8月も後半に入ってきましたね。夏の疲れが出てくるこの時期、焼肉店は「家族のご褒美飯」「夏の打ち上げ」などで一定の需要がある時期でもあります。でも、正直なところ「夏は来てくれるけど、手元に残るお金が少ない」と感じているオーナーさん、多いんじゃないかと思います。
今日はそのテーマ、ズバリ「焼肉店の客単価を上げる、コース設計と追加注文の促し方」について掘り下げていきます。単価を上げる話をするとき、よくあるのが「値上げしましょう」だけで終わるパターン。でも今回は、そこじゃないんですよ。大事なのは「売上を立てながらも利益がちゃんと残る設計になっているか」、この一点です。
今回は、私・ハワードジョイマンが実際に会員さんとやりとりした現場の声を交えながら、具体的な考え方をお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- 焼肉店のコース設計で「利益が残る構造」をどうつくるか
- 原価率を下げながら客単価を上げる商品の並べ方
- スタッフが自然に追加注文を促せる現場の仕組み
- 「忙しいのにお金が残らない」を脱出するための順番
こんな方におすすめ
- ✅ 焼肉店を経営していて、売上はあるが利益が手元に残らないと感じている方
- ✅ コースを設定しているけれど、追加注文がなかなか出ずに単価が伸び悩んでいる方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らず、価値で選ばれる店にしたい方
- ✅ スタッフに「もう一品すすめて」と言っても動いてくれず、自分が全部やっている方
- ✅ 忙しさに見合った利益を、仕組みで確保したいと考えている方

「忙しいのに利益が出ない」の正体は、コース設計の構造にある
焼肉店の経営者の方と話をすると、「週末はほぼ満席なんですよ、でも月末の通帳を見ると…」という声をよく聞きます。これ、じつは集客の問題ではなくて、コース設計の構造問題なんですね。
具体的に言うと、よくある失敗パターンはこうです。
❌ よくあるコース設計のパターン
- 「お値打ち感」を出すために、原価率の高い肉を前面に押し出してコースを組んでいる
- コース価格を競合店と横並びにしてしまい、原価率が40〜50%台に達している
- 追加注文はあくまで「お客さんが頼めば出す」スタンスで、促す仕組みがない
- 結果として回転数で売上をカバーしようとして、スタッフも経営者も疲弊する
✅ 利益が残るコース設計の考え方
- コースの「骨格」には原価率の低い品(野菜・サイドメニュー・〆料理など)を設計に組み込む
- メインの肉は「見栄え・満足感・希少性」で価値を出し、原価率は全体で30〜35%以内に設計する
- 追加注文は「お客さんが頼むもの」ではなく、「スタッフが案内するタイミングが設計されているもの」にする
- 値段を上げなくても、品の並べ方と説明の順番だけで客単価は変わる
コース設計の本質は、「お客さんに喜んでもらいながら、利益が残る商品の順番をつくること」です。「お得にしないと来てくれない」という発想から、一度抜け出してみてください。
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コース設計で「粗利70%以上」を目指す、3つの組み立て原則
「粗利70%なんて焼肉で無理でしょ」と思った方、ちょっと待ってください。確かに肉単体で粗利70%は厳しい。でも、コース全体で見たときの話をするとぜんぜん違ってきます。
組み立て原則 STEP 1
原価率の低い「高粗利メニュー」をコースの中に意識的に組み込む
例えば、サラダ・スープ・キムチ・ナムル・〆のクッパやスープ麺・デザートといった品は、原価率が10〜20%台に収まることが多いです。これらをコースの中に「自然に」組み込むことで、コース全体の原価率が下がります。「肉を減らすの?」ではなく、「全体のバランスを整える」という発想ですね。
⚠️ よくある失敗:〆の麺やデザートを「おまけ」扱いにして、品数の水増しに使っているだけのパターン。これだと原価は下がっても満足度も下がります。〆やデザートこそ「記憶に残る体験」として設計することが大切です。
組み立て原則 STEP 2
コースに「グレード」をつくり、比較で選ばせる
コースが1種類だけだと、お客さんは「高い・安い」の二択で悩みます。3段階のグレードがあると、自然と「真ん中か上」を選ぶ心理が働きます。重要なのは、上位コースほど高粗利メニューが増える設計にすること。上位コースは希少部位・飲み放題・デザートのグレードアップなどで差別化しつつ、原価率は適切にコントロールします。
⚠️ よくある失敗:上位コースに高原価の肉を追加するだけで、飲料や〆・サイドの設計を変えていないパターン。単価は上がっても粗利率がむしろ下がるケースがあります。
組み立て原則 STEP 3
追加注文を「タイミング」で設計する
追加注文は、お客さんが「そろそろ終わりかな」と感じるタイミングの少し前に案内するのが鉄則です。具体的には、コースの肉が残り1〜2種になったタイミングで「本日はここからが旬の○○も入っておりまして…」と一言添える。これをスタッフが自然にできる仕組みにするために、「どのタイミングで・何を・どう言うか」をシート化してスタッフに渡すことが必要です。
⚠️ よくある失敗:「スタッフが気を遣って声をかけづらい」という状態を放置するパターン。スタッフは「押しつけがましいと思われたくない」と感じているので、言葉のテンプレートがないと動けません。客単価アップが自然に実現する導線設計の手順も参考にしながら、現場で使えるトークの流れを整えていきましょう。
✓ ここまでのポイント
- コース全体の原価率を30〜35%以内に設計するために、高粗利メニューを意識的に組み込む
- コースのグレードを3段階にして、比較で上位を選ばせる仕組みをつくる
- 追加注文は「タイミング」と「言葉」を設計し、スタッフが自然に動ける状態にする
「割引で集めた客」から「価値に共感した客」に切り替えるには、お客さんの行動を段階ごとに整理する視点が必要です。電子書籍「顧客の購買行動を軸とした販促改善の教科書」では、認知から再来店までの流れを現場で使えるかたちで解説しています。フォームにメールアドレスを入力するだけで今すぐ受け取れます。
焼肉店オーナーに聞く「コース見直しの前と後」
ここで、増益繁盛クラブの会員さんの声を一つご紹介します。これは焼肉店の会員さんの事例です。
「月商420万から560万に上がって、しかも値引き競争から抜けられた。料理への自信を取り戻しました」
焼肉店オーナー(40代・男性)
この方が最初に抱えていた悩みは、まさに「満席なのに手元に残らない」でした。最初のヒアリングで確認すると、コースの原価率が42%を超えていた。しかも、ランチとディナーで同じ肉を使っているのに、ランチだけ「お得セット」で大幅割引していたんですね。
取り組んだことは大きく2つです。①コース内の品の配置を見直して高粗利メニューを増やし、②割引はやめて「価値を伝えるメニューブック」に切り替えた。シンプルなことですが、順番と設計を変えるだけで数字は変わりました。
「売上の数字を見て喜んでいるうちは、経営は苦しいままです。大事なのは、1組のお客さんが帰った後にいくら手元に残ったか。そこから逆算してコースを設計する──これが利益が残る焼肉店になる一番の近道です。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/繁盛店グループ総代表)
余談ですが、同じような「単価の見直し」で成果を出した事例は飲食業に限りません。最近こんな声もいただきました。
「客単価が18%向上して、漠然とした不安が『やることが見える』安心に変わりました」
イタリアン経営者(40代・女性)
業種が違っても、「何をどの順番で変えるか」が明確になると、不安が行動に変わる。これはどのお店にも共通していることです。
「割引で客単価を補う」発想をやめると、利益の景色が変わる
焼肉店でよくあるのが、「食べ放題コースを安く設定して集客する」という戦略です。集客力という意味では確かに効果があります。でも、これをやり続けると経営の体力がじわじわ削られていきます。
なぜかというと、安い価格で来たお客さんは「安いから来た」わけで、価格が戻れば来なくなる。結果として常に割引し続けないと人が来ない体質になってしまう。これが「忙しいのに儲からない」の正体の一つです。
私がよく使う言葉に「割引は高単価メニューだけに限定する」というものがあります。すべてを安くするのではなく、すでに価値が伝わっている上位メニューに限定した特典にすること。そうすることで、「安さで集めた客」ではなく「価値に共感した客」が集まるようになります。
小規模店舗の利益が残るビジネスモデルの設計方法でも触れていますが、「何を売るか」よりも「どの設計で売るか」が利益を決める。コース料金と追加注文の設計は、まさにこのビジネスモデル設計の核心部分です。
また、追加注文の促し方についても触れておきたいのですが、スタッフが自発的に動ける環境をつくるには、スタッフが自走するための行動規範の設計も合わせて整えていくと、仕組みとして機能するようになります。現場が「言われたからやる」ではなく、「こうすればお客さんも喜ぶ」と動けるようになると、追加注文の出方がまったく変わりますよ。
まとめ:コース設計は「利益を設計する」仕事
焼肉店の客単価を上げるというテーマで書いてきましたが、本質は一つです。コース設計は「お客さんに何を食べてもらうか」を決める仕事ではなく、「どの設計なら利益が残るか」を決める仕事だということです。
具体的にやることをまとめると、
- コース全体の原価率を30〜35%以内に設計し直す
- 高粗利メニューをコースの骨格に組み込む
- コースを3グレード化して比較で上位を選んでもらう
- 追加注文のタイミングと言葉をシート化してスタッフに渡す
- 安易な割引をやめて、価値で選ばれる設計に切り替える
「忙しいのにお金が残らない」という状態は、頑張りが足りないのではなく、設計が変わっていないだけのことがほとんどです。設計さえ変われば、同じ来客数でも手元に残るお金は確実に変わります。ぜひ一つずつ、現場で試してみてください。
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