先日、ある飲食店のオーナーさんからこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、うちは食材ロスが多くて毎月コストがかさむんですが、何とかなりませんか?」
話を聞いていくうちに、食材ロスの問題だけじゃないことが見えてきたんですよ。仕入れの判断も、在庫の管理も、メニューの絞り込みも、全部オーナーさん自身がやっていた。スタッフに任せられない。だから現場を離れると途端に数字が悪くなる。
これ、コスト管理の話じゃなくて、「社長業の属人化」の話なんですよね。
食材ロスを減らすのは大事なことです。でも、その仕組みをオーナーしか回せない状態では、何年たっても同じことの繰り返しになるんです。しかも、それがそのまま「後継者に渡せない経営」「売れない店舗」につながっていく。
今回は、食材ロスを切り口に、小規模飲食店が利益を残す仕組みをどうつくるか、そして事業に価値を持たせるための考え方まで、具体的な事例をもとにお話しします。
📋 この記事でわかること
- 食材ロスが減らない本当の原因(コストではなく、仕組みの問題)
- 属人化した社長業を「誰でもできる状態」に変えるステップ
- 仕組みづくりが、事業承継・出口戦略にどう直結するか
- 実際の成功事例に学ぶ、再現性のある利益改善の手順
こんな方におすすめ
- ✅ 食材ロスが多くて利益がなかなか残らない飲食店オーナーの方
- ✅ 自分がいないとお店が回らず、現場を抜けられない状態に悩んでいる方
- ✅ 将来の事業承継や引退後の収入が全く描けていない方
- ✅ 仕入れ・在庫管理をスタッフに任せたいけど、どこから手をつければいいか迷っている方
- ✅ 売上はそこそこあるのに、毎月利益が残らず焦りを感じている方

食材ロスが減らない本当の理由は「仕組みがない」こと
食材ロスの相談を受けると、多くのオーナーさんは「うちは発注が下手で…」「スタッフが在庫を確認しないで使うから…」と話されます。でも、一歩引いて見てみると、原因は別のところにあることが多い。
「誰が、何を見て、どう発注するか」が言語化されていないんですよ。
オーナーさんが長年の感覚で「今日はこのくらい仕入れよう」と判断している。スタッフはその基準を知らないから、ロスが出ても何が問題かわからない。改善のしようがないんです。
これは食材ロスの問題というより、経営の属人化の問題です。
そして、この属人化がそのままにされると、何が起きるか。「社長がいないと回らない店」になる。そういうお店は、後継者を見つけても引き継げない。売ろうとしても買い手がつかない。引退したくても引退できない状態が続くんですよ。
「感覚で発注してきたから言語化できない」という壁に当たっていませんか。お客さんの動きと仕入れをどう連動させるかは、1記事では書ききれない販促全体の設計とつながっています。電子書籍「顧客の購買行動を軸とした販促改善の教科書」では、お客さんの行動パターンをふまえた自店の見直し方を体系的にまとめています。メールアドレスを入力するだけで受け取れます。
実際の事例:食材ロス削減から始まった仕組みづくり
あるラーメン店のオーナー(30代・男性)の事例をご紹介します。
【初期の課題】
月商は330万円前後で推移していたものの、食材のロスが多く、利益率がなかなか改善しない状態でした。仕入れはオーナーが毎朝目測で判断。スタッフに任せようとしても「何をどのくらい頼めばいいかわからない」と言われ、結局自分でやるしかない。休もうにも休めない、という悪循環でした。
【実施した施策】
仕組みづくり STEP 1
「発注基準」を数字で見える化する
まずオーナーが何を根拠に発注しているかを言語化する作業から始めました。「今週は何人来て、何を何皿出したか」を実際に記録し、それをもとに「1日あたりの使用量の目安」を算出。この数字をスタッフが見れば誰でも発注できる一覧表を作りました。
⚠️ よくある失敗:「感覚でやってきたから言語化できない」と最初から諦めてしまうパターン。2週間でいいので記録をつけるだけで、意外と数字のパターンが見えてきます。
仕組みづくり STEP 2
メニューを絞り込み、在庫の種類を減らす
次に取り組んだのは、使用食材の重複チェックです。「このメニューにしか使わない食材」をリストアップしてみると、実は3品のためだけに仕入れていた食材が複数あることがわかった。そのメニューを思い切って見直し、食材の種類を絞り込んだ結果、仕入れ金額が下がっただけでなく、在庫管理がシンプルになって廃棄ロスが大幅に減りました。
⚠️ よくある失敗:「メニューを減らすとお客さんに飽きられる」と考えてしまうこと。実際は、メニューが多い店ほど一品あたりの完成度が下がり、お客さんの満足度も下がります。絞ることで質が上がるんです。
仕組みづくり STEP 3
スタッフが「在庫確認→発注」まで完結できる体制をつくる
発注基準一覧と、在庫の確認タイミングを「毎日〇時に〇〇を確認する」とルール化。これをマニュアルに落とし込み、新しいスタッフが入っても同じことができる状態をつくりました。
⚠️ よくある失敗:最初の1〜2週間だけ機能して、その後有名無実化するパターン。定着させるには「できているかどうかの確認ルーティン」もセットで設計することが重要です。
【結果】
食材ロスが約30%削減。これにより利益が月数十万円単位で改善。さらに、オーナーが現場を離れても在庫管理が回るようになったことで、週1日の完全休日が実現しました。
✓ ここまでのポイント
- 食材ロスは「感覚経営」が原因であることが多く、発注基準を数字で見える化するだけで大きく改善する
- メニューを絞ることで在庫管理がシンプルになり、廃棄ロスと仕入れコストが同時に下がる
- スタッフが自走できる仕組みにすることが、オーナーが現場を抜けられる第一歩になる
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「仕組み化」は事業承継の準備でもある
ここが、今日一番お伝えしたいことなんですよ。
食材ロスを減らすために仕組みをつくる。スタッフに任せられる体制をつくる。これって実は、欲しい利益から逆算して年間計画を立てることと同じ発想なんです。「今の自分の働き方」から逆算するんじゃなくて、「どんな状態になりたいか」から逆算して、今何をすべきかを決める。
そして、仕組みが整ったお店というのは、事業として価値があるんです。
後継者に引き継ぐにしても、外部に売却するにしても、「社長がいないと回らない店」は誰も引き取れません。でも、誰でも同じように運営できる仕組みがある店であれば、話は変わってくる。
僕がよくお伝えするのは、こういうことです。
「お店を手放したい時に初めて仕組みをつくろうとしても遅いんです。仕組みは、現役で稼いでいる今だからこそつくれる。その仕組みが、自分の引退後の収入にもなるし、誰かに渡せる価値にもなる。食材ロスの管理を誰かに任せられる状態をつくることが、実は出口戦略の第一歩なんですよ」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/店舗利益最大化コンサルタント)
実際に、全国1,000店舗以上の支援の中で、一部上場企業に事業を買い取ってもらう形で理想的な引退を実現した会員さんもいます。そういう方に共通しているのは、「社長しかできない仕事」を早い段階から減らし、誰が見ても再現性のある仕組みをつくっていたことです。
4店舗以上の展開があれば上場企業の買取対象になり得ることもありますし、店舗数を増やさなくても、会社に売上と利益の違いを理解したうえで累計利益を積み上げておけば、「自分年金」として引退後も会社から給与を払い出す原資にすることができます。
比較:「なんとなくコスト管理」と「仕組みとして回るコスト管理」の違い
❌ よくあるパターン:オーナーの感覚頼りのコスト管理
- 発注はオーナーが毎日判断。根拠がないから引き継げない
- 食材ロスが出ても「なぜ出たか」が分析できない
- スタッフは「言われたことだけやる」状態になり、主体性が育たない
- オーナーが休んだ日に仕入れが崩れ、ロスが増える悪循環
✅ 推奨アプローチ:仕組みとして回るコスト管理
- 発注基準が数字で一覧化され、スタッフが自分で判断できる
- ロスが出た時に「どこで何が余ったか」が可視化され、改善できる
- オーナーが現場を離れても、同じ水準で運営が続く
- その仕組み自体が「事業の価値」として評価される土台になる
事業承継を意識した「コスト管理の仕組み」の作り方
チェックポイント1:「自分しかできない発注業務」はどこにあるか?
仕入れ先との交渉、食材の品質判断、発注数の決定。この中で本当にオーナーしかできないことと、基準さえあればスタッフに任せられることを分けてみてください。
✅ ポイント:「任せられない」と感じる業務の大半は、基準が言語化されていないだけです。まず自分がどう判断しているかを書き出すことから始めましょう。
チェックポイント2:在庫の「見える化」ができているか?
何がどこにどのくらいあるかを、オーナー以外の人間が確認できる状態になっているか。棚の配置、在庫チェックシート、廃棄記録。これが整っているだけで、スタッフの意識も変わります。
✅ ポイント:在庫の「見える化」は、食材ロスを減らすだけでなく、スタッフが経営に関わる意識を持つきっかけにもなります。
チェックポイント3:「利益が残る構造」になっているか?
売上が上がっても利益が残らないのは、コスト管理の仕組みがないからです。商品階層の設計と利益最大化の観点でメニューを見直し、高利益率のものに集中させることで、食材ロスも利益率も同時に改善できます。
✅ ポイント:「何を売るか」より「何をやめるか」を先に決める。メニューを絞ることが、食材ロスを構造的に減らす最も直接的な手段です。
「食材ロスの話をしているようで、実は後継者問題の話なんですよね。誰かに渡せる仕組みをつくることと、今日の食材ロスを減らすことは、まったく同じ方向を向いている。今日から始めることが、10年後の出口につながっているんです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/繁盛店研究所 代表取締役)
会員さんの中には、こんな変化を経験された方もいます。
「掲載をやめたら終わり、という恐怖がずっとありました。でも仕組みをつくって自分でリピートを回せるようになったら、掲載費を抑えながら利益率が改善できたんです。次回予約でリピートが安定して、精神的にも全然違います」
カラー特化サロン(女性・30代)
これは美容室の事例ですが、飲食店にもまったく同じことが言えます。「外部の集客媒体や手間のかかる作業に依存しないと回らない状態」から、「仕組みが自走する状態」へ。その変化が、精神的な自由と経済的な安定をセットで連れてくるんですよ。
まとめ:食材ロスの先に「渡せる事業」がある
食材ロスを減らすことは、利益を残すための大事な一手です。でも、それをオーナーだけの感覚で回していると、いつまでも「自分がいないとダメなお店」のままです。
仕組みをつくる。発注基準を数字にする。スタッフが自走できる体制をつくる。この積み重ねが、今の利益改善だけでなく、将来の事業承継や出口戦略にも直結してくる。
「食材ロスが多くて困っている」と感じているなら、まず「自分しかできない作業」を書き出すことから始めてみてください。その一歩が、自分を現場から解放するための最初の動きになります。
小さく始めて、ちゃんと仕組みにする。それが「頑張らない繁盛」への道です。
食材ロスの改善から始めて「社長がいなくても回る仕組み」をつくる。それが事業承継・出口戦略の土台になる、という話を最後まで読んでくださいました。次の一歩として、増益繁盛クラブでは「何をどの順番でやるか」が明確になるサポートを月額制で提供しています。初月980円から始められ、いつでも退会可能です。