オペレーション改善

電気代高騰に負けない、飲食店の省エネ対策

「去年と同じくらい売れているのに、なぜか手元にお金が残らない」——そんな感覚を持ち始めていませんか?

2024年以降、電気代・ガス代の高騰は続いていて、経済産業省の資源エネルギー庁が公表しているデータでも、業務用電力の単価は2021年比で3〜4割以上上昇しているケースが多く見られます。売上はキープできていても、光熱費がじわじわと利益を削り続けているわけですね。

でも、ここで「もっと売らないと」という方向に走ってしまうと、かえって泥沼にはまります。電気代が上がっているのに、薄利の集客施策に力を入れて回転を上げる——これ、頑張るほど赤字に近づいていく構造なんですよ。

この記事では、省エネ対策を「コスト削減の話」だけで終わらせず、利益率の低い体質そのものを変えるための考え方と具体的な手順をお伝えします。全国で1,000店舗以上の支援を通じて見えてきた、現場で本当に使える内容です。

📋 この記事でわかること

  1. 電気代高騰が飲食店の利益構造に与える具体的なダメージの見方
  2. 売価を下げずに原価率・光熱費を改善する実践的な手順
  3. 省エネ対策と並行して「利益の残る体質」をつくるための販促設計
  4. 法人・団体客を取り込んで安定収益を生む仕組みのつくり方

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上はあるのに月末になると手元にお金が残らないと感じている方
  • ✅ 電気代・光熱費の上昇をどう吸収すればいいか分からない方
  • ✅ 割引やセールに頼らず、利益率を改善したい飲食店オーナーの方
  • ✅ 原価率・人件費率を数字でコントロールしたいと思い始めた方
  • ✅ 法人・団体客など安定した売上源を新たに開拓したい方
電気代高騰に負けない、飲食店の省エネ対策 | 飲食店の年商1億円突破の教科書

電気代の上昇は「利益の構造問題」をあぶり出している

まず、飲食店の利益構造を整理しましょう。おおまかな目安として、原価30%・人件費30%・地代家賃10%・その他経費20%・営業利益10%という「3・3・3・1の法則」があります。

この「その他経費20%」の中に光熱費が含まれるわけですが、電気代が1〜2割上がるだけで、この枠はあっという間に食いつぶされます。月の電気代が20万円のお店なら、年間で24〜48万円以上の余分な出費が発生していることになります。

問題は、この事実を「電気代が高い」という感覚では把握していても、月の利益にどれだけ直撃しているかを数字で把握できていないケースが非常に多いことです。感覚で動いている限り、対策も感覚になってしまう。まずここを直しましょう。

チェックポイント①:光熱費の月次把握はできているか

電気代・ガス代・水道代を「先月いくらだったか」すぐ言えますか?「だいたい15〜20万くらい」という答えは、まだ把握できていないのと同じです。

✅ ポイント:翌月5日までに前月の光熱費を科目別に確定させる「翌月5日ルール」を導入してください。数字が見えると、打てる手が見えてきます。

チェックポイント②:電気代の「どこに使っているか」は分解できているか

飲食店の電気消費の内訳は大きく分けると、冷蔵・冷凍設備、調理機器、空調、照明の4つです。環境省の「飲食店における省エネルギー対策導入ガイドライン」によると、業種によって差はありますが、冷蔵・冷凍設備と空調で全体の50〜60%以上を占めるケースが多いとされています。

✅ ポイント:この2つに手をつけないまま照明だけLEDにしても、効果は限定的。優先順位を正しく設定してから動いてください。

✓ ここまでのポイント

  • 電気代の上昇は「利益10%」を直撃する構造問題であり、感覚ではなく数字で把握することが出発点
  • 光熱費の内訳を分解し、冷蔵・冷凍設備と空調から優先的に手をつけるのが効果的
  • 「翌月5日ルール」で月次の数字を即把握する習慣が、対策の精度を上げる

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省エネ対策は「売価を維持したまま利益を増やす」手段として使う

省エネ対策の話をすると、「設備投資が必要でしょ?」と思う方が多いですが、今日からできることも多いんですよ。

省エネ STEP 1

冷蔵庫・冷凍庫の使い方を見直す

冷蔵庫の周辺に隙間がない、扉を頻繁に開け閉めしている、コイル(放熱部分)に汚れが溜まっている——これだけで消費電力は10〜20%増えると言われています。まず掃除と配置の見直しから。設備を買い替える前にやるべきことがあります。

⚠️ よくある失敗:「古い冷蔵庫を買い換えれば解決」と思って設備投資から入る。運用改善を先にやらないと、新しい機器を入れても使い方が変わらず電気代が思ったほど下がらない、ということになりがちです。

省エネ STEP 2

空調の温度管理と稼働時間を「意図的に」決める

8月のランチタイムは厨房の熱で客席も暑くなるため、開店前から冷やしておきたい気持ちはわかります。ただ、開店の何分前からエアコンをつけるかを決めている店と、なんとなく動かしている店では、年間で数万円の差が出ます。夏の繁忙期こそ、稼働時間を意識的にコントロールしてください。

⚠️ よくある失敗:「快適さを削ってお客さんに不満を持たせたら元も子もない」という発想で、何も変えないまま終わる。お客さんへの影響がない範囲で仕組みを変えることが前提です。

省エネ STEP 3

IT導入補助金・省エネ補助金を活用して設備を更新する

運用改善で取れる成果を取り切ったら、次は設備投資の番です。高効率の厨房機器や冷蔵設備への入れ替えは、補助金を活用することで実質的な負担を大幅に減らせるケースがあります。IT導入補助金を飲食店で活用する手順についても参考にしてみてください。また、物価高騰時代に飲食店が生き残るための発想も合わせて読むと、全体の戦略が見えてきます。

⚠️ よくある失敗:補助金の存在を知らないまま全額自己負担で投資してしまう、または申請期限を過ぎてから気づく。年度内に動けるよう、早めに情報収集を。

「省エネ対策は『節約』ではなく『利益を守る投資』です。電気代を下げた分は、そのまま手元に残るお金になる。売上を1割増やすより、コストを1割削る方が、利益への影響は圧倒的に大きいんですよ」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・店舗利益最大化コンサルタント)

電気代を削るだけでは限界がある。利益の出る「商品設計」を変える

ここが本当に大事なところです。

電気代を月5万円削れたとしても、年間60万円の改善。もちろんそれは素晴らしいことです。でも、商品の利益構造が変わらなければ、根本的な解決にはなりません。

❌ よくあるパターン(安売りで客を集める構造)

  • 集客のために割引クーポンを出し続ける
  • 客単価が低いまま席数・回転数で売上を作ろうとする
  • 電気代が上がった分を「もっと売れば取り戻せる」と考えてしまう
  • 頑張るほど光熱費・人件費も上がり、利益が追いつかない

✅ 推奨アプローチ(収益商品への導線をつくる構造)

  • 入口の「集客商品」は手頃に設定しつつ、店内でPOPやスタッフの声がけで「収益商品」へ誘導する
  • ノウハウや背景ストーリーを付加して、利益率の高い商品ラインを育てる
  • 割引は1万円以上の高単価メニュー(コース・ギフト品)に絞り、日常的な値下げをやめる
  • 「売価を維持したまま原価率を下げる」工夫(仕入れ先の見直し・食材の組み合わせ変更)を先に徹底する

たとえば、ある飲食店では1,800円で売れなかった自家製ドレッシングを5,000円に値上げしたところ逆に売れ始め、全国の雑誌・新聞に取り上げられました。値段を下げることが「売れる理由」ではなく、価値の見せ方と届ける相手を変えることで、全く逆の結果が生まれた事例です。

法人・団体客を取り込むと、省エネ以上の利益改善になる

電気代対策と並行して、ぜひ考えてほしいのが客層の見直しです。

個人の一見客を薄利で何人も集めるより、法人・団体のまとまった注文が1件入る方が、光熱費・人件費の効率がぜんぜん違います。宴会・法人懇親会・歓送迎会は、席数が一度に埋まるため、1回の稼働あたりの光熱費コストが圧倒的に低くなるんですよ。

「団体様向けのホームページページを整備したところ、法人・団体からの問い合わせが継続的に発生するようになりました」

飲食店オーナー

この事例が教えてくれることは、「来てもらう努力」よりも「探しているお客さんに見つけてもらう仕組み」をつくることの方が、長く安定した効果をもたらすということです。法人担当者はGoogleで「〇〇 宴会 個室 法人」などのワードで検索して店を探します。そこに引っかかるページがあるかどうかで、問い合わせの有無が決まります。

こうした集客の仕組みは、MEO対策で一人勝ちする設計手順と組み合わせることで、さらに効果が出やすくなります。

まとめ:電気代高騰に「正面から勝ちに行く」には利益体質を変えること

8月の今、エアコンがフル稼働する時期に電気代の問題を突きつけられている飲食店オーナーの方は多いはずです。

でも、「省エネ対策=節電・我慢」ではありません。今回お伝えしたことを整理するとこうなります。

  • まず、光熱費を月次で正確に把握する(翌月5日ルール)
  • 冷蔵・冷凍・空調から優先的に、運用改善→設備投資の順で動く
  • 売価を維持したまま原価率を下げる工夫を徹底する
  • 集客商品と収益商品を分け、店内で利益の出る商品へ誘導する
  • 法人・団体客を取り込む仕組みをつくり、効率の良い売上源をつくる

「頑張って売る」のではなく、「仕組みに働いてもらう」——この発想が、電気代が上がっても利益を守り続けるお店の共通点です。

全国1,000店舗以上の支援を通じて、私が繰り返し見てきたことは、成果を出しているお店は「やることを増やすのではなく、正しい順番で動いている」ということ。ぜひ今日から、一つだけ動いてみてください。

電気代対策も、収益商品の設計も、法人客を集める仕組みも——どれも「一人でやりきる」には限界があります。増益繁盛クラブでは、全国の飲食店・美容室オーナーが実践事例を共有しながら動いている場があり、深夜でもAIに相談できる体制が整っています。利益の安定を最優先に取り組みたい方は、まず入会案内ページで詳細を確認してみてください。

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