結論から言うと、「集客商品と収益商品を分ける」というのは、入口を広くして、中で利益を取るという設計思想です。これを意識しているかどうかで、同じ売上でも手元に残るお金がまったく違ってきます。
今日は、この考え方がどこから来ているのか、そしてどう実践すればいいのかを、実際の現場でのやり取りも交えながらお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- 「集客商品」と「収益商品」をなぜ分ける必要があるのか、その設計思想の根本
- 売価を下げずに原価率を改善し、手元に利益を残す具体的な方法
- 店内販促で収益商品へ自然に誘導する導線のつくり方
- 個人サロン・飲食店の実例から学ぶ「利益率80%商品」の設計ヒント
こんな方におすすめ
- ✅ 売上はそこそこあるのに、月末になると手元にお金が残らないと感じている方
- ✅ 割引や安売りで集客しているが、忙しいのに利益が出ていない方
- ✅ 「値上げしたいけど客が離れそうで怖い」と感じている飲食店・サロンのオーナー
- ✅ メニューや商品の価格設定を根本から見直したい方
- ✅ 1人あたりのお客さんから得られる累計の利益をもっと増やしたい方

「忙しいのに利益がない」——その正体は商品設計のミスにある
先日、増益繁盛クラブの会員さんからこんな相談がありました。
「ジョイマンさん、うちの店、客数はそこそこ入ってるんですよ。でも月末に帳簿を見ると、ほとんど残ってないんです。なんでですかね?」
この質問、本当によく聞くんですよね。答えはほぼ決まっていて、「全部の商品で同じように利益を取ろうとしているから」なんです。
多くの経営者の方は、メニューや商品を並べるとき、どれも均一な利益率になるよう設定しようとします。でもそれが落とし穴で、結果的に集客のための商品まで高く設定して敬遠されたり、逆に収益商品まで安くして利益を削ったりする。両方が中途半端になってしまうんですよ。
飲食店でいうと、原価30%・人件費30%・地代家賃10%・営業利益10%というバランスが一つの目安になりますが、このバランスを意識せずに「なんとなく」で価格設定しているお店がほとんどです。
「売上より利益を重視する、というのは精神論じゃないんです。商品の設計段階で、どこで利益を取るかを先に決めておく、それだけのことなんです。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役/中小企業診断士)
集客商品は「入口」、収益商品は「本命」——役割を分けると全体が整う
集客商品というのは、「まずこのお店を知ってもらう・試してもらう」ための商品です。価格的にも手が届きやすく、比較されても選ばれやすい。ここで利益を取ろうとするのではなく、「まず入ってきてもらうこと」を目的にするんですね。
一方、収益商品というのは、お店の中に入ってきたお客さんに「これを選んでほしい」という商品です。価格は集客商品より高めでも、そこに価値がちゃんと見えれば選んでもらえる。ここで利益を取るのが設計の肝なんですよ。
よく例として出すのがマクドナルドの100円コーヒーの話です。100円のコーヒーで呼び込んで、バーガーセットを注文してもらう。あの構造そのままです。飲食店なら「ランチの定食は手頃にして、ドリンクや一品料理の追加注文で利益を取る」という設計ですね。
サロンなら「初回体験トリートメントは特別価格で来てもらい、2回目以降は通常メニューへ。さらに物販やホームケアアドバイスで単価を上げる」という流れが典型的です。
ポイントは、この2種類の商品をごちゃ混ぜにしないことです。
❌ よくある失敗パターン
- 全メニューを一律値引きして、集客もできず利益も取れない状態になる
- 「お得感」を出そうとしてセットを安くしすぎ、客単価が下がる
- 収益商品にも割引クーポンを適用して、本命商品で利益が取れなくなる
✅ 推奨するアプローチ
- 集客商品は価格を据え置き、収益商品には絶対に手軽な割引を当てない
- 割引を使うなら1万円以上の高単価メニューだけに絞る(割引の絶対額が大きいので、お客さんに「お得感」を感じさせつつ利益率は守れる)
- POPやメニューブックで収益商品を自然に目立たせ、注文の流れをつくる
✓ ここまでのポイント
- 「全商品で均一に利益を取ろう」とする設計が、結果的に利益を削る原因になっている
- 集客商品は「入口を広げるため」、収益商品は「利益を取るため」と役割を明確に分ける
- 割引は使いどころを絞る。高単価メニューのみに限定するのが鉄則
「売価を下げずに原価率を下げる」——見落とされがちな利益改善の王道
値上げしたいけど怖い、という気持ちはよくわかります。でも、値上げよりも先にやるべきことがあって、それが「売価を維持したまま原価率を下げる」という発想です。
具体的には、こういうことです。
チェックポイント①:使っている食材・素材の「仕入れ先を見直しているか」
同じ品質でも仕入れ先や発注のまとめ方で価格は変わります。月に一度は仕入れ単価の比較を習慣にしているかどうか、まず確認してみてください。
✅ ポイント:仕入れを集約することで交渉力が生まれます。複数の業者に同じ食材を分散発注しているなら、まず1本化を検討してみてください。
チェックポイント②:原価率の高い商品が「集客商品のポジション」に入っていないか
原価率40%を超えるような商品が、一番前に出ている「看板メニュー」になっていることがあります。それが入口商品として機能しているなら、設計を見直す必要があります。
✅ ポイント:原価率の高い商品を集客商品に使うのではなく、原価率が低くても満足度が高い商品(調理技術・盛り付け・世界観で価値を出せる商品)を集客商品にシフトする発想を持ってください。
チェックポイント③:「ノウハウや体験価値」を商品に乗せているか
素材原価が低くても、それにアドバイス・提案・コンセプトが加わると、お客さんが感じる価値は一気に上がります。いわゆるライザップ型の発想ですね。
✅ ポイント:ダイエット食材を売るのではなく「あなたの目標体重まで一緒に伴走します」というコンセプトを売る。この発想を自分のメニューに置き換えてみてください。利益率80%の商品は、素材原価ではなく「知識・体験・コンセプト」で作れます。
「商品にノウハウを乗せると、原価はほぼゼロでも高く売れる。その典型がコンサルタント業です。でも飲食もサロンも、本来同じことができるんですよ。料理の背景にある産地の物語、施術の裏にある健康への知見——それがコンテンツになるんです。」
ハワードジョイマン(有限会社繁盛店研究所 代表取締役)
実例:個人サロンが「集客商品と収益商品の分離」で手に入れたもの
ここで、増益繁盛クラブの会員さんの実例をひとつ紹介させてください。
「自力集客で新規のお客さんが月8名来てくれるようになりました。LINE配信でリピートの導線を自動化できて、しかも相談できる仲間ができたことが一番大きかったです。」
個人サロン(女性・30代)
この方が最初に取り組んだのが、まさに「集客商品と収益商品を分ける」という設計の見直しだったんですね。
もともとは初回体験メニューを低価格で提供していたものの、2回目以降に誘導する仕組みが何もなかった。せっかく来てくれたお客さんが「体験してみたけど、その後どうすればいいかわからない」という状態で帰っていた。
そこで、収益商品となる「ホームケア指導つきの継続コース」を設計して、LINE公式アカウントで来店後のフォローを自動化しました。初回の体験を「入口」として位置づけ、継続コースで利益を取る構造に切り替えたわけです。
新規集客に力を入れながら、来てくれたお客さんをLINEで継続的につなぎとめる。この2つの仕組みが回り始めることで、月末に利益が残る体質に変わっていきました。
「相談できる仲間ができた」という言葉も印象的ですよね。経営の悩みって、一人で抱えると答えが見えにくくなる。同じ方向を向いている仲間と情報交換できる環境が、行動のスピードを上げるんですよ。
店内販促で「収益商品へ自然に誘導する」導線のつくり方
集客商品で入口を作っても、収益商品への誘導ができていないと意味がありません。ここが一番、現場でやり切れていないポイントなんですよ。
集客商品から収益商品へ STEP 1
メニューブックやPOPで「次の選択肢」を見せる
お客さんは自分から「何か他にいいものはないか」と探しません。見えているものの中から選ぶんです。だから収益商品は、目に入る場所に必ず置く。メニューブックなら収益商品のページを開きやすい場所に、POPなら視線が集まるカウンター前に。
⚠️ よくある失敗:収益商品を「一番後ろのページ」にまとめてしまい、ほとんど見てもらえないまま終わる。
集客商品から収益商品へ STEP 2
スタッフの言葉で「価値を一言添える」
POPだけに頼らず、スタッフが一言「こちらの〇〇は、〇〇がお好きな方に特によく合いますよ」と伝えるだけで、注文率は上がります。スクリプト(台本)を用意して、全員が同じように言えるようにするのがポイントです。
⚠️ よくある失敗:「押し売りみたいで気が引ける」とスタッフが何も言わず、誘導が機能しない。
集客商品から収益商品へ STEP 3
LINE・ハガキで「来店後にも収益商品の存在を届ける」
来店中に気づかなくても、帰宅後にLINEで「今月のおすすめ」として収益商品を紹介すると、次の来店時に注文してもらえることが増えます。短期の店内誘導と、中長期のLINE配信を組み合わせるのが理想的な形です。
⚠️ よくある失敗:LINEに登録してもらったまま、何も配信しない。登録者数は増えているのに活用できていない状態が長く続く。
まとめ:「入口で呼んで、中で利益を取る」設計を今日から始めよう
今回の話を整理すると、こうなります。
- 集客商品は「お客さんに来てもらうための入口」、収益商品は「実際に利益を取るための本命」
- 値上げより先に「売価を維持しながら原価率を下げる」工夫をする
- ノウハウ・体験・コンセプトを商品に乗せると、原価が低くても価値が上がる
- POPとメニューブックで収益商品への視線誘導を設計し、スタッフの言葉とLINE配信で補強する
全国1,000店舗以上の現場を見てきた中で、「忙しいのに利益が残らない」という悩みを持つ経営者に共通しているのは、ほぼ例外なくこの商品設計が曖昧なことです。逆に言えば、ここを整えるだけで手元に残るお金は変わってくるんです。
「今の行動の結果が今の売上」というのは、経営の現場で何度も実感してきた言葉です。設計を変えれば、結果は変わります。ぜひ今日から一つ、メニューや商品の役割を見直してみてください。
もっと体系的に「どの順番で何をやればいいか」を整理したい方には、顧客の購買行動を軸にした販促の全体設計をまとめた教材がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、毎月のセミナーや全国の経営者仲間との情報交換ができる「増益繁盛クラブ」では、今回お伝えしたような集客商品・収益商品の設計から、実際の店内販促の作り方まで、実践ベースで学べる環境を用意しています。初月は少額でお試しいただけますので、「まずは覗いてみたい」という方はこちらからどうぞ。
商品設計に悩んでいること、利益が残らない構造をどう変えるか、気軽にご相談ください。一緒に考えていきましょう。