成功事例

居酒屋の原価率改善を相談した店主の、再建3ステップの記録

「原価率が上がっているのは分かっている。でも、何をどう変えればいいか、正直お手上げで…」

実は、飲食店の廃業原因の上位に「原価・経費の管理ができていなかった」が挙がっています。売上が伸びていても、原価率が30%を超えたあたりから利益がどんどん薄くなり、気づいたときには手元に何も残っていない──そういう店主の方が、本当に多いんですよ。

今回紹介するのは、静岡市清水区を拠点に20年・1,000店舗以上の支援を続けてきた中で出会った、焼鳥居酒屋を経営する50代の男性店主の話です。原価率の悪化を「相談」したところから始まった再建の記録を、3つのステップに沿ってお伝えします。

ポイントは「難しいITツールを入れた」のではなく、すでにお客さんが使っているツールを整備したこと。そこから、思わぬ形で経営全体が変わっていきました。

📋 この記事でわかること

  1. 原価率が改善されない本当の原因(数字の問題より先に、ある「構造」がある)
  2. 個人居酒屋がDXで業務効率を上げるための、現実的な3ステップ
  3. 客単価900円アップを実現した焼鳥居酒屋の具体的な取り組み
  4. 「頑張らない繁盛」につながる、仕組み化の考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 原価率が上がっているのに、何を変えればいいか分からない居酒屋オーナーの方
  • ✅ LINEやGoogleマップを「入れてみたが使いこなせていない」と感じている方
  • ✅ 忙しいのに利益が残らず、値引き・安売りに巻き込まれている方
  • ✅ 自分が現場を離れると不安で、仕組み化の第一歩が踏み出せない方
  • ✅ 客単価を上げたいが、値上げへの抵抗感がある方
居酒屋の原価率改善を相談した店主の、再建3ステップの記録 | 飲食店の年商1億円突破の教科書

原価率改善の相談で最初に見つかった「本当の問題」

その焼鳥居酒屋の店主、Sさん(50代・男性)が最初に持ち込んだ相談は「原価率が高くて利益が出ない」というものでした。食材ロス・仕入れ見直し・メニュー構成の話になるだろうと思っていたSさんに、私がまず確認したのは一つのことでした。

「今、誰がどのメニューを頼んでいるか、把握できていますか?」

答えは「なんとなくは分かる」でした。これが問題の核心です。

原価率が高い状態というのは、多くの場合「原価の高いメニューが売れすぎている」か「原価の低い高単価メニューが売れていない」かのどちらかです。でも、どのお客さんが何を頼んでいるかのデータがなければ、改善のしようがない。

Sさんのお店では、顧客の情報が「店主の記憶」だけに頼っていました。LINEの友だちは400人いましたが、配信は年に数回のクーポン送信のみ。Googleマップは口コミに返信すらしていない状態。食べログのページは登録した5年前のまま更新されていませんでした。

「ツールはある。でも使えていない」──これは今、多くの個人店が陥っているパターンなんですよ。

「原価率の問題は、数字の話ではなく、仕組みの話です。どのお客さんに、何を、いくらで買ってもらうかが設計できていないから、原価だけが先行してしまう。」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント/中小企業診断士)

「原価率が高い」と気づいていても、お客さんの購買行動が見えていなければ、何を変えても手応えがつかめないままです。お客さんがどの順番で動き、何に反応するかを理解した上で販促を設計する考え方を、電子書籍にまとめています。メールアドレスを入力するだけで受け取れます。

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STEP 1:顧客リストを「見える化」して、VIP客を特定する

再建 STEP 1

エクセルで顧客リストを整備し、来店回数・注文傾向を把握できる状態にする

最初にやったのは、高額なシステム導入でも、原価計算ソフトの購入でもありませんでした。Sさんに作ってもらったのは、シンプルなエクセルの顧客管理表です。

項目は「氏名」「来店日」「注文した主なメニュー」「客単価」「LINE登録有無」の5つだけ。これをレシートデータと記憶を頼りに、過去3ヶ月分だけ入力してもらいました。

すると、面白いことが見えてきました。月3回以上来てくれているお客さんが、全体の約15%いる。そして、その人たちの客単価は他の層より平均1,400円高い。つまり、VIP客がいるのに、そのお客さんたちへの特別なアプローチが何もできていなかったんです。

「新規客には時間をかけない、既存客には時間をかける」というのが私の考え方です。まず誰に集中するかを決めることが、原価率改善の第一歩になります。

⚠️ よくある失敗:「全員に同じサービスをしよう」と考えてしまうこと。リストを作っても使わなければ意味がない。リストは「次に何をするか」を決めるための地図として使ってください。

STEP 2:LINEとGoogleマップで「自動で呼び戻す仕組み」をつくる

再建 STEP 2

LINE公式アカウントのステップ配信とGoogleマップの最適化で、再来店導線を自動化する

Sさんが次に取り組んだのは、すでに持っていたLINE公式アカウントの「使い方」の変更です。クーポン配信をやめ、代わりに3通のステップ配信を設計しました。

  • 友だち登録直後:Sさん自身のこだわりと、おすすめ焼鳥3品を紹介するメッセージ
  • 登録から7日後:「秋のおすすめ日本酒と相性のいい串」の案内(季節感を入れた情報提供)
  • 登録から14日後:「次回ご来店の方にだけ」お伝えする隠れメニューの案内

この3通を設定した後は、Sさんが何もしなくても自動で送られます。「仕組みに働いてもらう」状態です。

並行して、Googleマップのビジネスプロフィールを整備しました。写真を20枚以上更新し、口コミへの返信を週1回のルーティンに。これだけで、2ヶ月後にはGoogleマップ経由の来店問い合わせが月5件から14件に増えました。

居酒屋の新規集客をGoogleマップで仕組み化する方法でも詳しく解説していますが、Googleマップは「今夜どこ行こう」と探しているお客さんが使うツール。整備するだけで、広告費ゼロで新規客が来る仕組みになるんですよ。

⚠️ よくある失敗:ステップLINEを「宣伝文句」で作ってしまうこと。最初の2通はお客さんにとって役立つ情報や読み物感覚のコンテンツにする。売り込みは3通目以降から、というのが基本です。

✓ ここまでのポイント

  • 原価率改善の前に、「誰が・何を買っているか」を把握することが先決。エクセルの顧客リストから始める。
  • LINEとGoogleマップは「持っているだけ」では機能しない。使い方を変えるだけで、自動で再来店を促す仕組みになる。
  • 新規集客よりも、すでに来ているVIP客への接点を深めることが、利益改善の最短ルート。

LINEとGoogleマップの使い方を変えるだけで仕組みができる、とお伝えしましたが、「自分の店ではどう設計すればいいか」は業態・客層によって変わります。増益繁盛クラブでは、月次セミナーや24時間使える経営相談AIを通じて、自分の状況に合った手順を確認しながら動けます。初月は980円のお試し体験から始められます。

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「焼鳥居酒屋(男性・50代)|客単価が900円アップしました。それだけじゃなく、新メニューを考える時間が取れるようになって、今は『うちは他と違う』を堂々と言えるようになりました」

焼鳥居酒屋オーナー(50代・男性)

Sさんのこの言葉が、すべてを物語っていると思います。客単価が上がったことで利益が残り、時間的な余裕ができた。そしてメニューへの自信が生まれた。この3つは、バラバラに起きたのではなく、仕組みを作ったことで連鎖的に生まれた変化です。

STEP 3:高単価メニューを「選ばれる設計」にして原価率を構造から改善する

再建 STEP 3

メニューブックとPOPを見直し、原価率の低い高単価メニューが自然と選ばれる設計にする

VIP客が特定でき、LINEとGoogleマップで再来店の仕組みができた段階で、Sさんは初めてメニューの構成に向き合いました。

原価率が高かった主な原因は、「お客さんが安い串ばかり頼んでいた」のではなく、「高単価の串セットやドリンクペアリングを案内できていなかった」ことでした。メニューブックを開いても、価格が安い順に並んでいたため、自然と目線が低単価商品に集まっていたんです。

そこで取り組んだのが次の2点です。

  • メニューブックの1ページ目に「店主こだわりの3品セット(2,200円)」を掲載。単品価格の合計より100円安い設定にして、「お得感」と「高単価」を両立させた。
  • テーブルPOPに「本日のおすすめ日本酒との相性」を手書きで掲示。ドリンクの追加注文が1テーブルあたり平均0.8杯増えた。

この変更によって、客単価は以前より900円アップ。原価率の高いメニューの注文割合が下がり、原価率自体が約3ポイント改善されました。売上は多少上下しても、利益は安定して残るようになったとSさんは言います。

⚠️ よくある失敗:「値上げすれば客単価が上がる」と考えて、ただ価格を上げること。お客さんが「それを選びたくなる理由」を先に作らないと、注文はされません。設計が先、価格は後です。

また、メニューブックとPOPの改善は、欲しい利益から逆算して目標を設定する考え方と組み合わせると、さらに効果が出ます。「客単価をいくらにすれば、月の利益目標を達成できるか」を先に計算してから、メニューを設計する。この順番が大事なんですよ。

「頑張らない繁盛」は、ツールを使いこなすことではない

Sさんの再建を振り返ると、やったことはどれも「難しいこと」ではありませんでした。エクセルで顧客を整理して、LINEの送り方を変えて、Googleマップを更新して、メニューの並びを変えた。それだけです。

でも、それを「順番通りに」「一つずつ」やれたことが成果につながりました。

DXというと、高額なPOSシステムや予約管理ツールを想像する方も多いですが、個人居酒屋に必要なのはもっとシンプルです。お客さんがすでに使っているツール(LINE・Googleマップ・食べログ)を、店主側がちゃんと使いこなすことから始める。それだけで、業務効率は劇的に変わります。

今、もし「ツールは入れてあるけど、使えていない」と感じているなら、まずその一つを「仕組みとして動かす」ことにフォーカスしてください。全部を同時にやろうとすると、全部が中途半端になります。「やることより、やめることを先に決める」という発想で、今週一つだけ手をつけることをおすすめします。

ラーメン店がリピーターを増やすLINE活用の3ステップも、業種は違いますが再来店の仕組みとしての考え方は共通しています。自分のお店に置き換えながら読んでみてください。

まとめ:原価率改善は「数字の問題」ではなく「設計の問題」

Sさんの事例を通じて伝えたかったのは、原価率の問題は仕入れを見直せば解決するものではない、ということです。

大事なのはこの順番です。

  1. 誰が来ているかを把握する(顧客リストの見える化)
  2. その人たちに自動で接点を持ち続ける仕組みを作る(LINE・Googleマップ)
  3. 原価率の低い高単価メニューが自然と選ばれる設計にする(メニュー・POP改善)

この3ステップは、特別なスキルも高額なシステムも必要ありません。今あるツールの使い方を変えるだけで、利益が残る体質に変わっていきます。

「稼いでいるお店が一番社会に貢献している」と私はいつも思っています。利益が残るから、スタッフへの還元もできる。新メニューへの投資もできる。Sさんが「うちは他と違う」と言えるようになったのは、その余裕が生まれたからです。

まず一つ、今週から動き始めてみてください。

Sさんが客単価900円アップ・新メニュー開発の時間確保・「うちは他と違う」という自信を取り戻せたのは、順番通りに一つずつ動いたからです。何から手をつけるかが明確になれば、あとは実践するだけ。増益繁盛クラブでは、同じ悩みを抱えた全国の経営者と一緒に動ける環境が整っています。まず入会案内ページで内容を確認してみてください。

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