判断がしやすくなる
- 会社に利益を積み上げることで、次の投資・緊急対応の原資ができる
- 「自分年金」として会社に残したお金を引退後の収入源にできる設計も可能
事業規模が一定以上になってきたら、法人化のタイミングを検討することも、キャッシュを残す経営への大事なステップです。税理士や専門家に相談しながら進めてみてください。
また、融資についても「お金が必要になってから動く」のではなく、余裕のある今のうちに日本政策金融公庫の担当者と顔つなぎをしておくことをおすすめします。余裕があるときに動いておく、これが経営の鉄則なんですよ。
まとめ:最初に見るべき数字は「粗利率」、そして毎月5日に確認する
この記事でお伝えしてきたことを整理しますね。
数字が苦手な経営者が最初に見るべき数字は「売上」ではなく「粗利率」です。粗利率が高ければ、売上が少し落ちても利益は残ります。逆に粗利率が低いまま売上を追いかけても、忙しいのに手元にお金が残らない状態は変わりません。
見るべき数字は5つだけ。売上・原価・粗利率・固定費・営業利益。これを翌月5日に確認する習慣をつけるだけで、経営の見え方がガラッと変わります。
値上げより先に原価率を下げる工夫を。割引は高単価メニューだけに限定する。お金のポケットを会社と個人で2つに分ける。この3つの考え方を少しずつ実践していくだけで、「売上はあるのにお金が残らない」というジレンマから抜け出せるようになります。
今の行動の結果が今の売上、というのが私の考え方です。でもそれより大切なのは、今の行動の結果が来月の利益になるかどうか、という視点なんですよ。ぜひ今日から、粗利率だけでも確認するところから始めてみてください。
もし「数字のどこから手をつければいいか分からない」「自分のお店に当てはめて考えたい」という方は、ぜひ一度以下の教材をご覧ください。販促の考え方から数字の読み方まで、現場で即使えるノウハウをまとめています。
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一緒に、キャッシュが残る筋肉質な経営を実現していきましょう。お待ちしています。