成功事例

イタリアンの経営コンサルを始めた理由、静岡の一軒が変わるまで

秋口になると、飲食店のオーナーさんから「年末に向けて忙しくなる前に、今のうちに何か手を打ちたい」という相談が増えてきます。

でも、こんな声も同じくらい届くんですよ。

「手を打ちたいのはわかってる。でも、それを考える時間がない」

そうなんですよね。考える前に厨房に立って、ランチが終われば仕込みして、夜の営業が始まって、閉店後は帳簿をつけて……気がついたら深夜。翌朝また同じことの繰り返し。

今日は、そういう「現場に縛られていた」静岡のあるイタリアンオーナーが、どうやって経営者としての時間を取り戻したのか、その話をしようと思います。

📋 この記事でわかること

  1. 「自分じゃないとできない」という思い込みが、どこから生まれているのか
  2. 1週間のスケジュール棚卸しが、なぜ最初の一手になるのか
  3. 「やめること」を先に決める思考法と、時間を経営判断に使う仕組みのつくり方
  4. コンサルを始めた理由と、実際に変わったこと(実話ベース)

こんな方におすすめ

  • ✅ 毎日現場に立ちっぱなしで、経営のことを考える時間がない方
  • ✅ 「自分がいないと店が回らない」状態から抜け出したいイタリアン・飲食店オーナーの方
  • ✅ 売上はあるのに利益が残らず、何から手をつければいいかわからない方
  • ✅ 客単価を上げたいが、どう変えていいか具体的な道筋が見えていない方
  • ✅ 経営コンサルに興味はあるが、費用対効果が見えず踏み切れていない方
イタリアンの経営コンサルを始めた理由、静岡の一軒が変わるまで | 飲食店の年商1億円突破の教科書

「忙しい」は繁盛の証拠じゃない、という現実

静岡市内でイタリアンを営む40代の女性オーナー・Aさんのことを話させてください(本人の了承を得てご紹介しています)。

Aさんのお店は、口コミを中心に地元のお客さんがリピートしてくれる、いわゆる「繁盛店」の部類に入る一軒でした。料理のクオリティには自信があった。スタッフへの指示も細かく行き届いていた。

それでも、何かがずっと引っかかっていた。

「忙しいのに、利益が全然残らない。何のために働いているのかわからなくなってきた」

こういう言葉、実はものすごくよく聞くんですよね。特に、腕があって真面目なオーナーさんほど陥りやすい。なぜかというと、「丁寧にやること」と「利益を出すこと」は、実は別の話だからなんです。

Aさんが最初に私に相談してきたきっかけは、「客単価を上げたい」という一言でした。でも話を聞いていくうちに、本当の課題は別のところにあることが見えてきたんです。

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コンサルを始める前に、まずやったこと

Aさんとの最初のセッションで私がお願いしたのは、「先週1週間のスケジュールを、全部書き出してきてください」ということでした。

朝何時に起きて、何をして、何時に店に入って、何をして、閉店後は何をしているか。隙間の5分10分も含めて、全部です。

1週間後にAさんが持ってきた紙を見て、私はすぐに気づきました。

電話対応に、ものすごく時間と神経が取られていたんです。

予約の電話、問い合わせの電話、食材業者との電話。「自分が出ないと話が伝わらない」と思っていたAさんは、仕込み中でも、ランチの合間でも、電話が鳴るたびに手を止めていた。それが1日に何度も起きていた。

Aさんに聞いてみました。「この電話の中で、本当にあなたじゃないといけないものは何件ですか?」

しばらく考えて、Aさんは言いました。「……正直、ほとんどないかも」

そうなんですよ。「自分じゃないとできない」は、思い込みであることが多い。でも、その思い込みを「見える化」するには、まず書き出してみることが必要なんです。

「やめることを先に決めてください。新しいことを始めるのは、その後でいい。時間という資源は、一番最初に使い道を決めた仕事に全部吸い取られてしまいますから」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・店舗利益最大化コンサルタント)

「やめること」を決めたら、何が変わったか

Aさんが最初に「やめた」のは、電話の一次対応を自分でとることでした。

やり方はシンプルです。予約に関する基本的なやり取りをスタッフが答えられるよう、FAQ(よくある質問と答えのリスト)を1枚にまとめて厨房に貼った。業者からの電話は、曜日と時間帯を決めてこちらから折り返すルールにした。それだけです。

最初は「ちゃんと伝わるか不安」と言っていたAさんでしたが、1ヶ月後には「電話を気にしながら料理しなくてよくなった」と話してくれました。集中できる時間が増えると、仕込みの精度が上がる。料理が安定すると、お客さんの反応も変わる。

次に取り組んだのが、客単価の見直しです。

Aさんのメニューは「良いものを、丁寧に、適正価格で」という姿勢で作られていたのですが、「適正価格」の基準が「周りの店に合わせる」になっていた。これがよくないんですよね。周りの価格に合わせると、価値ではなく価格で選ばれる店になってしまう。

メニューの構成を見直し、看板料理の説明文を「素材の背景が伝わる」ものに書き換えました。POP一枚で変わるものって、本当にあるんです。

その結果、客単価が18%向上しました。

✓ ここまでのポイント

  • 「自分じゃないとできない」仕事は、書き出して分解してみると思い込みであることが多い
  • 「やめること」を先に決めることで、経営者が本来集中すべき仕事への時間が生まれる
  • 客単価は「周りに合わせる」のではなく、提供する価値をきちんと伝えることで上げられる

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「漠然とした不安が、『やることが見える』安心に変わりました。電話対応の負担もなくなって、自分が本当にやりたいことに集中できるようになった気がします」

イタリアンオーナー(40代・女性)

社長が「現場の人」から「経営の人」になるための順番

Aさんの話で私がいつも大事にしているのは、「順番を間違えないこと」です。

多くのオーナーさんが、集客の前に「仕組み」をつくりたがる。でも仕組みをつくる前に、まず「時間」を確保しなければ、仕組みを考える余裕が生まれない。

私がAさんに提案したプロセスは、こんな流れでした。

STEP 1:スケジュール棚卸しで「今週の自分」を見える化する

1週間のすべての行動を書き出し、「自分にしかできないか」「誰でもできるか」「やめていいか」の3つに仕分けする。

感覚ではなく、紙に書くことで初めて見える。「実は自分がやらなくていい仕事」が必ず出てくる。

⚠️ よくある失敗:「全部自分がやったほうが早い」という判断で、仕分けをやめてしまうこと。「早い」と「必要」は別の話です。

STEP 2:「やめること」を1つだけ決めて、まず手放す

最初から全部変えようとしない。「今週これだけはやめる」を1つ決めて、実行する。

Aさんの場合は電話の一次対応でしたが、人によっては「閉店後の帳簿つけを翌朝に回す」「仕込みの一部をスタッフに任せる」など、違う形になることもある。

⚠️ よくある失敗:「もう少し準備ができてから」と先送りにすること。完璧な準備が整う日は来ない。

STEP 3:空いた時間を「経営者の仕事」に使う

手放した仕事の分だけ生まれた時間を、経営判断・販促・お客さんとの関係づくりに使う。

新規のお客さんには時間をかけなくていい(お金はかけていい)。でも、すでに来てくれているVIPのお客さんには、経営者が時間をかけて関わるべきです。社長が最大の広告、という感覚ですね。

⚠️ よくある失敗:せっかく空いた時間をまた現場作業で埋めてしまうこと。意識して「経営の時間」と名付けて確保しないと、すぐに埋まります。

この3ステップ、実はシンプルに見えて、一人でやろうとするとなかなか続かない。「本当にこれでいいのか」という不安が出てくるからです。Aさんも最初は同じでした。だからこそ、個人店オーナーがコンサルを使って年商を伸ばした体験談を見てもらうとわかるように、伴走してくれる存在がいるかどうかで、継続できるかどうかが大きく変わります。

「1軒のイタリアン」が変わるまでに見えたもの

Aさんとのコンサルを振り返ると、最初の半年で起きたことは「大きな戦略の転換」ではなく、「小さな手放し」の積み重ねでした。

電話対応をやめた。仕込みの一部を任せた。メニューの説明文を書き直した。VIPのお客さんにハガキを送るようにした。そのどれもが、派手な施策ではない。でも、一つひとつが「経営者の時間」を少しずつ取り戻す作業になっていた。

Aさんが変わったのは、技術でも才能でもない。「やること」を増やすのではなく、「やめること」を決めた、その順番の変化です。

よく「コンサルって意味あるの?」という声を聞きます。なぜ「コンサルは意味ない」と言われるのか、本当の理由でも書いていますが、コンサルが効果を出すかどうかは、実践する側の「素直さ」と「行動量」で決まります。Aさんが結果を出せたのは、提案したことをすぐやってみる、という姿勢があったからです。

まとめ:現場を抜け出す「最初の一手」は、書き出すことから

「経営について考える時間がない」と感じているイタリアン・飲食店オーナーの方に、今日お伝えしたかったのはこういうことです。

まず、今週1週間の自分のスケジュールを全部書き出してみてください。そして「自分じゃないとできないか」を問い直す。するとほぼ必ず、手放せるものが見つかります。

新しいことを始める必要はない。まず「やめること」を1つ決める。それだけで、経営者の時間は少しずつ戻ってきます。

「売上より利益を重視する」という考え方も、時間に余裕がなければ実践できない。忙しさの中に埋もれたままでは、数字を見る目も、お客さんを見る目も、どんどん濁っていきます。

全国1,000店舗以上の支援を通じて言えるのは、「頑張らない繁盛」の仕組みは、気合いではなく、「やめること」の積み重ねでできているということです。

Aさんのような一歩を、あなたのお店でも踏み出せると、私は思っています。オンラインと対面のコンサルの違いについて知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

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